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2007年8月22日 (水)

「破壊事故-失敗知識の活用-」

新刊本の紹介です。

破壊事故―失敗知識の活用 破壊事故―失敗知識の活用

販売元:共立出版
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破壊力学の日本における第一人者である小林英男(横浜国立大学教授 元東工大教授)氏の編集で、材料にかかわる破壊事故を体系的にまとめた本です。

こういう本が出版されるのを待っていました。執筆者のお一人から送っていただきました。とてもありがたいです。

29の事例について、事実・原因・対策・エピソードが大変読みやすく書かれています。ただ事例を集めただけではなく、材料が原因で起こりうる事故例として分類してまとめられています。ここまでまとまった本を、私は知りません。

目次を紹介します。

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1 破壊事故の調査と解析技術

2 破壊モード、損傷モードと事例

3 脆性破壊〈金属がガラスのように割れる〉

4 疲労破壊〈金属疲労は勤続疲労〉

5 クリープ破壊〈金属は高温使用で伸びて壊れる〉

6 応力腐食割れ〈銹びないステンレス鋼が腐食で割れる〉

7 エロージョン/コロージョン〈材料は水の流れで削られる〉

8 材料劣化〈材料も人と同様に老化する〉

9 大規模破損〈不安定、崩壊、爆発、転覆、倒壊、墜落はなぜ起きるか〉

10 事故統計データと関連の法規制

どうですか?サブタイトルがよく練られていると思いませんか?

「序」で述べられていますが、破壊はものをつくる工学の世界の裏側にある世界です。あまり表に出てこない世界です。各分野の専門家の間の知識としては常識とされながら一般に共有されることはほとんどなかったでしょう。

設計屋さんや設計を学ぶ人にとっては必読でしょう。私たちのような検査屋さんも教養として事故事例の知識は身につけるべきだと考えてきました。私は、自分で事故事例を集めてきましたが、なかなか体系的に理解するのは難しいなぁ、と感じてきました。

失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する 失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する

著者:中尾 政之
販売元:森北出版株式会社
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その意味で、先に発刊された「失敗百選」は、はっきりいって事故事例をこのようにまとめてはいけないという見本のようなものと思っています。

失敗の知識化や事故事例からいかに次に活きる知識を得るかについて感心のある方は、この2冊を比べて読むと良いかもしれません。若い学生さんは、そのアプローチの違いを研究してみるのも面白いかもしれません。

この2冊の本は、「失敗知識データベース」から生まれた本です。

事故を扱うマスコミの方も、ぜひこの「破壊事例」は読んで、予備知識を持って事故現場に立ってほしいと思います。見え方が違ってきます。

本の装丁も、ビニール張りの表紙で、現場において多くの人が何度も参照することを、おそらく想定しているところもよいですね。

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コメント

なかなか興味深いホンですね。でも購入のために奥さん攻略作戦を練らないといけません。これまで何度失敗したことか。その経験を生かせるといいのですが…。

投稿: niwatadumi | 2007年8月23日 (木) 12時28分

niwatadumi さん こんばんは
奥さん攻略頑張ってください。会社の上司攻略という手もあると思いますが・・・。現場に1冊あってよい本だと思います。

投稿: SUBAL | 2007年8月24日 (金) 00時18分

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