« 2006年2月 | トップページ | 2006年4月 »

2006年3月26日 (日)

米国のつまようじブリッジ(3)

アトランタで開かれたつまようじブリッジイベントについてです。

自由に形を作って強さを競う、といっても競技のルールや載荷方法によって「つよいかたち」は違ったものになります。

Bcat3_1 ここでは空圧のシリンダを使って上から荷重をかけるようになっています。ブリッジに接する部分は8×8インチ(8インチはおよそ200mm)のプレートになっています。

スパンは422mmですから、おおよそ半分近くが等分布荷重になります。

日本航空専門学校では、幅50mmの板を使っています。日本航空専門学校の載荷装置

ブリッジの形だけでなく、載荷方法が違えば、当然壊れ方も違ってくるわけです。私は、アトランタのように載荷の板が広いのは、「トラスの壊れ方を見る」という観点からは好ましくないのでは、と思います。見解が分かれるところでしょうが・・・。

このイベントに注文をつけるとしたら、「壊れ方」が作った人にわかるようになっていなさそうだということです。

ブリッジコンテストでは、「二度作る」がひとつのポイントになります。壊れ方は構造物への力の作用を分かりやすく示してくれます。何キロの荷重に耐えたか、ということも大事ですが、「どこからどのように壊れたか」からダイナミックに楽しくかつ深く学ぶことも多いと思います。

ビデオを記録用に撮影すればよいのです。家庭用のビデオカメラでも1/30秒の分解画像が撮影できます。荷重が大きくなればなるほど破壊のスピードが増して、目視では確認できないことが多いのです。コマ送りで見るととき、壊れた瞬間の作者の顔が映っていると大変盛り上がりますし、作者も含めて「ああ、あそこから壊れ始めたのだ」納得がいきます。

アトランタのつまようじブリッジの作品を見ていると、あまり進歩がないようにみえます。進歩につながるものがイべントからあまり得られていないように思えます。思いつくまま自由に作っているともいえて、それはそれで楽しいのでしょうが・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月24日 (金)

応力拡大係数と破壊靱性値を理解するソフト

き裂のある部材がどの程度危ないのかを判断するために役に立つ係数として「応力拡大係数」があります。線形破壊力学のキー概念です。簡単な形状でとりあえず計算するだけなら、シンプルな式で表すことができるのでさほど難しくはありません。でも、いったい「応力拡大係数」って何者?と疑問を発すると、もやもやとして分からなくなります。ここは「私は」と主語を入れておかなければならないところです。

参考文献を読んでも分からないことがあると、私はよくノートに自分なりの理解を書いてみて(書いている過程で頭の中がが整理されることがある)改めて文献を読んだり、人に聞いたりして理解を深めることをやります。

Sif_1 最近は、ノート代わりにパソコン上で動作するソフトウエアを作ることがあります。うまくはまると、ノートを作ることに比べてはるかにダイナミックに「分かった!」となることがあります。抽象的な論理だけではどうしても理解できない頭脳構造のようで、遠回りをするしかないのです。

「応力拡大係数」を理解するためのソフトを、そんなわけで作りました。これですべて分かったのか、というとそうはいきませんでした。ひとつの壁は突き抜けることができましたが、その先に疑問という名の石がゴロゴロ転がっていることに気づいたというところです。

何人かの方に見てもらいましたが、「フリーソフトとして公開しないのか」という問い合わせをいただきましたので、御批判を前進の糧とする覚悟で公開することにしました。

破壊力学のテキスト(小林英男著「破壊力学」(共立出版)の第4章等)を読みながら、ソフトを使ってみてください。

破壊力学 Book 破壊力学

著者:小林 英男
販売元:共立出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

VB6で作っていますので、OSはWindowsに限られます。実行(EXE)ファイルをダウンロードできるようにしています。ごく小さい確率ですが、VBのランタイムがないために動作しないことがあります。その場合は申し訳ありません、どこかでVBのランタイムを手に入れてください。別のパソコンで実行してみる、という方法が一番早いかもしれません。

追記(0612/16)簡単な解説と注釈をこちらに書きました

○LZHで圧縮したファイル

「FractureMech.lzh」をダウンロード

解凍ツールはこちらから。

○ZIPで圧縮したファイル

「FractureMech.zip」をダウンロード

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月22日 (水)

米国のつまようじブリッジ(2)

昨日も書きましたアトランタでのつまようじブリッジイベント(Toothpick Bridge Building Event )についてです。

吉田先生はボランティアとして運営に参加しましたが、ボランティア用の説明書には次のように太文字で書いてあったそうです。

This is NOT a CONTEST.
This is NOT a COMPETITION.
There are NO loser.

