2007年9月 3日 (月)

ワッシャーが無いと抜けるボルト???

中華航空機の炎上事故は、トンデモ事故の様相を呈しています。

NHKのニュースでは、ボーイング737の1998年以降に製造された機体では、スラットアームのボルトのサイズが変更されて、ワッシャーが無いとボルトが抜け落ちる構造になっていたというのです。

NHKのニュースのレベルは低くなっていますから、報道ミスかもしれないという疑いの目は必要でしょうが、驚きです。

ヒューマンエラーとかフェイルセーフとかが語られていましたが、それ以前でしょう。この報道が本当だとすると、「トンデモ設計」じゃぁありませんかね。

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2007年8月31日 (金)

ワッシャーがなかったからボルトが外れた?

沖縄で炎上した中華航空機事故。ボルトが外れて、スラットを格納するときに燃料タンクを破ったことが原因だったことが明らかになっています。

ANKの機体でも、ワッシャーが取り付けられていない機体があることが明らかになりました。

China でもですね。ワッシャーが取り付けられていなくてもボルトは外れないですよ。中華航空機ではダウンストップと呼ばれる部品が付いていなかったことが致命傷になっています。どんなカタチになっているのかわかりませんでしたが、航空局の事故調が公開した画像で大体わかりましたね。

ワッシャーの次についているたて筋の付いている部品。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの3段階があるようです。スラットを出し切ったときの位置を数㎜の範囲で60度回転させることで微調整する役割がありそうです。

中華航空機ではこの部品が取り付けられていなかったことでボルトが抜け落ちているわけです。

ANKの機体ではこの状態からではボルトが抜けることはありません。

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2007年8月24日 (金)

ボルトが燃料タンクを突き破る

那覇空港での中華航空機炎上の原因が特定されたようです。

スラットのトラックにつけられていたボルトが外れていて、これが燃料タンクを破ったとのことです。

これですと、着陸してからスラットを格納するときに燃料タンクを突き破ったと考えれれて、誘導路を走っている間にももれていたでしょうけれど、駐機場で火災になったという流れは、説明が付くでしょう。

それにしても、またボルトです。ボルトにはナットが付いていた、とのことです。

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2007年8月23日 (木)

フェールセーフ設計の落とし穴 ジェットエンジンの脱落

昨日紹介した「破壊事故-失敗知識の活用」の内容からです。

1992年イスラエル国営航空のボーイング747型機(通称ジャンボ)が、アムステルダムのスキポール空港を飛び立って、右翼のエンジン2基が脱落して、空港付近の高層団地に墜落激突する事故がありました。

この事故についてはぼんやり記憶がありましたが、その意味は知りませんでした。「破壊事故-失敗知識の活用」をよむと、なるほど、フェールセーフ設計の限界を象徴する事故であったことがわかりました。

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2007年8月22日 (水)

「破壊事故-失敗知識の活用-」

新刊本の紹介です。

破壊事故―失敗知識の活用 破壊事故―失敗知識の活用

販売元:共立出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

破壊力学の日本における第一人者である小林英男(横浜国立大学教授 元東工大教授)氏の編集で、材料にかかわる破壊事故を体系的にまとめた本です。

こういう本が出版されるのを待っていました。執筆者のお一人から送っていただきました。とてもありがたいです。

29の事例について、事実・原因・対策・エピソードが大変読みやすく書かれています。ただ事例を集めただけではなく、材料が原因で起こりうる事故例として分類してまとめられています。ここまでまとまった本を、私は知りません。

目次を紹介します。

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2007年8月21日 (火)

航空機炎上

沖縄那覇空港での中華航空機の炎上爆発事故の原因解明は、今日の時点では大きな進展はないようです。

ただ、滑走路・誘導路には大きな燃料漏れの後はない。整備士の証言によると、エンジンを吊っているパイロンの近くから燃料漏れがあったとのことです。

ウーン、突然の燃料噴出し、何があったのでしょう?

NHKテレビでは、ガソリンとジェット燃料に室内の常温で火をつけてジェット燃料に火がつかない、とやっていました。灯油ですから当たり前ですよね。でも、沖縄の地面温度を想定して引火実験をやらないのでしょう。引火点は38℃ですからね。

鋼とジュラルミンを火で熱する実験(?)もやっていました。ジュラルミンといってもアルミニウムの合金ですからね。融点は660℃です。溶け落ちるのは、ある意味当たり前なのです。

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2007年8月20日 (月)

沖縄で中華航空機炎上

仕事から帰ってニュースを見ると、沖縄那覇空港で中華航空のB737-800が炎上、とのニュースをやっていました。空港で飛行機が爆発する衝撃的な映像が何度も流れていました。

燃料が何らかの原因で漏れて火がついたということは間違いないでしょう。ジェット燃料はケロシン(灯油)系(JET A-1)かワイドカット(ガソリン成分が入っている)系(Jet B)のどちらかですが、旅客機ではケロシン系でしょう。Jet A-1だとすると引火点は38℃です。

沖縄の滑走路上では、地面は38℃は軽く超えているでしょう。気温でそのくらいあるかもしれません。地面に落ちた燃料は気化しますが、引火点を超えていますから何か点火源があれば火がつきます。石が落ちた程度の火花でも良いし、静電気のスパークでも十分です。

着陸した直後の車輪のブレーキ部分は、数百度になっていますからこれに気化したガスが接したら火はつきます。

Newsweek1問題は、なぜ燃料が漏れたか、そして駐機場に来るまでなぜ気が付かなかったかです。駐機場でいきなり漏れ始めたとは考えにくいです。

乗客をいち早く機外に出すシステムは、うまく機能したようです。死傷者が出なくて良かった。

こういう事故こそ徹底して深く原因が究明されていくべきでしょう。

中華航空は「危ない航空会社ランキング」ではどのくらいかは、続きで・・・。

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2007年8月12日 (日)

