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2006年7月15日 (土)

しのびよる破壊 航空機エンジン(1)

NHKスペシャル テクノクライシス「しのびよる破壊 航空機エンジン」を見ました。

タービンブレードの破壊による飛行中エンジン停止(IFSD:In Flight Shut Down )に問題を絞って番組を作っており、多方面への取材をしていて、記録映像としてはまとまった貴重なものになっています。

でも、「テクノクライシス」というタイトルで、サーバー犯罪やロボットの軍事転用と同列で「しのびよる破壊」としてこの問題を取り上げるのは、明らかに違うと思うのです。「サーバー犯罪やロボットの軍事転用」には、「テクノクライシス」(技術の進歩によってもたらされる新たな危険→危機)という面があります。

この脈絡では、あたかも、航空機エンジンの進歩が、とんでもない破壊の方向に向かっているような筋立てになっています。

実際に戦後60年を振り返ると少年の犯罪件数は減少しているにもかかわらず、最近起きたショッキングな少年による犯罪の数例をとって(映像を何度も繰り返し流しながら)「最近の青少年の凶悪化」などと問題を立てる錯誤に似ています。

AirNHKは昨年8月12日(JAL123便事故の20周年の日)、たまたま福岡空港でJAL-ways機が離陸の際、IFSDを起こし緊急着陸をしたときの様子を撮影しており、その映像を何度も流しています。確かに、ジェットエンジンの後部から火を噴いている映像はショッキングではあります。

でも、ひにくれものの私から見ると・・・

* 炎は一瞬見えるものの、1秒前後で消えている。

これって、すごいと思いません。エンジンで異常が起きて、コックピットに警報が鳴り、パイロットがエンジン停止と消火操作をして、実際に火が消える、というプロセスがこの間に起きているのです。(自動消火のシステムではありません)

* エンジンから炎が出て、止まってしまったにもかかわらず、何事もなかったかのように空港に引き返している。

たとえエンジンが1基しか稼動しなくなっても、最寄の空港に着陸できるようにパイロットたちはシミュレータで訓練されているのですね。もちろん、エンジントラブルが発生した際の対処も・・・。

私は、このNHKの番組でなぜ飛行中エンジン停止率(In Fight Shutdown Rate )について具体的に説明をしないのか、が疑問です。(これを出すとストーリーが成り立たない?)

飛行中エンジン停止率は、大型旅客機に搭載されているターボファンエンジンで飛行時間あたりおおよそ10万分の1です。年間に24回飛行機に乗る人(1ヶ月に1回千歳-羽田を往復 誰のこと? 24×1.5=36時間)がいるとして、IFSDに遭遇するのは、およそ2800年に1度ということになります。もう少し詳しくはこちら

1基止まっても大丈夫。2基とも止まる確率は100億分の1。先ほどの例では、2億8千万年に1度。航空機エンジンの信頼性は、年々高くなっています。

私は、テクノクライシスがこの問題にあるとしたら、2万円そこそこの金額で地上1万メートルを飛び東京-北海道を1時間半で行くのに、それを当たり前だと思っている感覚にあると思います。便利は享受するが、地道に安全を守っている技術者への眼差しは、どうなのでしょうか。

問題があったときに袋叩きにするという姿勢をとって、なお、「完全」を要求することに傲慢さはないでしょうか?彼らも、同時代を生きる人間であり、もしかしたら小学校の時には同じ机を並べたA君かもしれない、と想像をしたときに見えてくるものがあると思います。

明日、飛行機で上京します。明日が2億8千万年に1度の大当たりではないことを祈りつつ・・。

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