2007年8月 5日 (日)

水晶振動子の超音波探触子

ドイツにある某超音波探傷の研究所に勤めている友人(知人かな?)から、水晶を振動子として使っている超音波探触子が送られてきました。

Quartz_transduce 水晶は、キューリー兄弟が発見した圧電材料で、超音波の利用技術の始まりとなったランジュバンも水晶を使ってランジュバン型振動子を作りました。

でも現在では、超音波探傷に使う振動子材料はほとんど100%といっていいくらいPZT(ジルコンチタン酸鉛)です。

もう、かれこれ四半世紀この技術に携わっていますが、水晶振動子の探触子を見たことはありますが、仕事で使ったことはありません。

水晶を使った探触子には、試験体の金属を電極として使うためのスプリングが出ています。おそらく試験体上でこすることに耐える電極を貼り付けることが難しかったのでしょう。

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2007年8月 1日 (水)

ブログ記事を本にして保存

5月に起きたエキスポランドジェットコースター事故について、いくつかの記事を書きました。そして多くの方から、貴重なコメントをいただき、私も間違いや勘違いをしながら、考えを進めてきました。

現在までのところ原因究明には至っておらず完結していませんが、ブログ記事という遷ろいやすいところに放置しておくのはもったいないな、と考えていました。記事を印刷して閉じて保存しようかと考えていたところ、日本ブログ村のページでブログ出版局というのが目に付いて、値段もそう高くなさそうなので、試しにやってみました。

Blogbook0 本日届きました。新書版のサイズです。本の紙も印刷も悪くないですね。製本もしっかりしている。

Blogbookindex これが目次です。ちょうど100ページの本になりました。

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2007年7月25日 (水)

超音波ビーム ソフトウエア 更新

超音波ビーム形状を理解するソフトウエアを更新しました。

Ultrasonic_beam_1 今回の更新のメインは、ビーム中心軸上の音圧を表すグラフについて、精度を上げて、少なくとも近距離音場限界距離(X)の一つ前の谷の部分では音圧がゼロになるようにしました。

振動子直径や周波数を変更すると、指向角と近距離音場を表す線と連動してビーム中心軸上の音圧を表すグラフが、アニメーションのように連続的に変化します。

自分で言うのもなんですが、これはいける。

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2007年7月21日 (土)

超音波による霧とトルネード

一昨日、愛知県豊橋市にある本多電子株式会社を訪問してきました。

Hondadenshi 本多電子さんは、超音波技術に関して幅広い開発を行っており、本社内に「超音波科学館」を設置しています。

予想どおり面白かったですね。超音波を体感できるようになっています。愛地球博用に作ったものは、子供でも超音波を楽しめるようになっています。

実験研究としては成功したが製品には至っていないという技術も展示してあって、面白かったです。(最後にアンケートを書くのだけれど、『超音波をこんなものに使えそうというアイデアはありますか?』という質問項目がありました。ここにこの企業の超音波技術に対するスタンスが見えて、いいなぁと思いました。)

ここで勉強した内容は、執筆中の本に反映するとして、今日は超音波による霧化について紹介します。

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2007年7月 6日 (金)

支笏の森で波の干渉

お客さんを送って支笏湖まで行ってきました。近場ですが、北海道の湖の中で好きなほうです。

Yamasen 支笏湖に流れ込む川から山線鉄橋(昔イギリスの技術で石狩川に架けられたダブルワーレントラスを移転再現されたもの)越しに支笏湖と恵庭岳が見えています。

Mori こちらは樽前山方向、川の上流を見ています。

きれいな水面を見ていたら、急に重ね合わせの原理を説明する波の干渉写真を撮れるかも知れないと思い立ちました。

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2007年7月 4日 (水)