中島飛行機が所有していた金鉱山

昨日、支笏湖畔にあった金鉱山について少し書きました。

ネットで検索したところ、千歳市史編集委員会専門部員守屋憲治氏が書いた「美笛‐千歳鉱山専用軌道の一考察」という文書を見つけました。

それによると、昭和8年に金鉱脈が発見され、最初に中島飛行機のグループ中島商事が所有、その後所有者は変りますが、昭和11年から昭和61年まで50年間に「金約20tと銀約90tを産出した」とのことです。隼や零戦などを作ったあの中島飛行機は金山を持っていたんだ。

金の価格は現在およそグラムあたり2800円。20tですと、560億円。銀の価格はグラム55円として、約50億円。現在の価格にして600億円を超える産出があったのですね。

最盛期には千歳村人口の35%にあたる5000人の鉱山町があったとのことです。以前苫小牧市の資料を見たときには、映画館まであったとのことでした。

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2007年8月 9日 (木)

エキスポランド事故の原因は解明されたのか?

エキスポランドが営業を再開するそうです。それ自体はどうということもないのですが、ニュースを見ていると、検査担当者数人の「業務上過失致死」での送検とあわせて、この事件はこれで終わりという雰囲気です。

この事故の原因は「金属疲労」ということで片付けられています。でも・・・。

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2007年8月 5日 (日)

水晶振動子の超音波探触子

ドイツにある某超音波探傷の研究所に勤めている友人(知人かな?)から、水晶を振動子として使っている超音波探触子が送られてきました。

Quartz_transduce 水晶は、キューリー兄弟が発見した圧電材料で、超音波の利用技術の始まりとなったランジュバンも水晶を使ってランジュバン型振動子を作りました。

でも現在では、超音波探傷に使う振動子材料はほとんど100%といっていいくらいPZT(ジルコンチタン酸鉛)です。

もう、かれこれ四半世紀この技術に携わっていますが、水晶振動子の探触子を見たことはありますが、仕事で使ったことはありません。

水晶を使った探触子には、試験体の金属を電極として使うためのスプリングが出ています。おそらく試験体上でこすることに耐える電極を貼り付けることが難しかったのでしょう。

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2007年8月 2日 (木)

ブリッジコンテスト報道とミネアポリス橋崩落

つまようじブリッジコンテストを終わらせることについての記事が、毎日新聞の夕刊に掲載されていました。

こちらのサイトにも掲載されています。

新聞のほうでは、米国ミネソタ州ミネアポリスで起きた橋崩落の事故と並んで掲載されています。楽しみながら構造を学ぶイベントと、死者も出ている事故報道が並んでいるのは、何か複雑な気持ちになります。

Sons この橋崩落、突然起きたようですね。原因はこれから解明されていくのでしょうが、報道を見ていて思い出すのが、1994年韓国のソウル市で起きた聖水(ソンス)大橋の崩落事故です。

聖水大橋の崩落事故は、内部から疲労亀裂が進展して行った珍しい例です。ほとんどの疲労割れは、表面に発生して内部に向けて進展していきます。

なぜそんなことが起きたのかというと、

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2007年7月21日 (土)

超音波による霧とトルネード

一昨日、愛知県豊橋市にある本多電子株式会社を訪問してきました。

Hondadenshi 本多電子さんは、超音波技術に関して幅広い開発を行っており、本社内に「超音波科学館」を設置しています。

予想どおり面白かったですね。超音波を体感できるようになっています。愛地球博用に作ったものは、子供でも超音波を楽しめるようになっています。

実験研究としては成功したが製品には至っていないという技術も展示してあって、面白かったです。(最後にアンケートを書くのだけれど、『超音波をこんなものに使えそうというアイデアはありますか?』という質問項目がありました。ここにこの企業の超音波技術に対するスタンスが見えて、いいなぁと思いました。)

ここで勉強した内容は、執筆中の本に反映するとして、今日は超音波による霧化について紹介します。

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2007年7月 4日 (水)

牛肉を超音波で判定

牛肉の質を超音波で判定するという記事がこちらのサイトで紹介されています。こちらのブログで紹介されていて知りました。

生体の中で超音波は、透過・反射・屈折の挙動をします。反射と透過は、音響インピーダンスに影響されます。音響インピーダンスは、音を伝える物質の音速と密度の積です。

Pig 音響インピーダンスの差が大きいほど反射しやすくなり、小さいほど透過しやすくなります。

左は、「超音波便覧」(丸善)に掲載されていた、豚の肝臓・脂肪のの割合と音速の関係です。このようなデーターの蓄積は進んでいるようです。

Jing 生体の音速は水の音速に近く、組織によって微妙に異なります。映像に映っていたのは人体に使うアレイ探触子に良く似たものでした。そうすごい技術とは思えませんでした。傍らにあったダイヤル式チャンネルが付いたテレビに目が行ってしまいました。(写真は何の関係もありませんが、正しいジンギスカンなべの始まり方です)

昨日のNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」 では、外科医幕内雅敏氏の肝臓がんの手術の様子を放映していました。

それにしても、人間の肝臓の中から100個近い悪性腫瘍を切り出す手術はすごかったです。

術前も術中も超音波で悪性腫瘍を確認していました。開腹して、肝臓に直接超音波プローブを当てていました。きれいな断面映像が映っていました。ガン組織とそうでないものをどのように区別をしているのでしょうか。

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2007年7月 1日 (日)

ステルス爆撃機と蛾

この前の記事で、蛾のかたちが超音波による探査から身を隠すものではないか、と書ききました。

それってステルスということですよね。勘のよい方からコメントが寄せられました。

  蛾を観察していると、たとえばススメガの仲間はステルス爆撃機のB-2によく似ていると思うのです。

St5色情報を取り去ってモノクロにしてみました。どうでしょう。

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2007年6月30日 (土)

