超音波リモコンを最初に作ったのは、1956年米国ゼニスエレクトリック社のロバート・アドラーでした。
彼のリモコンは、4本のアルミの棒を叩いて超音波を発生させるものです。アルミの棒の長さを微妙に変えて周波数の違いを出しているとのことです。「Zenith Space Command」というネーミングで売り出されています。
1960年代には、日本にも棒を叩く方式のリモコンがあったようです。電波によるリモコンも開発されましたが、電波では隣の家のテレビを操作してしまう可能性があり、普及しませんでした。
空気中を飛ぶ超音波は、壁を越えて隣に伝わることはまずありません。音響インピーダンスの差が大きいからです。指向性も直進性もあります。リモート信号の媒体としては、有望なものでした。
日本では、サンヨーが1971年超音波を使ったテレビリモコンを発売しました。
懐中電灯のような形をしています。これがいつまで売られていたのかはわかりません。誤作動が多かったことが、その後の経過から推測できます。根拠はないのですが、20kHz前後の超音波を使っていたのではないかと推測しています。
1975年サンヨーは「新ズバコン」と名をつけて、超音波式のリモコンで操作するテレビを発売しました。売れっ子のキャンディーズをCM使って大々的に売り出しています。
その年、このリモコンを製造して販売する会社(日本セラミック株式会社)が創立(1975年6月)されています。(日本セラミック株のHPによれば、「三洋電機㈱と共同開発したテレビ遠隔操作器具の量産開始」が同年11月)これから見ても「新ズバコン」は並々ならぬ自信と展望をもって発売されたことが読み取れます。
1971年に発売された超音波リモコン「ズバコン」とは、大幅に違うものができたということでしょう。では、何が画期的だったのでしょうか。
可能性のひとつは圧電材料の採用です。40kHzの超音波を発することができます。
もうひとつの可能性は、信号のデジタル化。圧電材料を使うと高周波の超音波を発することができますが、周波数はひとつに決まってしまいます。そうすると音が出ている(ON)出ていない(OFF)で0と1を組み合わせて信号を作るという発想につながりそうです。多分1971年のものに比べると、誤動作はずいぶん少なくなったのだろうと思います。(1971年のものは、特定の周波数の音を受信したらそれに対応する動作をした?)
その当時(1975年)のキャンディーズのヒット曲は「年下の男の子」、「LOVE 投げキッス~♪」と軽快に歌われています。座ったままでテレビに触れずにチャンネルが変えられる。まぁ、投げキッスですね。売れたようです。キャンディーズもこれ以降超売れっ子になっていきます。
それでも、誤動作がなくなったわけではなかった。
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