パリス則がわかるソフトウエア
パリス則(Paris Law)は、疲労き裂進展速度da/dNと応力拡大係数範囲ΔKの関係がほぼ直線とみなせる領域が現れることから、式da/dN=C(ΔK)^mであらわされます。C,mは材料定数。
疲労き裂進展速度da/dNと応力拡大係数範囲ΔKの関係をプロットしたグラフは、パリス則が成り立っていることを確認するのには良いのですが、疲労き裂進展の実体と重ね合わせて理解することは困難です。
そこで、パリス則を、繰り返し数とき裂長さの関係にして、両対数グラフにプロットするソフトウエアを作りました。公開します。
一昨日の記事へのコメントで述べた、き裂深さ2mmと10mmから20mmまで成長するサイクルをプロットした実行画面です。20mmまでを寿命とすると、2mmの時点と10mmの時点では残寿命はおよそ10倍1/10の関係にあることがわかります。
エキスポランドの事故では直径30mm強のねじ部で、2/3ほど疲労き裂が進展して、その後塑性崩壊をしているように見えます。
パリス則についてとソフトウエアのダウンロードは続きで・・・。
左は、パリス則の計算に使う材料定数Cとmを求めるグラフです。縦軸が疲労き裂進展速度da/dN、横軸が応力拡大係数範囲ΔKで両対数グラフになっています。中ほどに直線が引いてありますが、この直線の傾きがmです。そして、ΔK=1となる縦軸の切片の値がCになります。(米国ですので単位がインチ・ボンドになっています)
このグラフは、1989年米国で起きたユナイテッド航空232便(第2エンジンのファンディスクが疲労破壊して油圧系統が効かなくなりスーシティー空港に強行着陸した)の事故後、米国航空当局(FAA)が事故調査報告とは別に、チタニウム合金製のファンディスクに関する疲労破壊のメカニズムとその防止策に関する調査研究をまとめた報告書「Turbine Rotor Material Design」からパリス則を表すグラフの一例として引用しました。
以前 破壊力学の研究者に聞いたところ、対数グラフに当てる定規の当て方でCもmも結構変わるとの事でした。このグラフを見ると納得がいくところです。
このソフトで遊んでいると、疲労き裂の進展のイメージがわいてくるのと、Cやmの違いがどのくらいの差になるのかも、イメージが出来てきます。
このソフトウエアは、「非破壊検査技術者のための金属材料概論」日本非破壊検査協会刊(1998年版)のP162に掲載されているコードをベースにして、「パラメータの値を変えて計算し、両対数グラフにプロットしてみると式(7.18)で表されているパリスの法則の意味が明らかになる。」という記述に従って、計算とプロットをコンピュータに実行させるようにしたものです。
このソフトウエアを使うにあたっては、疲労破壊の基礎と応力拡大係数をキー概念とする破壊力学の基礎を勉強をしてからのほうが楽しめると思います。
フリーソフトとして公開します。
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» 応力拡大係数と破壊靱性値を理解するソフト [かたちのココロ]
き裂のある部材がどの程度危ないのかを判断するために役に立つ係数として「応力拡大係 [続きを読む]
受信: 2007年6月18日 (月) 01時12分
コメント
こんばんは。
「初期値割れ長さ」を変えて計算・グラフ表示させたときに前のグラフが消えないところがミソですね。
投稿 niwatadumi | 2007年6月19日 (火) 22時27分
niwatadumi さん こんばんは
応力拡大係数を理解するソフトもこのパリス則のソフトも、私の学習ノートのようなものです。ノートに計算して図を描くのを、PC上でやっています。まぁ、だから自分にわかりよければ良いや、というところがありますが、使ってみてください。
投稿 SUBAL | 2007年6月20日 (水) 00時02分
亀裂進展のパリス式の応用例
パリスの式は dN=da/C(ΔK)^m
となりますから、これをaで積分すればNを求めることができます。そこで、繰返し曲げ応力を受ける径30mmの亀裂の進展速度を求めました。
曲げの応力拡大係数は、
K=σ√(πa)×F(a/W),
F(a/W)=1.122-1.40(a/W)+7.33(a/W)^2-13.08(a/W)^3+14.0(a/W)^4
を代入して、積分すれば軸径W=30mmの場合の、初期亀裂長さ2mmからの進展寿命に対する10mm及び5mmからの進展寿命の比は、それぞれ0.078, 0.321となります。引張り荷重の場合は0.11でしたが曲げの場合は0.078となりました。いずれにしても,10mmから進展する寿命は、2mmからの1/10程度です。
この結果は、寿命比をとっていますので材料常数Cにも応力σにも依存しない、すなわち荷重を仮定しないで求められます。
すでに先週にコメントしたのですが、載りませんでしたので再度コメントします。
投稿 K. Hirakawa | 2007年6月21日 (木) 10時31分
K. Hirakawa さん
コメント有難うございます。
曲げの場合の寿命比を教えていただき有難うございました。
ストライエーションが観察できて、繰り返し数や荷重が推定できれば、点検サイクルや非破壊検査で検出しなければならない最小割れのサイズがわかるということですね。
>先週にコメントしたのですが
これは、こちらに届いておりません。何かの手違いかと思われます。
投稿 SUBAL | 2007年6月21日 (木) 21時11分
こんばんは
エキスポ関連で新たな情報が発信されています。自分のブログではかなり過激な事書いてしまいましたが、
ご質問があります。
今ある疲労亀裂が径30mmに対し20mmとします。
亀裂に至る応力が曲げとして、2mmの亀裂に戻るにはどのくらいの時間を遡ればよいでしょう?
材料係数や応力によりかなりの違いがあるかと思いますが。
お教えください。
投稿 和太郎 | 2007年6月24日 (日) 23時16分
おはようございます。別記事にしました。どうでしょう。
投稿 SUBAL | 2007年6月25日 (月) 04時11分