蝶と蛾 かたちのココロ

超音波に関する書籍を執筆しています。年末発刊を目標にしています。

その中で動物の超音波も取り上げていますが、定番はコウモリとイルカでしょう。どちらも調べれば調べるほど面白いです。捕食関係にあるコウモリと蛾の超音波をめぐる攻防については、書籍のほうに書いておきました。今日は、そこからはみ出してしまった蛾のかたちについて。

蛾と蝶は、夜行性と昼行性、触角の形、色の派手さ、胴の太さなど区別が容易だと思っていたら、どれも決め手はなく鱗翅目(りんしもく)の中の科の違いでしかないということのようです。

Ga 例外があるとはいえ、夜行動する蛾が多くそれらは羽を広げて休み、昼行動する蝶は羽を立てて休むことが多いのは間違いないでしょう。

超音波探傷をやっている目で見ると、蝶の止まり方は超音波を当てると「コーナーでの2回反射」で、発信源に超音波が帰って来やすいかたちに見えます。

それに対して蛾の止まり方は、反射源として考えると捕らえるのが難しいなぁ、と思うのです。

Moth2 蝶と蛾のかたちをCGで作ってみました。超手抜きですが、前2つが蛾、左のが蝶のつもりです。

これを反射の視点ででみると、どうなるでしょう。CGで試してみました。

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2007年6月26日 (火)

秋田大学付属鉱業博物館(その2)

秋田大学付属鉱業博物館には、超音波に関係する展示がありました。鉱物と超音波・・・?まぁご覧ください。

Synthetic_quartz_crystal2_1 まずは人工水晶です。水晶は圧電材料の代表です。水晶の圧電性を発見したのは、J.キューリーとP.キューリーの兄弟です(1880年)。現在も水晶振動子として通信機器などに広く使われています。ソナーも医療用も金属探傷用も当初は超音波を発信するのに水晶の振動子を使っていました。

人工水晶は室蘭市にある日本製鋼所の関連会社であるファインクリスタル株式会社製造しています。

Trun 水晶の圧電効果を超音波の発信と受信に使い、実用の道を開いたのはフランスのランジュバンです。ランジュバン型振動子が展示されていました。2枚の厚い鉄片ではさむことにより、共振周波数を下げてエネルギーの高い超音波を発信することが可能になりました。第1次世界大戦でドイツの潜水艦に苦しめられていた米英仏が、その勝利を決定的にするきっかけとなったといわれています。

Langevin 現在、強力超音波を発信させているのは、ランジュバン型の改良型といえるボルト締めランジュバン振動子です。これも展示されていました。

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2007年6月25日 (月)

秋田大学付属鉱業博物館

超音波分科会の見学会として、秋田大学付属鉱業博物館へ行きました。

膨大な鉱物が展示してあります。名称(学名)・産地などが書かれているだけで、淡々とした展示です。2時間ほどの見学でしたが、特に解説をしてくれるわけでもありません。1時間ほどで飽きてしまった人が多かったのですが、私は1日いても良かったかなと思うほど楽しかったです。鉱物に関しては、ほとんど知らないのですが・・・。

Tungsten_ore タングステン鉱です。京都の鉱山のようです。日本初のジェットエンジンネ-20の開発のベースになったドイツのBMW003の図面に対する代償には、生ゴム・錫・亜鉛とともにタングステンも入っていました。国内産というより、当事占領していた南方産だったようですが・・・。

Gold_ore 金鉱です。鹿児島県伊佐郡菱刈町の鉱山とのことです。

苫小牧市の北にある支笏湖畔にも金鉱山がありました。古い地図を見ると映画館まである町があったようです。

Native_gold 自然金です。Native Goldというのですね。埼玉県の秩父鉱山

                          

           

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2007年6月24日 (日)

エキスポランド事故 ほかに亀裂が

ペアで運行されていた「雷神号」の軸に亀裂が見つかったと報道されています。

私は、以前にも書きましたが、調べればほかの軸にも疲労亀裂があるだろうと予想していました。1本だけというのは意外に少ないなという印象です。(詳細に調べたのかなぁ?)

今回見つかった亀裂のある軸と、亀裂のない軸の違いを周辺の状況を含めて現場を調べると、本当の原因が見つかるだろうと思います。

報道では杜撰な検査と叩いていますが、果たしてそうでしょうか。私は、3日間の講習で資格が与えられる「検査員」に見つけられる亀裂ではなかったのではないかと見ています。

今回見つかった亀裂は、事故の箇所と同じということです。だとすると、ナットをはずして、ねじの谷のところです。10mmを超えていて、そこが怪しいとわかっていればおそらく目視でも見つけられるかもしれません。鋼の割れはコントラストが低くて漫然と見ていたのでは大きなわれでもわからないことが多いです。

では、どのくらいの時期に、どの程度の割れがあったと予想できるでしょう。

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2007年6月20日 (水)

超音波探傷事始 航空機 航空機用エンジン

本日職場に、日本製鋼所の関連会社である日鋼検査サービス(株)の社長さんと開発担当の技術者の方が来られました。

お二人とも旧知の仲です。仕事上の話とは別に、情報交換をしたり、教えたもらったりしました。この日本製鋼所は、日本で戦後超音波探傷をフィールドで実際に適用し始めたところです。高沖さんという優れた技術者がおられたのです。高沖さんは、日鋼検査サービス(株)の初代の社長さんでもあります。日本製鋼所は特殊鋼の分野で世界に知られた企業です。

この日本製鋼所は、日本初の航空機用エンジン「室〇号」が作られたところである、ということはあまり知られていません。

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2007年6月18日 (月)

パリス則がわかるソフトウエア

パリス則(Paris Law)は、疲労き裂進展速度da/dNと応力拡大係数範囲ΔKの関係がほぼ直線とみなせる領域が現れることから、式da/dN=C(ΔK)^mであらわされます。C,mは材料定数。