牛肉を超音波で判定

牛肉の質を超音波で判定するという記事がこちらのサイトで紹介されています。こちらのブログで紹介されていて知りました。

生体の中で超音波は、透過・反射・屈折の挙動をします。反射と透過は、音響インピーダンスに影響されます。音響インピーダンスは、音を伝える物質の音速と密度の積です。

Pig 音響インピーダンスの差が大きいほど反射しやすくなり、小さいほど透過しやすくなります。

左は、「超音波便覧」(丸善)に掲載されていた、豚の肝臓・脂肪のの割合と音速の関係です。このようなデーターの蓄積は進んでいるようです。

Jing 生体の音速は水の音速に近く、組織によって微妙に異なります。映像に映っていたのは人体に使うアレイ探触子に良く似たものでした。そうすごい技術とは思えませんでした。傍らにあったダイヤル式チャンネルが付いたテレビに目が行ってしまいました。(写真は何の関係もありませんが、正しいジンギスカンなべの始まり方です)

昨日のNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」 では、外科医幕内雅敏氏の肝臓がんの手術の様子を放映していました。

それにしても、人間の肝臓の中から100個近い悪性腫瘍を切り出す手術はすごかったです。

術前も術中も超音波で悪性腫瘍を確認していました。開腹して、肝臓に直接超音波プローブを当てていました。きれいな断面映像が映っていました。ガン組織とそうでないものをどのように区別をしているのでしょうか。

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2007年7月 1日 (日)

ステルス爆撃機と蛾

この前の記事で、蛾のかたちが超音波による探査から身を隠すものではないか、と書ききました。

それってステルスということですよね。勘のよい方からコメントが寄せられました。

  蛾を観察していると、たとえばススメガの仲間はステルス爆撃機のB-2によく似ていると思うのです。

St5色情報を取り去ってモノクロにしてみました。どうでしょう。

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2007年6月30日 (土)

蝶と蛾 かたちのココロ

超音波に関する書籍を執筆しています。年末発刊を目標にしています。

その中で動物の超音波も取り上げていますが、定番はコウモリとイルカでしょう。どちらも調べれば調べるほど面白いです。捕食関係にあるコウモリと蛾の超音波をめぐる攻防については、書籍のほうに書いておきました。今日は、そこからはみ出してしまった蛾のかたちについて。

蛾と蝶は、夜行性と昼行性、触角の形、色の派手さ、胴の太さなど区別が容易だと思っていたら、どれも決め手はなく鱗翅目(りんしもく)の中の科の違いでしかないということのようです。

Ga 例外があるとはいえ、夜行動する蛾が多くそれらは羽を広げて休み、昼行動する蝶は羽を立てて休むことが多いのは間違いないでしょう。

超音波探傷をやっている目で見ると、蝶の止まり方は超音波を当てると「コーナーでの2回反射」で、発信源に超音波が帰って来やすいかたちに見えます。

それに対して蛾の止まり方は、反射源として考えると捕らえるのが難しいなぁ、と思うのです。

Moth2 蝶と蛾のかたちをCGで作ってみました。超手抜きですが、前2つが蛾、左のが蝶のつもりです。

これを反射の視点ででみると、どうなるでしょう。CGで試してみました。

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2007年5月12日 (土)

エキスポランド事故 車軸のかたち

車軸の形は、どんなのだろう、それによって探傷試験を適用する際の問題点が浮かび上がります。

あまり情報はないのですが、こちらの記事に掲載されている写真を元にCGで再現して見ました。よくわからないところは、想像で補っています。

Expoimage1 車軸はボルト状になっており、両端をキャッスルナットで締めるようになっています。キャッスルナットは、振動によってナットが緩むのを防止するために、西洋のお城の塔のような切込みが入っていて、コッターピンで止めるようになっています。(ゆるみ止め対策もねじのことならこちらの本を参照)

今回破断したのは、内側のねじを切ってある部分の端のようです。断面急変部、本体との取り合いはよくわかりませんが、最大曲げモーメントになるところの応力集中、典型的に疲労破壊が起こりそうな場所です。

このCGで探傷検査におけるいくつかの問題が浮かび上がってきました。

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2007年5月10日 (木)

エキスポランド事故と金属疲労

エキスポランドの事故について、疲労破面の様子が明らかになりつつあります。

「折れたのはナットが付いた車軸のいちばん端の部分で、軸の方向に対し垂直に真っ二つに切れたように折れていました。警察が折れた部分の断面に光を当てるなどして調べたところ、断面の4分の3ほどに波状のしま模様が残されていることがわかりました。これは、力が繰り返し加わることで徐々に亀裂が広がる金属疲労に特徴的なもので、警察は、金属疲労が起きて車軸が折れたと断定しました。また、断面の残る4分の1ほどには表面に凹凸がみられるということです。」(NHKニュース

