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2006年9月20日 (水)

パルテノンと黄金比

パルテノン神殿の話題、黄金比から柱のジョイントに日本製のチタンを使ったを経てアルキメデスのクレーンまで、漂流してきました。私としては、ひとつひとつの話題もさることながら、ブログの面白さを知りました。

北川成人さんのHPを読んで、それについて書いたら、御本人からコメントをいただいてびっくりしました。秋山仁氏や夢枕獏氏等についてもHPに書いていますが、もしかしたら御本人が読んでくれているのかもしれません。私は、批判的に取り上げている方も実名を挙るのは、たいていの場合どこかですごいなと思っている方です。

また、271828 さんが入ってきて、3人でこのブログを通じて見解を交換しました。3人とも団塊の世代、それぞれ生活基盤も考え方も持っている知識領域も違っているのに、「黄金比」という共通の関心事で盛り上がることができました。違っているからこそ、面白いのでしょう。違うのに同時代の空気を吸い、同じように人生を楽しもうとしている。ブログやWEBの世界以外では知り合えなかったと思います。

パルテノン神殿の話題は、とりあえず小休止として、また時間を置いて書いていこうと思います。

一応の締めくくりとして、北川成人さんから私信でいただいたパルテノン神殿と黄金比についてのコメントを、御本人の承諾をいただきましたので、掲載します。

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黄金比は美と理系(数理)が結びついていて同時に二つが楽しめる。そこに黄金比の人気があるのでしょう。

パルテノンは神の像を安置する建物であり、儀式も外で行われ、人が入ることのない建造物です。外からどう見えるか(美しく感じるか)、それを考えて設計されています。

一種の彫刻なのです。美しく見せたい、それがギリシャ人の願いです。
そのため基壇は中央でふくらみ、柱はわずかなふくらみを持ったエンタシスであり、両端の柱はわずかに内側に傾けててあります。“微調整”させているのです。

いかに美しく見えるかに使った寸法は黄金比ではないということだけは強調しておきたいと思います。ギリシャ人が使ったのは柱のベースの直径(モルドゥス)です。その直径は人間の足の大きさからかんがえられています。その何倍を柱の高さにする等で全体の寸法が出ています。部分と全体の調和、比例それを求めていました。

http://trucsmaths.free.fr/nombre_d_or.htm
フランス語の黄金比のページです。途中に人間の腕が出てきます。中世の聖堂を建てるときに使ったものさし=人間尺(指、掌、二の腕等)が出ています。あくまで人間のからだを基本に寸法を採っています。それが西洋の建築です。ギリシャのオーダー(柱)を勉強するのが建築であり、それはついこの間まで(19世紀末)行われていたのです。黄金比は出てきません。
ギリシャ語でキリストはIHCOVCと綴る。これを数字であらわすと888、それで88ピェ8プス(28.5m)が標準的なヴォールトの高さとなりました。

こんなふうに建築では人間尺度が基本なのです。そこに黄金比が入り込んでくるのは19世紀後半からです。
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コメント

SUBALさん、北川さん こんにちは。

ここ2週間大変楽しませて頂きありがとうございました。今後も何らかの進展があったらこの話題を取り上げて欲しいと願っています。

>それで88ピェ8プス(28.5m)が標準的なヴォールトの高さとなりました。
これはメールを交わしていない人にはちょっと分かり難い箇所ですね。

投稿: 271828 | 2006年9月22日 (金) 10時07分

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