疲労き裂進展速度da/dNと応力拡大係数範囲ΔKの関係をプロットしたグラフは、パリス則が成り立っていることを確認するのには良いのですが、疲労き裂進展の実体と重ね合わせて理解することは困難です。

そこで、パリス則を、繰り返し数とき裂長さの関係にして、両対数グラフにプロットするソフトウエアを作りました。公開します。

Paris 一昨日の記事へのコメントで述べた、き裂深さ2mmと10mmから20mmまで成長するサイクルをプロットした実行画面です。20mmまでを寿命とすると、2mmの時点と10mmの時点では残寿命はおよそ10倍1/10の関係にあることがわかります。

エキスポランドの事故では直径30mm強のねじ部で、2/3ほど疲労き裂が進展して、その後塑性崩壊をしているように見えます。

パリス則についてとソフトウエアのダウンロードは続きで・・・。

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2007年6月17日 (日)

天然ガス採掘場の解体

昨日勤務から帰宅途中、国道沿いにある天然ガスの採掘井のやぐらが倒れ掛かっているのに気が付きました。

Gas  車を止めてみると、解体工事の真っ最中でした。

石油資源開発株式会社(JAPEX)が1989年(平成元年)に掘り当てた天然ガス田で、現在では札幌圏から小樽までパイプラインが整備されて、日産89万立方メートルを産出(2004年度)しているとのことです。

Cimg1371クレーンがありましたから、これで吊りながらやっているのかと思いましたら、違いました。上部に取り付けられた滑車を利用して、自分自身をクレーンのアームのようにして倒れていくというやり方でした。

分解写真は続きで。その前に、ポチッと応援よろしく。

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2007年6月16日 (土)

軸の疲労破面 代表図

軸の疲労破面の代表図についてK.Hirakawaさんから、「ASM Hand book vol.11, Failure Analysis and Prevention, page 111」の掲載されているとの情報をいただいていました。

ASM Hand bookについては、カスタマー登録をすればこちらで参照できるようです。(登録は見合わせました)

インターネットで探していたら、こちらのページ(Fractography of Shafts Activity)に軸の疲労破面に関するChartを見つけました。

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2007年6月13日 (水)

ボルトの超音波探傷

エキスポランドでの事故を受けて、全国の同様の施設について、点検が実施されたとされています。探傷検査を実施して「安全を確認できた」として運転が開始されているようです。

きちんとした検査が実施されたと信じたいものです。「磁粉探傷、浸透探傷、超音波探傷」のどれをやるのか、それぞれの方法についても何を基準にしてどのような方法で行うのか検討をされて、徹底されているのでしょうか。

漫然と探傷をしていても、危険の芽を事前につむことは出来ない、という例を。

Ut1 全長250mm、直径20mmのクロムモリブデン鋼のボルトを、5MHz・振動子直径10mmの探触子で軸方向に超音波を伝搬させて探傷した例です。

ねじを切ってある部分は25mmあり、探触子から5mmの位置にコッターピンを入れる穴が開いています。

今回の事故で疲労破壊したねじの谷の部分に疲労割れがあったとしたら検出できるでしょうか。

コッターピンがなくても、ねじ山が反射源となり割れからのエコーを受信していてもSN比(信号と雑音の比)が小さくなり、探傷は難しくなります。それでも数mmの割れであれば、健全なボルトとの比較をすることで、検出が可能になるでしょう。

このケースではコッターピンの穴があります。5mmからの反射波(エコー)は5の倍数の距離に多重反射の信号が表れます。この穴からの多重反射がノイズレベルを上げてSN比は極端の小さくなっているのがわかるでしょうか。割れを見つけるのはさらに困難です。

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2007年6月10日 (日)

エキスポランド事故 破面のCG

破面写真を、画像処理して公開をすると、著作権法に触れることになる、ということです。ちょっとしっくりしないところもありますが、法律がそうなっているのであれば仕方ありません。破面は事故原因解明のための重要な情報です。私は、この事故の原因、そしてこのような事故を防ぐためのState of the art がどの辺にあるのか、見届けたいと思っています。

Expo2imagec5_1 破面の写真をスケッチして、それを元にCGを作って見ました。これなら、私の作品と言ってよいでしょう。

当然ですが、私の手が入っていますので正確ではありません。ミスもあるかもしれません。原本では見えにくかったビーチマークを強調しています。

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液体窒素の実験

昨日息子と「少年団」の例会に行ってきました。私は運転手。

以前にも紹介しましたが、学校ではやらない実験や工作をやらせてもらえるので、息子も楽しみにしています。

N25_1 今回のテーマは「液体窒素で遊ぼう」でした。息子いわく「バナナで釘を打つとか、バラの花がバリバリになるとか、ありきたりで面白くなさそう。」

実際に見たりやったことがあるのかと聞くと「ない」。ビデオで見るのと実際に体験するのとでは一味違う、と言い聞かせて会場へ。

N2 それでも、マイナス196℃の液体窒素の中で、イチゴがぐつぐつに煮え立つようになると子供たちは楽しそう。

一通りのことが終わって、指導員の方が「ほかのものを入れてみよう」と呼びかけると、息子は待ってましたとばかりに、あたりを探しましたが、めぼしいものがない。

そこで

台所用洗剤(ラップにくるんで)・釘・新聞紙・鉛筆を入れてみました。

さて、どうなったでしょう。続きでどうぞ。その前に

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2007年6月 8日 (金)

State of the art(その2)

このブログにコメントを寄せてくれるデハボ1000さんが、平川賢爾著「ドイツ高速鉄道脱線事故の真相」(慧文社刊)についての書評を掲載しました。

そこで述べられている、この書籍に向かうとき自然に「襟を正す」ことになるという気持ちは、私も同感なのです。この本を読んだのは昨年の6月でした。いつかこのブログでも紹介しようと思いながら、なかなか出来ませんでした。軽々にコメントを述べられる内容ではないと思ったからです。

