北斎 螺旋 黄金比
自然の中に黄金比がたくさんあるというのは、ほとんど嘘であると前に書きました。
それに対して、テレホンカードや名刺などの人工物には意図して黄金比が使われています。古くはパルテノン神殿などが有名です。(‘06/12/9 追記:その後パルテノン神殿で意図して黄金比が使われてた事実はないことが分かりました。この部分訂正します。こちらをご覧ください。1, 2)
葛飾北斎が描いた「富嶽三十六景」の中の「神奈川沖浪裏」に、果たして黄金比の螺旋があるのか?螺旋を調べるソフト「Spiral」で調べてみました。
ありましたね。波の曲線が黄金矩形に沿う螺旋と一致しました。
とあらわせます。 このbの値は、中心からの直線と螺旋の接線とがなす角度(対数螺旋は等角螺旋とも呼ばれこの値が一定になる)になります。この定数bの値が72.8度の対数螺旋が黄金矩形に沿う螺旋です。
この図では、107.2度になっていますが、回転する方向の違いで 72.8=180-107.2 となります。
それにしても葛飾北斎、意図してやったことなのか、感覚のなせる技なのか、それとも偶然なのか。
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コメント
はじめまして。最近こちらのサイトを知ったので、2ヶ月前の記事にコメントするのをお許しください。
昔、一般教養の物理学で、「北斎の絵は、画面に正方形を作り、コンパスで円を引いて描かれている。それをつなげているので、黄金比になってる」という意味の事を習ったのを思い出しました。
富士山も、正方形の角からの交差点にある、とか。
波が、渦を巻ききらずに崩れているのは、北斎の芸術性、だそうです。
授業では、オウムガイの黄金比説明にもはまったため、自作黄金比渦巻きイラストと、オウムガイの形がちょっと違うのも気のせいだと思っていました。
いろいろと思い出し、また、考えさせていただきました。ありがとうございます。
投稿: いつか | 2006年3月11日 (土) 00時36分
いつか さん
コメントありがとうございました。
北斎と黄金比については、柳 亮 さんという方が著書の中で分析をしているという話を聞いています。私は読んでいません。
北斎の波の線が、ぴったりと黄金比の螺旋にそったのにはびっくりしました。しかも螺旋の中心が波頭になっている。只者ではありませんね。
オウムガイの螺旋については、著名な数学者や小説家たちが黄金比のらせんだ、といっていますからね。
「ほんとかよ」という精神は、科学や技術に携わる人に限らず、必要だと思います。
投稿: SUBAL | 2006年3月11日 (土) 01時51分
はじめまして。トラックバックメンバーから,書き込みさせていだたきます。
私は,美術を教えている一人です。数学・物理の世界は正直,詳しくはありません。しかし,葛飾北斎やゴッホの絵に見られる「黄金比」に対する解釈。読むと興味がそそられます。秋山仁先生も,私が購読する雑誌「美術教育」にも述べておりました。
授業で,鑑賞にはじまり,黄金比の話までしてしまうと,理論としての美術となり,学習意欲がなくなるため,数学好きの生徒にだけつらつら話してしまいます。
でも,こういった美術の解釈は,大事にしたいですね。
投稿: hakusuke | 2006年8月17日 (木) 20時23分
hakusukeようこそ
私は、美術教師になりたいなと思ったこともありました。センスと才能がないのが分かってあきらめました。(SUBALのところをクリックして見てください。一応私の作品)
「美」と黄金比の話は、どこかうそ臭くて・・。
秋山仁先生も、黄金比の話ではいい加減でだめです。対象世界の中の数学を論じているのに、きちんと対象世界を見ていないのです。
それと、「黄金比」って本当に素直に美しいでしょうか?美術をやる人は感性で向き合ってほしい。
自然や美は「黄金の服」などは着ていない、大人になりきれない駄々っ子の私の見解なのです。
しかし、北斎の「神奈川沖浪裏」の波の線は見事で、しかも計算されているようです。この絵はまえから好きでしたが、黄金比の螺旋にぴったり添ったとき、正直びっくりしました。
投稿: SUBAL | 2006年8月17日 (木) 21時35分