Fati上記の引用の最後の部分が重要です。最終破面率25%ということです。前回の記事で予想したうち高靭性材料の高サイクル疲労、と考えられます。(注:左の写真は、今回の事故の車軸のものではありません。疲労破面の参考例です。)

とすれば、次のことが言えます。

          

(1)解体して点検すれば、注意深く見ると目視でも確認できた時期があるはずです。(エキスポランドの行った目視とは、解体もせずに外側から眺めただけ?)

(2)非破壊検査をしていれば、JISに定められた3つの方法のどれを適用しても、ごく早いうちに間違いなく発見できています。(これを見つけられない非破壊検査なんて存在意義がない、とまで言い切れます)

(3)疲労亀裂はこの車軸だけであることは、ほとんど考えにくい。(ほかにもいっぱい出てきて当たり前)

超音波で模擬実験を行った映像は、続きで・・・。

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2007年5月 4日 (金)

Savart's Wheel

人類が周波数の高い音としての超音波を最初に実験的に確認した装置です。

Savarts_wheelimage フランスの物理学者フェリックス・サバールが作りました。ビオ・サバールの法則を発見したその人です。サバールの主な研究は、音響学だったといいます。

回転する歯車のところに、カードを当てて強制振動を起こして、その発する音を観察しました。24kHzまで出せたといいます。シンプルでわかりやすいですね。ここにある写真を参考にCGを作りました。ケルビン卿もこの装置で実験したであろうという記述もあります。ケルビンもケンブリッジ大学を出ていますね。そういえば・・・

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2007年5月 3日 (木)

Galton's Whistle(original version)

Galton自身が考案して作ったオリジナルバージョンのガルトン笛のCGです。

Galtonwhistle3 ゴム球からのエアーで笛を鳴らすようになっています。数秒間ですね。

右側のマイクロメーター機構で共鳴筒の長さを微調整できるようになっています。周波数が調整できる犬笛といってよいでしょう。

ガルトンの計測によると、人間の可聴限界は18kHzとされました。

Galtonwhistleedelmanncg6 ついでに、エーデルマンによって改良されたガルトン笛のCGも明るめバージョンを作ってみました。

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2007年5月 1日 (火)

超音波を発生させる笛

昨日のガルトン笛(Galton's whistle)のCGを少し手直ししました。

Galtonwhistleedelmanncg_2 必要があって描いているのですが、ここまでやる必要はないのです。でもついつい、のめりこんでしまいます。

エッジトーンで音を発生させています。フルート・オカリナ・尺八・ケーナ・・・ほとんどの笛がエッジトーンを使っています。共鳴筒の長さによって音程を変化させています。

このガルトン笛では、右側から空気が出てきて左側の筒の(円周にある)エッジに当てて音を出します。左側のマイクロメーター機構で中のピストンの位置を変えて、共鳴筒の長さを調整できるようになっています。右側のマイクロメーター機構でクリアランスを調整します。

汽車の汽笛などを作っていたEdelmannによって改良されたガルトン笛は、数千個作られ輸出されたようです。

日本では、現物の写真を確認できるのは、小林理研のページと新潟大学工学部のサイトで旧制新潟高等学校の実験器具を紹介したページにあるだけです。

Edelmannのものには、下の台にシリアルナンバーが打ってあります。小林理研のガルトン笛のシリアルナンバーは3024(?)に見えます。私がCGを作るために参考にした写真はでは990(?)に見えます。

多分、旧制高等学校などの伝統のある学校や研究機関の倉庫の隅に眠っているものもあるのでしょう。

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2007年4月30日 (月)

ガルトン笛

久しぶりにShadeで絵を描きました。

ガルトンの笛(Galton's whistle)です。19世紀にFrancis Galtonは圧縮空気を使って超音波を出す笛を作り、動物の超音波に対する反応を観察しました。空気では30kHzまで、水素を使って80kHzまでの超音波を出したと、文献にあります。