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2007年6月 6日 (水)

軸の疲労破面形態

公開されたエキスポランド・ジェットコースタ事故で破損した軸の疲労破面。これをPhoto Shop で画像処理をしてみました。(画像処理した映像の掲載は当面見合わせます)

すると、破損のときに2次的に付いたであろう傷のほかに、1ヶ月の時間経過の中で破面が痛んでいる箇所がわかります。破面は生ものなのです。破面を保存して、早めに専門家に鑑定を依頼することが必要だったのです。

Fatigue_cross_sectionそれでも、見えにくかったビーチマークが見えてきています。このビーチマーク、破面観察(Fractography)の教科書に載っている分類表中の典型のひとつとほとんど同じように見えます。

軸の疲労破面形態で「片振り曲げ、鋭いノッチ(応力集中)、応力小(高サイクル疲労)」の欄にある図によく似ています。。

Hirakawa氏から、「破面から、片振りの疲労とは分かりません。」とのコメントをいただいています。(6/7追記)

しつこいかもしれませんが、なぜここに曲げの応力が繰り返しかかるのか、その要因を考えてほしいのです。

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2007年6月 5日 (火)

公開された破面の意味するもの

大阪府吹田市で起きたジェットコースター事故、1ヶ月経ってやっと破面が公開されました。

Crosssectional_shape

この写真はYOMIURIONLINEに掲載されているものです。

大阪府警が公開したようです。こういう写真に著作権があるのでしょうか。私は事故の再発防止という「公」に資するために公的機関が公開した(どこまでもパブリックな)映像に民間会社が著作権を主張することに疑問を抱いています。

さて、この破面についてですが、ライフワークとして鉄道車軸の疲労破壊を研究されていて、海外での公的な鑑定を行っているHirakawa氏がその見解を、このブログに寄せてくれています

片振り曲げ疲労で、疲労限近い低い応力でゆっくりと穏やかに進行した疲労破壊であることが、この破面から読める、これでよいとのことです。(Hirakawa氏は片振りとはいっていません。お詫びして訂正します。6/7)

後は、電子顕微鏡のレベルでストライエーションが観察できるのか、観察できれば亀裂伸展の時間経過が推定できる、という作業が残されているだけでしょう。

以前にも指摘しましたが、この破断箇所がなぜ破断するような繰り返しの曲げ応力が発生したのか、ここが問題ではないかといい続けえてきました。

この軸(ボギー軸というようです)は本体に圧入されています。圧入で本体にしっかり固定されていれば、破断箇所には曲げ応力の発生は考えにくい箇所なのです。

この件で、毎日新聞の記事に以下のようなものがありました。

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2007年6月 4日 (月)

エキスポ事故 破断箇所の写真公開だが・・・

エキスポランド事故の破断した車軸の写真が、やっと公開されました。

Exshaft この写真は6月4日に北海道新聞のニュースサイトに掲載されていたものです(6月7日現在削除されています)。でもどうして、破面そのものの写真ではないのだろう。取材した記者も、90度回してといってほしい。その破面の様子から、多くのことがわかるのです。記者も、そのくらい勉強をして取材してほしいものです。情報の価値は半減どころではないのです。

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2007年6月 3日 (日)

運動会の物理

子供たちの中学で行われた「体育大会」を見物してきました。

Taiku その中での競技「ハリケーン」。竹の棒を3人で持って走り、コーンがおいてある場所2箇所でぐるりと回ります。回り終えたら、戻って次の人たちに竹の棒をバトンのように渡すのですが、そのときに3列縦隊に並んでいる子供たちの足の下を竹の棒を通す、というルールです。

Taiku1 4クラス対抗でした。うちの娘たちのクラスは、すべての選手たちが竹の棒を受け取ると、3人が端によって走り始めます。すばやく回って、バトンタッチするときに2人の子が棒の端持ち、真ん中の子がするりと抜けていきます。

他の3クラスは、これがされていません。もちろん娘のクラスが1位。

後で娘に聞いてみると、先生の作戦とか。娘の担任の先生は理科担当。力の強い子が中側、足の速い子が外側、という配置もしていたようです。中担当の子供は、回るときにぐいと回しているそうです。

娘いわく。「先生頭いい。あれで勝てた、どう考えてもあの方法が速い」

角速度と周速度、角運動量保存の法則なんて話はまだ早い。それでも、遊び(?)の中でで豊かに知的に感じておいてほしいと思うのです。

それでも・・・・・

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2007年6月 1日 (金)

5月は事故関連

先月から、このブログの記事の中で多く読まれたものランキングを左下に入れてあります。

5月は、5日に起きたエキスポランド事故関連の記事を多く書きました。ランキングも8/10がこの事故関連です。いつものブログの書き方とは、姿勢を変えて書いています。多くの方に読んでいただけているようです。

Jiko_1 右の写真は、事故直後の報道写真(この写真の掲載ページはすでに削除されています)。脱線して横の防護策に激突した現場のすぐ下の様子のように見えます。車輪ユニットから折れた軸がのぞいているのが確認できます。

                                            

Expo4こちらは車両ユニットと思われるところの拡大です。 このユニットを見るとどこが破断したかは一目瞭然であるにもかかわらず、エキスポランドの担当者は間違った発表をして、報道も検証せずに間違ったまま数日間流されます。

Expo2imagec3 私が作ったCGと見比べてみてください。

報道では、この軸の破面が金属疲労の特徴を示していたということです。疲労破面は未だに公開されていません。このような事故原因の解明には、現場と現物をよく確認することが出発点です。現場と現物の確認はちゃんとやられているのでしょうか。

なぜここなのか、この解明が必要ですといい続けています。原因の公開があってはじめて有効な点検と対策が可能です。それ抜きの点検と対策は、的外れになっている可能性があるのです。

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2007年5月31日 (木)

エキスポランド事故 壊れたのは車軸だったのか?

