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2007年5月16日 (水)

エキスポランド事故 写真この1枚

エキスポランドで5月5日に起きた事故について何回か連載してきました。情報が限られる中で、推論を交えながら、いろいろなコメントをいただきながら、少しずつ事故原因のありかに近づいてきたような気がしています。

ニュースで流れた映像などを参考にするために保存していますが、この事故直後の記者会見の写真。いくつかの示唆を含んでいるように思えてなりません。(あえて掲載します)

M5214084 エキスポランドの担当者が、黒板に描いている絵、破断部が車軸の外側のねじ部分になっています。その後、実は破断したのは内側のねじ部であることが公表されるまでに、5日間かかっています。

マスコミもこの発表を鵜呑みにして、図解を掲載しました。

Expoimage2 現場の担当者が、破断部を間違えているのです。実際に破断した車軸をこのとき見ていたのでしょうか?見ずに予断で見解を述べているのでしょうか?見ていて(左右対称ではない)車軸の方向を間違えたのでしょうか?

その意味を考えます。

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どちらなのかはわかりません。しかし、どちらにせよ「破損するとしたら外側のねじ部だ」との思い込みがあったことは確実でしょう。

このブログに「元トーゴ社員」という方からコメントが寄せられました。その方も「外側のねじ部が破損したのだろう」と推測されていました。

車軸の外側のねじ部やそれについているナットあるいはコッターピンに、それまでも不具合が発生していたか、設計上破損するとしたらここ、という見通しがあったのでしょう。

逆に言えば、内側のねじ部が破損するとは想定していない、「想定外の破損箇所」であったということです。

想定外の箇所が破損するということは、設計時には想定していないもうひとつ以上の何かが起きていると考えられます。それこそが、今回の事故の直接の原因でしょう。

それが何かは、現時点ではよくわかりません。しかし、車軸が「圧入」されていたこと、この車軸は定期点検のたびに抜いてまた圧入されていたこと、この事実を「元トーゴ社員」は証言しています。

さらに、ナットの締め付けトルクは定められておらず、ほど良い締め付けには職人のカンが必要だった、ともいっています。

このあたりに何かある、との推測は十分成り立つと思います。

破断面の写真と、車軸の取り付け部の構造がわかればはっきりするでしょう。

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コメント

こんばんは。

>破断面の写真と、車軸の取り付け部の構造がわかればはっきりするでしょう

もうひとつ,点検時の分解手順・方法,ですね。
マニュアルが存在すれば,担当者によって部材の扱い方が異なることは考えにくいので,別の遊園地でも同様の車軸破段は起こり得るでしょう。
他の施設でどのような緊急点検を行ったのか,気になるところです。

投稿: niwatadumi | 2007年5月19日 (土) 02時10分

エキスポランド車軸事故破面
破面をこのブログではじめて拝見しました。提供者に感謝します、破面近傍の軸側面からの写真あるいは図面ががないので、ここでは破面のみの情報から所見を述べます。
1.写真上部に起点があり、それから円周状にき裂が進展し、軸中心辺りでまで進んで水平になっている。、
2.下端にもき裂の起点があり断面の1/5は下側からのき裂である。(これは上部からのき裂の進展で、荷重を負担できる断面積が減少し下端部の応力が大きくなったためである。)
3.破面は典型的な曲げ疲労破面であり、繰返しの曲げ荷重がかかったことを示している。(この軸は回転していなかったのですね、いわゆる平面曲げで、両振り荷重ですが、上部の方が応力は高いようです)
4。破面の殆どが疲労破面であり、繰り返し応力は疲労限度近い。長期間かかってき裂が進展したことを示している。
5.起点はかなり高い応力集中があり、それがき裂発生の原因である。
6.応力集中の原因は、圧入ならフレッティング、ねじ部ならねじ底の応力集中。いずれの場合も寸法効果を考えれば50MPa程度の疲労限度しかない。(S40C程度の炭素鋼でしょうから、これを考慮して設計していたか?State of the artが問われる)
7.検査は初期の2mm程度のき裂深さの段階で検出する必要がある。それ以後のき裂の進展はは速く1年の検査期間では、防止できない。超音波探傷は圧入エコーやねじ底のエコーで、2mm程度のき裂を検出するのは、よほど熟練した検査官でないと無理で、これを期待することはできない。磁粉探傷が有効でしょう。

投稿: K.H. | 2007年5月21日 (月) 11時16分

KHさん こんばんは
ごめんなさい。このブログに掲載されている破面の写真は、今回の事故のものではありません。破面の情報が流れていましたので、近いと思われるものを参考として掲載しました。(明確な但し書きをしなかった私の落ち度です。)
それにしても、写真1枚から、これだけのことが言える鑑識眼には脱帽です。大阪府警も早くこのような専門家に見せるべきなのです。

現在もれ聞こえてきているところによれば、今回の事故の車軸破面は、わたしが例示した写真とよく似ているらしい、との話もあります。
そうだとすると、上記のコメントのほとんどが生きてくるのかもしれません。
本当に貴重なコメントをありがとうございました。

投稿: SUBAL | 2007年5月21日 (月) 20時42分

破面写真の所見について。
軸破面をExpoの事故破面と勘違いして、所見を述べましたが、21日の日経の夕刊によく似た破面の図が掲載されています。これと比較すれば、破面下側からの二次き裂がないのみで、以上の所見はその部分を削除すればそのまま生きています。ただ応力集中はフィレットの段部の可能性もあります。形状が分かればすぐに計算してみます。

投稿: K.H. | 2007年5月21日 (月) 22時03分

K.H.さん
ありがとうございます。参考に掲載した疲労破面と今回の事故の破面が似ているらしいことで、ちょっとほっとしています。今回のもおそらく曲げ疲労であろうと推測できるということですね。

投稿: SUBAL | 2007年5月24日 (木) 01時33分

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