勝ち負けを決める競技会ではない、ということです。EventであってContestやCompetitionではない。えっ、じゃぁどんなEventなんだ、ということになりますが、要するに記録会ということですね。「付属の装置にエントリー用紙を差し込むと荷重の計測値が自動的にプリントアウトされる仕組み」で、参加者は作ってきたつまようじブリッジを壊してもらい、その記録の証明書とTシャツををもらうということです。

Bcat4 「Tシャツの胸には大会ロゴやスポンサーマークとともに『They broke my bridge.』と書かれています.」

こういうくすっと笑わせるセンスは、日本にはあまりないかもしれません。

敗者を作らない、という考え方は一つの見識でしょうが、競うからこそ面白い、悔しいこともバネになる、と私は思います。なにか、デパートの休憩室においてある血圧計で血圧を計って、プリントした紙をちぎってくるような、そんな淡々としたEventのようにみえます。血圧を測定したい人が集まってきても、そこに勝者も敗者もないでしょう。ワッ!という盛り上がりもなければ、知的な興奮もありません。血圧を計って興奮もないか(笑)。

私は、勝負をする競技会にこだわりたいですね。それでも、入賞者以外に対するサービスとして「記録証明」を出す、というアイデアはいただきです。

参加賞がTシャツというのはいいなぁ(どこかスポンサーになってくれるところありません?)『They broke my bridge.』でbrokeの主語は一人称にしたいな。壊してもらったのではなくて、自分が壊してみた。「奴らが破壊の目撃者さ」なんてのはどうだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月20日 (月)

米国のつまようじブリッジ(1)

福井高専の吉田先生が、2月26日ジョージア州アトランタで開かれたToothpick Bridge Building Eventに実際に行かれました。その様子を伝えるメールをいただき、写真も提供していただきました。

吉田先生は、見学の可否を主催者に問い合わせたら「運営に参加したら」と誘われて、ボランティアとして参加してきたそうです。このあたりは米国らしいといえるのでしょうか。おおらかでオープンな姿勢は好きです。

Bcat1 私は、吉田先生にこの大会で使用している載荷装置について見てきて教えてほしいとお願いしていました。吉田先生からのメールから・・・

「装置は空圧です.荷重は載荷装置のロードセルで計測し,それを電光掲示板で表示しています.自作の専用装置でパソコンは使ってません.また,付属の装置にエントリー用紙を差し込むと荷重の計測値が自動的にプリントアウトされる仕組みになっています.」

なるほど、さすがに機械学会と土木学会がサポートしている大会ですね。私のところでも、学生が空圧シリンダーを使った載荷装置試作してくれました。破壊時の迫力には欠けますが、新しい載荷装置の候補です。ロードセルというのは荷重を計測するセンサーのユニットで、たいていは金属に電気抵抗ひずみゲージを何枚か貼り付けたものです。うちの学生も、ロードセルを自作してくれました。ホイートストンブリッジと組み合せて、表示装置までは作れそうだけれど、紙を差し込むと計測値を自動的にプリントアウトする装置は、私の守備範囲を超えています。

このアトランタのつまようじブリッジについて、何回かに分けて書こうと思います。

吉田先生は、サンディエゴでWBCのあの日韓戦をスタジアムで観戦したそうです。うらやましい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月19日 (日)