報道では、車軸が疲労破壊したとされています。このブログでも車軸と表現してきました。

こちらの記事で、車軸とはいえないのではないかと指摘しています。車輪ユニットとバギー車を接合するボルトではないか、年に1回の探傷検査するとされるJISの規定では、この事故で破損した箇所は対象外と読めないか、ということです。

Jet なるほど、言われてみるとそうかもしれません。私も、当初は車軸といわれているのだから軸に車輪がついていると思っていました。5月12日に軸のCGを作ったあたりから、へんだと思い、取り付け部の様子を知りたいとブログに書いてきました。この軸の取り付けの様子と機能を確信したのは、5月20日ある方からの個人メールによる情報ででした。その後、CGで「車軸」の取り付けを作り、このブログに公開してきました。その後も「車軸」という表現を使ってきました。軸は回転はしませんが、車輪ユニットにはベアリングがつけられていて、わずかに回転してアップダウンやカーブの変化を吸収しています。(画像をクリックしてください。簡単なアニメになっています)

リンク先の記事の筆者が指摘しているように、確かにJISが亀裂点検をすべき箇所である「車軸」から今回の「ボルト」は外れていると読む解釈は成立しそうです。

でも・・・・

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2007年5月30日 (水)

CGを作ること

エキスポランド事故について車軸のCGを作って公表してきました。

このCGを見て、考えをめぐらせて下さる方もおられるようです。原因究明と公開がされぬまま、全国のジェットコースターの「点検」が行われています。変です。

Expo2image4 私自身が、CGを作りながら考えているところがあります。破壊の原因を考えていくとき、グラフィックなイメージは大切だと思うのです。

「かたちのココロ」を見てゆくことかな、と考えています。

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2007年5月29日 (火)

図面から起こした車軸のかたち

Expoimage10_2 エキスポランドの破断した車軸について、一部報道で写真が掲載されていましたが、図面からCGで再現すると、少し形が違うようです。

車軸が15年間で形状の変更があったのでしょうか。

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2007年5月24日 (木)

エキスポランド事故 車軸の取り付け

事故で破断した車軸が、どのように本体に取り付けられていたか、力のかかり方もそれによって決まってきます。

一方向だけですが図面を見ることができましたので、CGを作ってみました。想像の部分があるのと、細かい部分は省略していることをお断りしておきます。

Expo2image1 青色の部分がバギー車本体。車両ユニットを黄緑にして区別付きやすくしています。車軸は、バギー車本体と車輪ユニットを1本でつないでいて、アップダウンやカーブでのレールのゆがみを吸収するようになっています。

Expo2image2 本体側に、車軸は圧入されています。設計上では今回破断した箇所には、大きな曲げ応力はかからないように見えます。(でも破面は曲げ疲労の特徴を示している?)

Expo2image3_1 <エキスポランドの担当者は、当初の記者会見で破断した箇所を車輪ユニット側のねじ部と間違って発表していました。しかし、報道写真の中には、現場で車輪ユニットに車軸がついているのを確認できるものがあります。壊れることを想定していなかったところが壊れた、ここに着目すべきだと思います。

この車軸の取り付けを見て、疲労破壊を心配する箇所に順番をつけるとしたら、今回破断した箇所は何番目ぐらいになるでしょうか。私だったら、この車軸周りに限っても心配なところはいくつも出てきます。どうでしょう。

外側のナットが外れる、あるいは外側のねじ部分が破断したのなら、車軸がレールに引っかかって今回の事故のように大きく傾くことはなかったように見えます。

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2007年5月17日 (木)

State of the art

本の紹介です。

Dhrw1_2 平川賢爾著「ドイツ高速鉄道脱線事故の真相」(慧文社刊)です。1998年6月3日にドイツのミューヘン・ハンブルグ間で起きたドイツ高速鉄道の脱線事故、101人の死者が出た大惨事になりました。この事故をめぐって、被害者への補償問題とは別に、ドイツ鉄道の技術者に対してその責任を問う裁判が開かれましたが、これに日本から専門鑑定員として参加した筆者が裁判の過程を明らかにすることによって、技術者の責任とは何かを問うている本です。

Dhrw2 事故の概要から、疲労破壊のメカニズムと実際、破壊力学と非破壊検査(超音波探傷)の限界まで、裁判で焦点となった点を明らかにしています。

そこで常に基準として問題にされているのが、State of the artです。日本語にすると「技術水準」です。鉄道技術者が当時のState of the artに沿う最善を尽くしたか、ここが技術者倫理であるというのです。

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2007年5月16日 (水)

エキスポランド事故 写真この1枚

エキスポランドで5月5日に起きた事故について何回か連載してきました。情報が限られる中で、推論を交えながら、いろいろなコメントをいただきながら、少しずつ事故原因のありかに近づいてきたような気がしています。

ニュースで流れた映像などを参考にするために保存していますが、この事故直後の記者会見の写真。いくつかの示唆を含んでいるように思えてなりません。(あえて掲載します)

M5214084 エキスポランドの担当者が、黒板に描いている絵、破断部が車軸の外側のねじ部分になっています。その後、実は破断したのは内側のねじ部であることが公表されるまでに、5日間かかっています。

マスコミもこの発表を鵜呑みにして、図解を掲載しました。

Expoimage2 現場の担当者が、破断部を間違えているのです。実際に破断した車軸をこのとき見ていたのでしょうか?見ずに予断で見解を述べているのでしょうか?見ていて(左右対称ではない)車軸の方向を間違えたのでしょうか?