Galtonwhistleedelmanncg 今回のCGでは、Edelmannによって改良されて、1900年に110kHzを記録したというものを再現してみました。

    

    

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2007年4月26日 (木)

超音波リモコンはなぜ消えた(4)

赤外線リモコンでは、周囲の赤外線によって誤作動をしない仕掛けがしてありました。

超音波を使ったリモコンでも同様のことができたはずです。超音波発生の仕組みは、たいていの場合圧電材料に電圧をかけて振動させます。PZT(ジルコンチタン酸鉛)というファイセラミックスです。電圧をかけるとブルンと振動する。ですから、超音波の発信というのはコイルと磁石を使ったスピーカーのようにいろいろな周波数が出せるわけではありません。

Piezo 言ってみれば電圧で叩く太鼓のようなものです。左の写真は、上が振動子をつけていないときの波形、振動子を叩く電圧を表していおり、下は振動子をつけて振動子が振るえている波形です。

およそ10波程度が出ています。すべてがこうなるわけではありませんが、おおよそこんな様子でしょう。

空気中で20kHzですと、10波でおよそ170mm、時間にすると500μ秒程度です。これですと600μ秒と1200μ秒の間隔で0と1を信号として送受信するには厳しいかもしれません。

空気中の超音波としてよく使われる40kHzの超音波では10波でも250μ秒です。

この辺の実務はまったく知りませんが、不可能ではないような気がしますが、いかがでしょう。

もちろん0と1をあらわすインターバルをもう少し長くとることも可能でしょう。

私にある推測が生まれました。

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2007年4月25日 (水)

超音波リモコンはなぜ消えた(3)

超音波リモコンがTV本体とどのような通信を行っていたのかはわかりません。

現在の赤外線リモコンのにおける通信は、たとえばこちらのページに解説がされています。この分野はまったくの門外漢、素人の私が私流に読み解くと・・・・。次のようになっているようです。

(1)ドアをノック(ちょっとちょっとリモコンの赤外線デェ~す)

(2)名を名乗る(東芝のTVリモコンでおま)

(3)命令送信合図(ほな、ご主人様の命令を送り待っせ、よろしいか?)

(4)命令送信(ボリューム上げておくんなはれ)

(5)終了宣言(以上だす)

Led 命令部は、0と1を赤外線が発信されないインターバル時間の違いで送っています。

(1)(2)(3)というプロセスがあってはじめてデータ部の命令を受け取るようになっています。

これですと、赤外線を出すものが近くにあっても、それのよって誤作動することは、ほとんどなくなります。うまくできています。

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2007年4月23日 (月)

超音波リモコンはなぜ消えた(2)

サンヨーが発売した超音波リモコンつきテレビ「ズバコン」、1971年から1978年ぐらいまでは販売していたようです。(1975年からという情報もあります)

Sanyorimocon2 身の回りにある音が鳴ることによって誤作動をしたようです。たとえばこちら

音には倍音が含まれることから、聞くことのできる音の中にも超音波が含まれることがあります。

でも、現在広く使われている赤外線を使ったリモコンでも、赤外線も回りにたくさんありますので、同じことが起きてもおかしくありません。

Wiiのリモコンは、リモコン自体が「センサーバー」から発せられる赤外線を受けますが、ろうそくの光でも代用できるという話もあります。太陽光や電灯、熱源があれば赤外線も出ています。

超音波による通信では、誤作動を防ぐ処置が難しいのか、あるいは技術的にかコスト的にか赤外線方式に勝てないということでしょう。

サンヨーのズバコンがTVとリモコンの間で、どのような通信を行っていたのかは、よくわかりません。

Tvrimocon1jpg 現在の赤外線方式のリモコンでは赤外線を発するLEDを点滅して通信しています。デジタルカメラのモニターで見ると赤外線とその点滅が確認できる場合があります。

赤外線リモコンの点滅がどの程度の間隔で行われ、それが意味するものは、こちらこちらに詳しく書かれています。いくつかの方式がありそうですが、

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超音波リモコンはなぜ消えた(1)