日本初のジェットエンジン・ネ20の本

日本初のジェットエンジン・ネ20の戦後について以前に書きましたが、クライスター社による試験レポートが公表されることを期待していました。

Bookne20b先日、本屋でぶらぶらしていたら、ネ20に関する石澤和彦氏の著書が目に止まりました。この本はとっくに手に入れて、3DCGでネ20を再現するのに大いに参考にしていたものでした。しかし、何か違うと感じててにとって見ると、なんと増補版になっていて、クライスラー社による試験レポートについても図表を含めて18ページに渡って収録されていました。

さらに、2001年7月にスミソニアン航空博物館で分解されたときの写真が13ページに渡って収録されていました。さらに、現在国立科学博物館が所蔵しているネ20の図面が、30枚収録されていました。さらにもうひとつ、第2次世界大戦中にドイツから潜水艦に乗せられて運ばれたBMW003Aの図面から当時コピーされた図面も収録されていました。

あとの中身は同じであるようだったけれど、躊躇なくレジに向かっていました。CGによる再現の意欲が自然とわいてきました。

ただ、装丁が微妙に変わっていました。私は、ここにレビューを書きましたが、堂々とジェットエンジンの本にふさわしくしてほしかったのです。出版社も、考えてくれたのかな?同様な声も多かったと思います。

増補版では54ページも増えているのに、背の厚さは減っているのは何故でしょう。最近の出版界では、本を厚く見せるための配慮は常識だそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月18日 (土)

非破壊検査入門DVD

Ndi 日本非破壊検査協会から「非破壊検査入門」というDVDが発売になりました。非破壊検査というのは、ものを壊さずに部品や構造体にある目にみえない有害なきずを検出する技術です。超音波・X線・磁気・電磁誘導・毛細管現象など使えそうな物理現象を総動員します。「安心・安全」を支える技術として、今後重要性を増していくと思います。

目次

第一部 (総論) 10分

 非破壊検査の定義と重要性、試験方法の選択、「技術者、機材、試験手順」の確認

第二部 (各論) 48分

 1 目視試験(VT)

 2 磁粉探傷試験(MT)

 3 浸透探傷試験(PT)

 4 渦電流試験(ET)

 5 放射線透過試験(RT)

 6 超音波探傷試験(UT)

 7 アコースティク・エミッション試験(AET)

 8 その他の試験(地中レーダー・赤外線サーモグラフィー・漏れ試験)

 9 ひずみ測定

 10 コンクリート構造物の非破壊試験

それぞれに、原理・現場での適用例などをCGや動画で紹介しています。

私は編集委員として、超音波探傷部門を担当しました。ANA原動機センターに協力していただいたジェットエンジンの検査では教え子が登場しています。

このDVD、文部科学省選定の教材になっていますが、「文部科学省選定(工業高校・青年向・成人向)」という表示になっています。「成人向」となると、何かやばそうなニュアンスがありますが、子どもが見ても「劣情」をもよおすことはありませんので、よろしく(笑い)。

日本非破壊検査協会の案内と購入の申し込みは、こちらまで。  

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月11日 (土)

超音波のかたち

超音波ビーム形状を表示するソフトについて「北海道機械工業会 第26回検査技術研究会」で発表してきました。概ね評判は良かったけれど、やはり近距離音場については議論になりました。難しいところだけれど、フェイズドアレイによる超音波探傷の教材を作っていくことを考えると、まじめに考えないといかんかな。

振動子径の違いによるビーム形状と、周波数の違いによるビーム形状の図を掲載します。 いずれも媒質は鋼を想定しています。

Frq

Trsize

JSWの田中氏の発表の中にあった、端部エコー法で捉えられる限界の割れ開口幅の話は、とても興味深いものでした。

今日は収穫が多かった。

追記:こちらでソフトを公開しました。(12/8)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月 7日 (火)

高校でつまようじブリッジ

Himeji 兵庫県の姫路飾西高校で課題研究として、「つまようじブリッジ」に取り組まれて、先日発表があったようです。

このうち2名の女子生徒さんは、11月のブリッジコンテストに参加してくれました。

競技台まで作成されて、本格的です。来年度の生徒さんも興味を示しているとのことで、強豪になるかな?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年2月 | トップページ | 2006年4月 »