その意味を考えます。

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2007年5月13日 (日)

エキスポランド事故 検査員の資格

エキスポランドの事故では、JIS(日本工業規格)によって年1回の探傷検査(磁粉・浸透・超音波)が定められており、これに基づく点検を行っていなかったエキスポランド側に非難が集まりました。

News 本日の北海道新聞に右のような記事が掲載されました。国土交通省の見解として、ジェットコースターなどの遊具施設が建物扱いであったのを、乗り物として鉄道並に扱う、という趣旨です。その流れは良しとしましょう。でも、その中身は唖然とするものです。

News2 右に掲載したの記事のところです。国土交通省の方やマスコミの人は、非破壊検査員の資格認証はJISで実施されているのをご存じないのでしょうか。「JIS Z 2305 非破壊試験-技術者の資格及び認証」です。参考PDF

3日間の講習で与えられる「遊具施設検査員」にできる探傷検査として、染色浸透探傷を考えているようです。

これってどうなのでしょう。私の考えをは続きで・・・。

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2007年5月12日 (土)

エキスポランド事故 車軸のかたち

車軸の形は、どんなのだろう、それによって探傷試験を適用する際の問題点が浮かび上がります。

あまり情報はないのですが、こちらの記事に掲載されている写真を元にCGで再現して見ました。よくわからないところは、想像で補っています。

Expoimageshaft 車軸はボルト状になっており、両端をキャッスルナットで締めるようになっています。キャッスルナットは、振動によってナットが緩むのを防止するために、西洋のお城の塔のような切込みが入っていて、コッターピンで止めるようになっています。(ゆるみ止め対策もねじのことならこちらの本を参照)

今回破断したのは、内側のねじを切ってある部分の端のようです。断面急変部、本体との取り合いはよくわかりませんが、最大曲げモーメントになるところの応力集中、典型的に疲労破壊が起こりそうな場所です。

このCGで探傷検査におけるいくつかの問題が浮かび上がってきました。

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2007年5月11日 (金)

エキスポランド事故 メーカーの責任は?

昨日書きましたが、疲労破壊した車軸の破断面には、その3/4が疲労破面であったとの報道があります。これが事実であるならば、車軸の材料選定安全率の取り方には大きな間違いは無いように思われます。年に1度の探傷検査を行えば、事故に至る前に対策を採ることが可能です。

では、メーカーに責任はないのでしょうか?次のような報道がありました

以下引用

//////////////////////////////////////

2007/05/11-10:42 「車軸8年で交換を」=同型機の遊園地に文書-メーカー関連会社・コースター事故

 大阪府吹田市の遊園地「エキスポランド」のジェットコースター脱線死傷事故で、事故を起こした「風神雷神II」を製造したメーカーの関連会社が、同型機を持つ別の遊園地に、事故で折れたのと同じ車軸を8年で交換するよう求める文書を出していたことが11日、分かった。エキスポランドでは車軸を15年間交換していなかった。
 文書を作成したのは「風神雷神II」を製造したトーゴの関連会社トーゴサービス(横浜市)。
 トーゴサービスは、東京都稲城市の「よみうりランド」にあるトーゴ製のコースター「MOMOnGA」の解体検査を毎年請け負い、報告書を提出。車軸などの交換時期を記した「お願い書」を添付している。
 この文書は、車軸には荷重が不均等にかかるため、軸受け部分に偏摩耗が生じてガタが出やすく、振動が加わると破断しやすいと指摘。「経年変化や金属疲労は探傷試験でも見つけられない」として、今回の事故で折れたのと同じ「ボギー先端軸」の交換時期を8年としている。

//////////////////////////////////////////

昨日のNHK9時のニュースでも同様の内容を報道していました。

メーカー(系列のメンテナンス会社)は、この車軸に疲労亀裂が発生すること、8年を使用限度として交換すべきことを知っていたということです。

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2007年5月10日 (木)

エキスポランド事故と金属疲労

エキスポランドの事故について、疲労破面の様子が明らかになりつつあります。

「折れたのはナットが付いた車軸のいちばん端の部分で、軸の方向に対し垂直に真っ二つに切れたように折れていました。警察が折れた部分の断面に光を当てるなどして調べたところ、断面の4分の3ほどに波状のしま模様が残されていることがわかりました。これは、力が繰り返し加わることで徐々に亀裂が広がる金属疲労に特徴的なもので、警察は、金属疲労が起きて車軸が折れたと断定しました。また、断面の残る4分の1ほどには表面に凹凸がみられるということです。」(NHKニュース

Fati上記の引用の最後の部分が重要です。最終破面率25%ということです。前回の記事で予想したうち高靭性材料の高サイクル疲労、と考えられます。(注:左の写真は、今回の事故の車軸のものではありません。疲労破面の参考例です。)

とすれば、次のことが言えます。

          

(1)解体して点検すれば、注意深く見ると目視でも確認できた時期があるはずです。(エキスポランドの行った目視とは、解体もせずに外側から眺めただけ?)

(2)非破壊検査をしていれば、JISに定められた3つの方法のどれを適用しても、ごく早いうちに間違いなく発見できています。(これを見つけられない非破壊検査なんて存在意義がない、とまで言い切れます)

(3)疲労亀裂はこの車軸だけであることは、ほとんど考えにくい。(ほかにもいっぱい出てきて当たり前)

超音波で模擬実験を行った映像は、続きで・・・。

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2007年5月 8日 (火)

公開されない情報 ジェットコースター事故

足掛け3日にわたって、大阪府吹田市で起きたエキスポランドジェットコースターの事故が報道されています。

事故原因が金属疲労だと言われているのですが、なぜか重要な情報が公表されません。「破断面の写真」です。なぜこの情報が重要かというと、事故原因の直接の手がかりであるばかりでなく、全国の同様な施設の緊急点検の目安になるはずだからです。

