磁粉探傷での指示模様
エキスポランド事故で疲労破壊した車軸の非破壊検査では、最優先で行うべきは磁粉探傷です。
磁粉探傷は、強磁性体(磁石につく材料)に適用できます。試験体を磁化すると、割れのある場所から漏洩磁束が発生します。漏洩磁束が発生した場所にはNSの磁極ができていますので、鉄粉をひきつけます。この鉄粉(磁粉といいます)を人間の目に見やすくしておくと、割れのある場所がわかります。
暗い場所でブラックライト(紫外線照射灯)で照らしながら行うのが蛍光磁粉探傷です。この方法は、周囲を20ルックス以下の暗さにして行うことが必要です。このことから日中や屋外ではできないとの誤解が、時々あります。周りを暗くすれば良いのですから、暗幕をかぶればどこでもできるのです。実際、私が現場の検査屋だったころはそうやりました。
それは、蛍光磁粉と着色磁粉では、見え方(コントラスト)がぜんぜん違うからです。写真では、伝わりにくいところがありますが、実物では黒色磁粉など使う気が起きないほどの差です。
なぜ、こんなに差があるのかといいますと、
| 固定リンク

コメント
蛍光磁粉探傷は広く有用に使われています。新幹線車軸の出荷検査のみならず、新幹線の走行距離90万km毎に車軸を車輪から(圧入されている)から抜き取り、磁粉探傷が行われています。一日の走行キロが2000kmとすれば、検査周期は1年半くらいででしょうか。1966年2月24日にひかり号が浜松駅近くで、車軸の疲労破壊を起こして以来、車軸の研削や熱処理条件を徹底的に改善し、10年以上もまえからこの磁粉検査で廃却される軸はなくなりました。この磁粉検査基準は深さ0.3mmのき裂が圧入部に見つかれば廃却すると言うものです。
現在では、検査員が磁粉疵を見る機会もなく検査を続けており、そのモーチベーションと技能をいかに保持するかが課題でしょう。
ところで、このき裂深さ0.3mmをどの様に測定するか、非破壊検査の専門家の皆さんはご存じですか。
新幹線車軸は高周波焼き入れされているために、表面には降伏点に近い圧縮残留応力が付与されています。このため、き裂は硬く閉じられています。しかも表面はフレッティングコロージョンに覆われています。これらが検査能力に及ぼす影響は非破壊検査の教科書に書いてありますか。教えてください、
投稿: K.Hirakawa | 2007年5月29日 (火) 11時53分
K.Hirakawa さん こんばんは
ライフワークとなった車軸の件ですね。「磁粉検査基準は深さ0.3mmのき裂」ですか。圧縮残留応力のあるところでの深さ0.3mmは厳しいですね。
>ところで、このき裂深さ0.3mmをどの様に測定するか、非破壊検査の専門家の皆さんはご存じですか。
私は、わかりません。探傷方法としては、交流コイル法か極間法でしょう。現在の非破壊検査技術にとって深さ方向のサイジングは、どの手法でも難しく決め手に欠いているところです。
電位差法(割れをまたいで電極をおいて電位の変化をとる方法)というのがありますが、この条件では多分無理でしょう。
非破壊検査は比較法ですから、破壊検査と照合しながら、非破壊的に得られる現象を見つけていくことになると思いますが、教科書等にもこのあたりのケーススタデイが公開されていることはほとんどないというのが現状です。
私として試してみたいのは、蛍光磁粉探傷で磁化電流値・磁粉種類・検査液濃度・適用方法を固定して、磁粉模様の形成時間と割れ深さの相関を取ることです。たとえば、12秒程度で出現するのが深さ○mmであるというような・・・。溶接部に生じたミクロ割れを探傷したときの経験から来る問題意識です。多分ピントが外れていますね。
投稿: SUBAL | 2007年5月29日 (火) 22時13分
横からこんばんは。
>ところで、このき裂深さ0.3mmをどの様に測定するか、非破壊検査の専門家の皆さんはご存じですか。
磁粉探傷で深さのサイジングとなればやはり高周波焼入れして焼き割れしたピースを顕微鏡で採寸し,対比試験片とする他にはチョット思いつきません。
渦流探傷の方がサイジング向き,しかも自動化向きと思いますが…。
投稿: niwatadumi | 2007年5月29日 (火) 22時47分
niwatadumi さん
渦流探傷を強磁性体に適用すると、ノイズが多くなりますよね。
投稿: SUBAL | 2007年5月30日 (水) 22時43分
こんばんは。
ノイズ対策として,いろいろな検査会社でリモートフィールド法を使っていますよ。熱交チューブばかりなんですけどね。
投稿: niwatadumi | 2007年5月30日 (水) 23時58分
niwatadumi さん こんばんは
渦電流探傷については、新しい技術を追いかけていませんでした(汗)。
リモートフィールドは、低周波で行わなくてはならないので、表面割れに対する感度は低くて実用的には減肉を調べる用途で使われるものと思っていました。
強磁性体の割れの検出を渦電流でやろうという試みや研究がなされているのは知っていましたが、実用化はまだという認識でした。
投稿: SUBAL | 2007年5月31日 (木) 00時48分