テレビのスイッチのオンオフやチャンネルの切り替えは、リモコンで行うのが常識になっています。

Tvrimocon チャンネルを回す、という言い方もそろそろ死語になるのかもしれません。かつてはガチャガチャとまわしていました。

Sanyorimocon 線のないリモコンは、サンヨーが最初に売り出しました。このときリモコンとTVの間に飛んでいたのは超音波でした。こちらに、そのときのコマーシャルがYOU TUBEにアップされていました。貴重な映像です。

キャンデーズが元気いっぱいです。143000円、高価なテレビですね。

この超音波を使ったリモコン、1年足らずで姿を消してしまいました。現在は、赤外線を使っているリモコンがほとんどです。

(注:その後の調べで、日本では超音波式テレビリモコンは、1971年に登場して1978年ごろまでは販売されていたことがわかりました。シリーズ第5回を参照

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2007年4月21日 (土)

野菜売り場の超音波

今日は意外なところに、超音波の未来が・・・というお話。

Mist スーパーの野菜売り場に行きますと、細かな霧が流れていることがあります。霧なのだけれどべたべた手にまつわりつく感じはしません。細かいのですね。

野菜の乾燥を防ぎ鮮度を保つ目的で流されています。

Mist2 この霧、超音波で作っています。棚の上を見るとコントローラーがあります。水を超音波領域で振動させてキャピラリー波を起こさせて発生します。

キャピラリー波、毛細表面波といって液体の表面張力を復元力として使う波です。界面を変化させますので、計測とは違った新たな超音波の可能性が期待されています。執筆中の本に書きたいと思っています。

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2007年4月13日 (金)

日テレ番組の安易 「エコーの開発」物語

日本テレビ系列の「未来創造堂」で、胎児の超音波診断装置「エコー」の開発物語をやっていました。

悪い予感が当たりました。技術の開発物語を取り上げるのに、何が問題であったのかについての「うそ」はすべてを台無しにします。

振動子から発せられる超音波の反射波(エコー)を、横軸(時間経過)と縦軸(音圧)として波形表示させる「Aスコープ」から、人体の内部が直感的にわかる断面画像を得ることが、はじめてこのとき行われたかのようなストーリーになっています。しかし、超音波による人体の断面画像を得る装置は、1954年にアメリカのJ・ワイルドが開発に成功しています。ワイルドは15MHzを使っていたため、減衰が大きく表層部しかか見えないものでした。

1950年には、現在も使われている5MHzの周波数で、和賀井らが超音波断面画像が得られる装置を作っています。(事前の研究はこちらに少し書いています。)

以前にも書きましたが、和賀井たちがなぜ5MHzだったかというと、和賀井の友人が石川島造船にいて、その協力を得て鋼の溶接部を探傷する装置を使って研究をしていたからでした。(偶然の妙)

Aloka この物語は、1962年から65年にかけての話です。和賀井はこの物語の主人公竹内と同じ順天堂大学ですし、装置を開発したのは現在のアロカ(株)ですから、このアイデアは明らかに既知だったのです。

胎児診断には、羊水中に浮かぶ胎児から得られる超音波信号が単純ではなかったところに難しさがあったはずです。音速が変化するところで直進せずに屈折して曲がることや、音響インピーダンスが大きく変わらないことから境界からのエコーが小さい、といった点です。竹内久彌と重山貞夫らは、超音波を胎児診断に適用するというアイデアの元に、その困難を解決して、現在普通に行われる胎児の超音波診断につながる礎を築いたのです。

開発者に対する敬意は、その人が解決した課題そのものを想起することが出発点だと思うのです。

すごそうに見せる(番組制作者が描いたストーリーの)ために、先人の業績までその人にあるように描くのは、私は失礼だと思います。

私は、マスコミのこのような安直な「科学技術」に対するかかわりを、「ニセ科学」より以上に腹立たしく思います。担当した制作者は取材をしたのだから、知らないはずがないのです。

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2007年4月 9日 (月)

