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2007年3月24日 (土)

「超音波診断法事始」(その1)

1ヶ月前に注文していた本がようやく届いて、読んでいます。和賀井敏夫著「超音波診断法事始」(日本プランニングセンター)です。

Wagai これが想像以上に面白い。和賀井氏は、日本で超音波による人体の診断法を開発してきた方です。NHKの「プロジェクトX」でも取り上げられていましたね。

超音波による診断法は、第2次世界大戦後ほぼ同時期に米国・ドイツ・オーストラリアの学者も開発に着手していました。成果が上がるのも少し日本より早いために、超音波診断法の創始者は、世界的にはそれらの国の人だといわれています。

しかし、現在医療分野で使われている超音波(連続波ではなくてパルス波、透過法ではなく反射法)と周波数帯域を最初から使い、現在につながる成果を上げたのは日本のチームでした。

それがなぜかというと・・・・

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和賀井氏たちの研究が、金属の超音波探傷との出会いからだったことによります。

和賀井氏は仙台の二高時代の友人である大塚孝氏(海上保安庁から日立製作所)から、超音波技術の概要を聞き、外国で人体の診断に応用する研究が始まっていることを聞きます。昭和25年のことです。

昭和26年の初めに、やはり二高の友人である雑賀善規氏が東京工業大学を出て石川島造船に勤めていて、彼から急速に開発が進んでいた金属の超音波探傷を見せてもらいました。これが和賀井氏の研究の始まりだったのです。その後しばらくは石川島造船の技術者の協力を得て研究を進めます。

レントゲン(エックス線)写真がすでにあったことからすれば、連続波を使って透過波の強さの差で透過画像を得ようとする発想は、医学の側からのすればある意味必然的であろうと思います。

Wagai1 超音波探傷の技術は海で潜水艦や氷河を見つける技術の応用から始まりました。この海洋技術は、パルス反射法です。超音波の特徴は電磁波とは違ってごく短い距離情報を伝搬時間から得られることです。

友人関係から、金属の超音波探傷に出会ったことが、和賀井氏の成功の大きな要因だったのです。

15MHzといった高い周波数を使って研究をしていた外国の研究者もいましたが、和賀井氏は今も金属の探傷でも人体の診断でも多く使われる1~5MHzを使って当初から実験をしています。

人体と金属で音響特性は異なるにもかかわらず、しかし最適な周波数帯域というところでは一致した、というのも面白いです。

このあたりは、本に書けるところはそこに書くとして、こぼれる話をこのブログに書いていきましょう。

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