必要があって改めて「超音波とは何か」を調べています。なにをいまさら、という感じですが、調べてみると結構驚きます。
こういうものはまずJIS(日本工業規格)での定義から・・・。
「超音波 周波数が20kHz以上の音波」(JIS Z 2300)
あっさりとしたものです。私もこの理解でした。20kHz程度が人間の耳で聞くことのできる限界。音波という物質中を伝搬する振動を、周波数で区別して「超音波」「可聴音」「低周波音」と呼ぶ、と理解していました。
ところがこの定義は狭義であって、広義の定義では『超音波とは聞くことを目的としない音』というのがあちらこちらのあることに気づきました。たとえばこちらやこちら。WEB上にあるだけではなく、技術を解説した文献にも同様な記述がありました。
えっ!「聞くことを目的としない音」ならば可聴音領域の周波数でも「超音波」??それはないだろうと思うのです。
窓から2m先に首都高速がある東京の某ホテルの4階の部屋、あそこで夜通し聞かされた騒音、あれは超音波ですか?トラックの運転手も道路公団のお役人もホテル側も、もちろん宿泊客である私も「聞くことを目的とした音」では絶対にありませんでした。
で、もう少し突っ込み。超音波の利用技術は広範に進んでいるといわれています。その中の「超音波カッター」や「超音波歯ブラシ」、これらはどう見ても波として伝搬しているわけではなく、20kHZ以上の振動を与えているだけです。それらの製品の効果を云々するものではありません。でもこれも「超音波」でしょうか。
周波数が低くても「聞くことが目的でなければ」超音波、振動だけでも超音波、とすれば公園のブランコも立派な「超音波ブランコ」になりませんか?
明らかに「ウルトラ」のインフレーションが起きています。「超」は語感が良いですから、商売上ネーミングに使いたくなるのはわかリます。でも技術や科学に携わる者は、それに追随してはいけないと思うのです。
私はウルトラマンの世代ではなく、幻探偵・鉄人28号・鉄腕アトムの世代です。
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