書籍が市場から消えていくとき

田舎暮らしをあまり不便だと思ったことはありませんが、たまに都会に行くと「本屋」の規模はかなわないな、と感じます。

最近はNETで本が買えるので、便利になったなぁ、とよく利用しています。

Binran超音波便覧」を手許に置くべきだと考えて、購入することにしました。Amazonで検索したら、新品とともに約6000円安い2件のUSED本がありました。この間少々出費がかさんでいるので、それにすることにしました。オーダーをかけると、程なくクレジットカードで代金を引き落とした、との連絡。届くのを待っていたら、次の日に「品切れなので代金を返します」とのメールが来ました。27840円がバツ1で出戻りです。

すぐに、もう1件のほうにオーダーをかけました。程なくクレジットカードで代金を引き落とした、との連絡。また、次の日に「品切れなので代金を返します」とのメールが来ました。おいおい、バツ2かよ。

しょうがないので、33600円の新品をオーダー。オーダーしてからよくみると、2~3週間後に発送予定になっています。なんだか悪い予感がしました。昨年11月に「2~3週間後に発送予定」が結局2ヶ月待たされて「品切れ」との連絡が来たことがありました。また「品切れ」では、「ぶち切れ」てしまいそうなので、ほかを調べました。

出版元の丸善のサイトでは、「品切れ」になっています。Amazonは2週間後に「品切れ」の連絡が来るパターンだと推測しました。

あちこち探しても在庫あり、の雰囲気がありません。やっとジュンク堂池袋店に1冊在庫があることがわかり、そちらに発注して、Amazonをキャンセルしました。ジュンク堂のシステムがバグっていて、間の抜けたメールが何通かきましたが、対応に当たった担当者はまぁ好感がもてる人でした。で、本が今日届きました。

平成11年8月出版の初版初刷りものです。何部印刷したのかは知りませんが、8年弱たって、やっと品切れなのですね。2刷目はあるのでしょうか。なにか、滑り込みセーフだったような気がします。

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2007年4月 4日 (水)

超音波技術の最前線

私のところで行っている技術教育では、基本をしっかり大切にすることを心がけています。基本というのは、最新技術からは少し遅れたところになります。しかし、日々進展する最新技術も教えておく必要もあります。

そこは人脈で企業の協力をいただきます。本日、フェイズド・アレイ超音波探傷とTOFD(Time Of Flight Diffraction )の講義とデモンストレーションをクラウトクレーマー・ジャパン社に行ってもらいます。昨夕段取りをして、夜懇親と打ち合わせをしてきました。

Pa2 フェイズド・アレイです。医療分野で行われていることと原理的には同じです。医療分野に比べると探傷分野へのフェイズド・アレイの適用は少し遅れています。相手が硬いことと、のモード変換がおきるところが大きな違いです。しかし、コンピュータ技術の急速な進歩に伴って、探傷の様相も大きく変化していくでしょう。

Pa この装置でも、基本表示(Aスコープ)が同時に表示されています。画像処理された結果だけでなく、ソースとなる波形から判断することが求められます。

講師は颯爽として美しいM女史です。普段の授業とは、一味違ったものになるでしょう。

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2007年4月 1日 (日)

Googleで定義を検索

もうよく知られていることなのかもしれませんが、Googleで言葉の定義を検索できることを知りました。

たとえば、「define:turbofan」と検索枠に入力をして検索をかけると、Web上にある定義を示してくれます。日本語には、まだ対応し切れていないようです。

Ulttrasonic_beam_in_water 早速「超音波」の定義を調べてみましょう。

「define:ultrasonic」で検索をかけると、このようになります。クリック

「A sound frequency that's too high for humans to hear」とか

「Referring to sound waves with frequencies higher than those at the upper limit of unimpaired human hearing, usually between 16 and 20 KHz.」

が出てきます。「聞くことを目的としない音」という定義は出てきません。ドイツにいる超音波の専門家に間接的に聞いてもらったところでも、そんな定義は聞いたことが無い、とのことでした。ちなみにドイツでは、可聴音の限界周波数は16kHzだそうです。

ところが日本では、特に今世紀になって出版されている「超音波」本に「聞くことを目的としない音」という定義が多くなってきています。そのような定義をしていない本のほうが少なくなってきています。少し驚いています。

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超音波ビームを表示するソフト

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2007年3月31日 (土)

超音波を浴びせることで物体は破壊できるのか?

