« レ・フレールのピアノ | トップページ | 公開されない情報 ジェットコースター事故 »

2007年5月 7日 (月)

エキスポランド事故と非破壊検査

大阪府吹田にあるエキスポランドで起きたジェットコースター事故、改めて非破壊検査がクローズアップされています。

Expo1 事故原因は、車軸の疲労破壊だとされています。エキスポランド側は「目視で十分と」会見をしていました。これは、疲労割れを知らない人の発言ですね。

初期の疲労割れは、人間の目視下限以下の幅です。ミクロンオーダー。少し成長しても同じ材料ですから、コントラストが小さい。鏡面仕上げでもしていなければ、たいていは目視できません。(アルミの疲労割れは鋼に比べると見えやすい)

Fatigue 目視で疲労割れが見えて、それでもまだ大丈夫な材料は、靭性の相当大きな材料です。それは軟らかい材料で強度が低い材料になるのです。疲労破面の写真を公開してほしいです。材料選択の誤りかもしれないのです。

非破壊検査についてです。

スチールの車軸ならば、非破壊検査の優先順位は次の通りです・・・・。

にほんブログ村 科学ブログへ応援ありがとうございます。今日もポチットクリック。

Br2_2

スチールの疲労割れをごく初期で見つけられるのは、磁粉探傷試験です。強磁性体を磁化して割れのところに生じる漏洩磁束で蛍光剤でくるんだ磁粉をひきつけます。深さ1mm未満の割れでも見つけることができます。

若干感度は落ちますが、浸透探傷試験が次の選択肢です。これは、割れの中にあるオイルや水を取り除いて空にしておかなければなりません。

この2つの方法は、たいていは分解して車軸を単体にして探傷する必要があります。

Expo2 超音波を使う方法は、分解せず探傷をする場合の手段と考えるべきです。

超音波探傷では、たとえ疲労割れが生じていたとしても、その成長をモニターをして管理をしてゆく、という方法を考えたとき、割れの成長をモニターできる現状ほとんど唯一の現実的な手段です。材料とその破壊に関する深い知識と経験が必要です。人間の健康管理と同じです。

それにしても気になる情報があります。Wiiリモコンで3軸加速度を取得するソフトのときにお世話になった平田さんのブログのこの情報です。驚愕です。日本人の中での材料に関する教養のレベルがどんどん落ちていく現状の先に見える光景は、「危ない」といわざるを得ません。

この時点でエキスポランド担当者を責めることは、赤子の手をひねることより簡単です。その前に考えることがたくさんありそうです。安全を確保するには知恵もお金もかかるのです。

|

« レ・フレールのピアノ | トップページ | 公開されない情報 ジェットコースター事故 »

コメント

ご無沙汰してます。佐野です。
材料の実習でしたでしょうか?
旋盤で試験片を作り、それを破壊する実験をした時に、金属とはいえども簡単に破壊されるんだなと改めて感じたことをニュースを見ながら思い出しました。

自分も好きであの系の乗り物には良く乗るので、そんなにいい加減な管理だったのかと思うと、なんだか薄ら寒いような気がします…。

これで少し非破壊検査が身近になり今後の事故が1件でも減ることを切に願ってます。

主人が得意な分野なのでもしかしたらお仕事来るかな?
そうしたらまた出張かと子供達はぶーぶー言ってるのが少々可哀想ですが、頑張ってもらわないと!
やっぱり乗り物は楽しいですから(*^-^*)

投稿: かでち | 2007年5月 7日 (月) 22時56分

かでち こと 佐野くんようこそ。

懐かしいねぇ。今日も学校に君らの1期上かな、学校を卒業してウエストミシガン大学にいったM君が来て、懐かしい話をしました。某外国航空会社で活躍中とか。

この記事は、君のご主人たちの仕事が増えて、今以上に(格段に)社会的地位が上がることを願って書きました。
事故を起こしてしまった人も、材料の破壊や非破壊検査について勉強をしてほしい。それに彼らをヒステリックに非難をするだけで、安全管理を地道に行っている人への想いをいたさない、ではだめ。そう思います。

投稿: SUBAL | 2007年5月 8日 (火) 00時15分

初めまして、摩耶と申します。
ガチガチの文系でしたので視野を広げたいのと、子供が理科の楽しさを知るきっかけになればとの思いから拝見しておりました。
お尋ねしたいのですがランキングに寄与したくポチとしますが、画面が変わって検索欄が出て来ます。これで終わっていいのでしょうか?いつも良く分からずに閉めてしまうのですが・・・。
全くのパソコン音痴で恥ずかしいです。

投稿: 摩耶 | 2007年5月 8日 (火) 10時25分

>「目視で十分と」会見をしていました。これは、疲労割れを知らない人の発言ですね。

日航ジャンボの墜落事故も圧力隔壁の疲労破壊が分かったのは少し立っていたという気がしますが、それ以上にこれは担当者の認識不足なんですよね。(有力メーカーの出資がある遊園地なんですがこういう技術は伝わらなかったみたい。)
少なくとも浸透探傷試験はしなければならないと思います。
>この時点でエキスポランド担当者を責めることは、赤子の手をひねることより簡単です。その前に考えることがたくさんありそうです。
本当ですね、TBを掛けておきます。

投稿: デハボ1000 | 2007年5月 8日 (火) 19時07分

摩耶 さん ようこそ
小樽にお住まいなのですね。ブログを拝見しました。50マイルほど南にいます。つれれあい殿と知り合ったころ、子供が小さかったころ、よく小樽に行きました。ガラス工房でガラス細工をさせてもらったり、手宮の鉄道記念館の案内者の名調子に聞き惚れたり、思い出がいっぱいあります。
人形、品があってよいですね。わたしもちょっとだけ陶芸をやっています(した?)。品の良い作品をつくりたいのですが、地が出てしまい、思うようにいきません。
いろいろな方に見ていただけているのだなぁ、とうれしく思いました。これからもよろしくお願いします。
「科学ブログランキング」のページが出てくれば、それで1票になります。いつもありがとうございます。

投稿: SUBAL | 2007年5月 8日 (火) 19時47分

SUBALさん,こんばんは。
僕たち検査屋の仕事が世間に知ってもらえることは良いことなのだとは思いますが,それが不幸を土台にしていることはとても残念です。

投稿: niwatadumi | 2007年5月 8日 (火) 21時17分

デハボ1000 さん こんばんは
金属疲労か否かは、それなりの経験をつんだ人が目視で確認してもたいていはわかるはずです。日航ジャンボの墜落事故(1985年8月12日発生)でも、直後に圧力隔壁の破断面のレプリカがとられ、金属疲労であることは確認されていました。修理ミスが発端であることがわかるのは、航空事故調査委員会(事故調)からは外れていた寺田博之氏(航空宇宙技術研究所 当時)による計算によってでした。9月8日の朝日新聞に公表されて世間の知ることとなりました。

吹田の事故は、デハボ1000 さんがいわれるように、原因の解明はまだされていません。破断面すら公表されていません。疲労破壊だっていろいろなのです。にもかかわらず責任追及だけが先行している。その熱ももう冷めようとしている。危ないと思います。

niwatadumi さん
その通りですね。こういう記事は襟を正してでないと書けません。学生たちには、今学んでいる技術は、血の犠牲の上に成り立っているということを機会を見て話すようにしています。

投稿: SUBAL | 2007年5月 9日 (水) 00時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/23508/6340434

この記事へのトラックバック一覧です: エキスポランド事故と非破壊検査:

« レ・フレールのピアノ | トップページ | 公開されない情報 ジェットコースター事故 »