昨日、「コンピュータが思いがけず描く絵」に彪霧さんから次のようなコメントをいただきました。

コメント****************

はじめまして。
超音波を浴びせることで物体は破壊できるのか?
と思い、「超音波」で検索してここに辿り着きました。
「超音波で物体を破壊する」――世のアニメ・マンガ・特撮モノに多く存在する現象であり、その原理は「物質の固有振動数と同じ周波数の超音波を浴びせることにより対象を破壊する」と説明されます。
が、そんなことは可能なのでしょうか?
そんなことが起こるなら、現実世界でも既に(兵器として)実用化されていそうなものです…。
ド素人の私の手には負えなくなってきたので詳しい方のご意見を頂きたいと思い、書き込みました。SUBALさんはどう思われますか?

*******************

以下、私なりに考えたことです。

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2007年3月26日 (月)

「超音波診断法事始」(その2)

和賀井敏夫著「超音波診断法事始」には、超音波による人体内部の診断法を開発する過程が書かれています。

超音波診断装置も金属の超音波探傷器もベースとなる部分は、同じです。パルスの超音波を発信して受信するパルサーレシーバーと、表示部分です。表示部分のベースは、オシロスコープです。

Ut 右の図は、私がパソコンの中に作った仮想超音波探傷器です。縦軸が音圧をあらわし、横軸は時間軸ですが、時間軸の校正を行うことで反射元までの距離として読むことができます。この表示はAスコープ表示といいます。

Aスコープ表示の情報に、探触子の位置情報などと合わせて画像を作ると断面などの「絵」を得ることができます。

医療用の超音波診断装置は、このAスコープの情報を輝度変換をして、断面画像として表示するのが普通です。

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2007年3月24日 (土)

「超音波診断法事始」(その1)

1ヶ月前に注文していた本がようやく届いて、読んでいます。和賀井敏夫著「超音波診断法事始」(日本プランニングセンター)です。

Wagai これが想像以上に面白い。和賀井氏は、日本で超音波による人体の診断法を開発してきた方です。NHKの「プロジェクトX」でも取り上げられていましたね。

超音波による診断法は、第2次世界大戦後ほぼ同時期に米国・ドイツ・オーストラリアの学者も開発に着手していました。成果が上がるのも少し日本より早いために、超音波診断法の創始者は、世界的にはそれらの国の人だといわれています。

しかし、現在医療分野で使われている超音波(連続波ではなくてパルス波、透過法ではなく反射法)と周波数帯域を最初から使い、現在につながる成果を上げたのは日本のチームでした。

それがなぜかというと・・・・

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2007年3月21日 (水)

音波のドプラー効果で風速

さっぽろサイエンス観光マップ」というブログに、札幌市北区の北大の北端近くで奇怪な音がする、その正体を探る、という記事がありました。

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北大低温科学研究所で上空の風の流れを観測しているドプラーソーダーが発している音であった、という結論です

Doppler_soder写真は、今回取材をさせていただいた(株)カイジョウソニックのドプラーソーダーです。およそ2kHzの音を出して、そのエコーに現れるドプラー効果で、上空500mまでの空気の動きをつかむのだそうです。低温科学研究所にあるのは外国製のもののようです。

Dopso 同ブログには、その音のMP3ファイルが掲載されていて聴くことができます。

この音を、先日紹介したフリーソフト「声門」で周波数解析してみました。およそ1700~2500Hzの音を数ステップから十数ステップで上げていく音を出していることがわかります。

この周波数帯は可聴音領域です。(だから聞こえたんだって?失礼しました)とんでもなく小さい音を受信できる装置です。

31ltu100 ほとんど同じ原理で、海中の潮の流れをモニターする装置があります。こちらは超音波を使います。この2つの装置の共通点と相違点がわかると、超音波というものが明瞭にわかります。この潮流をモニターする装置については、現在執筆中の本の中に書きます。

この海中の潮の流れをモニターする装置、全国の港湾に備え付けられています。

最近苫小牧港に設置されている同装置のデータから、苫小牧の港湾関係者が長年頭を痛めていた、大きな波も無いのに突然係留していた船が動き出す奇怪な現象が解明に向かっているそうです。

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2007年3月20日 (火)

超音波診断装置発祥の地とウルトラ