車軸の疲労破壊であるならば、ある程度勉強をして経験をつんだ人であるならば、顕微鏡に頼らなくとも、マクロ観察で概要はつかめるはずです。

Fati重要な情報は疲労の起点と、疲労破面率(もしくは、最終破面率)です。右の写真(この写真は今回の事故のものではなく、軸の疲労破面の参考例です)では上方と下方に疲労の起点があることがわかります。その下の縞模様は貝殻模様(もしくはビーチマーク)と呼ばれる疲労破面の独特の模様です。(5/21 一部加筆訂正)

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2007年5月 7日 (月)

エキスポランド事故と非破壊検査

大阪府吹田にあるエキスポランドで起きたジェットコースター事故、改めて非破壊検査がクローズアップされています。

Expo1 事故原因は、車軸の疲労破壊だとされています。エキスポランド側は「目視で十分と」会見をしていました。これは、疲労割れを知らない人の発言ですね。

初期の疲労割れは、人間の目視下限以下の幅です。ミクロンオーダー。少し成長しても同じ材料ですから、コントラストが小さい。鏡面仕上げでもしていなければ、たいていは目視できません。(アルミの疲労割れは鋼に比べると見えやすい)

Fatigue 目視で疲労割れが見えて、それでもまだ大丈夫な材料は、靭性の相当大きな材料です。それは軟らかい材料で強度が低い材料になるのです。疲労破面の写真を公開してほしいです。材料選択の誤りかもしれないのです。

非破壊検査についてです。

スチールの車軸ならば、非破壊検査の優先順位は次の通りです・・・・。

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2007年5月 4日 (金)

Savart's Wheel

人類が周波数の高い音としての超音波を最初に実験的に確認した装置です。

Savarts_wheelimage フランスの物理学者フェリックス・サバールが作りました。ビオ・サバールの法則を発見したその人です。サバールの主な研究は、音響学だったといいます。

回転する歯車のところに、カードを当てて強制振動を起こして、その発する音を観察しました。24kHzまで出せたといいます。シンプルでわかりやすいですね。ここにある写真を参考にCGを作りました。ケルビン卿もこの装置で実験したであろうという記述もあります。ケルビンもケンブリッジ大学を出ていますね。そういえば・・・

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2007年5月 3日 (木)

Galton's Whistle(original version)

Galton自身が考案して作ったオリジナルバージョンのガルトン笛のCGです。

Galtonwhistle3 ゴム球からのエアーで笛を鳴らすようになっています。数秒間ですね。

右側のマイクロメーター機構で共鳴筒の長さを微調整できるようになっています。周波数が調整できる犬笛といってよいでしょう。

ガルトンの計測によると、人間の可聴限界は18kHzとされました。

Galtonwhistleedelmanncg6 ついでに、エーデルマンによって改良されたガルトン笛のCGも明るめバージョンを作ってみました。

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2007年5月 2日 (水)

ガリレオのアルバイト

図書館にガリレオ・ガリレイ関連の本を借りにいきました。目的の本ではなかったのですが、「ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿」という本を立ち読みしていたら、その中に面白い記述を見つけました。

Galilo_compass2 ガリレオ・ガリレイは、大学での給料は意外に安くて、自宅で計算尺を作って売っていた、というのです。計算尺は、つい最近取り上げた話題でした。こちらも

へー、というわけでGoogleで調べてみたら、ガリレオは計算尺の元祖とされているのですね。

ガリレオのコンパスというこんな面白いサイトも見つけました。メインページはこちら

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2007年5月 1日 (火)

超音波を発生させる笛

昨日のガルトン笛(Galton's whistle)のCGを少し手直ししました。

Galtonwhistleedelmanncg_2 必要があって描いているのですが、ここまでやる必要はないのです。でもついつい、のめりこんでしまいます。

エッジトーンで音を発生させています。フルート・オカリナ・尺八・ケーナ・・・ほとんどの笛がエッジトーンを使っています。共鳴筒の長さによって音程を変化させています。

このガルトン笛では、右側から空気が出てきて左側の筒の(円周にある)エッジに当てて音を出します。左側のマイクロメーター機構で中のピストンの位置を変えて、共鳴筒の長さを調整できるようになっています。右側のマイクロメーター機構でクリアランスを調整します。

汽車の汽笛などを作っていたEdelmannによって改良されたガルトン笛は、数千個作られ輸出されたようです。

日本では、現物の写真を確認できるのは、小林理研のページと新潟大学工学部のサイトで旧制新潟高等学校の実験器具を紹介したページにあるだけです。

Edelmannのものには、下の台にシリアルナンバーが打ってあります。小林理研のガルトン笛のシリアルナンバーは3024(?)に見えます。私がCGを作るために参考にした写真はでは990(?)に見えます。

多分、旧制高等学校などの伝統のある学校や研究機関の倉庫の隅に眠っているものもあるのでしょう。

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2007年4月30日 (月)

ガルトン笛

久しぶりにShadeで絵を描きました。

ガルトンの笛(Galton's whistle)です。19世紀にFrancis Galtonは圧縮空気を使って超音波を出す笛を作り、動物の超音波に対する反応を観察しました。空気では30kHzまで、水素を使って80kHzまでの超音波を出したと、文献にあります。

Galtonwhistleedelmanncg 今回のCGでは、Edelmannによって改良されて、1900年に110kHzを記録したというものを再現してみました。

    

    

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2007年4月26日 (木)

超音波リモコンはなぜ消えた(4)

赤外線リモコンでは、周囲の赤外線によって誤作動をしない仕掛けがしてありました。

超音波を使ったリモコンでも同様のことができたはずです。超音波発生の仕組みは、たいていの場合圧電材料に電圧をかけて振動させます。PZT(ジルコンチタン酸鉛)というファイセラミックスです。電圧をかけるとブルンと振動する。ですから、超音波の発信というのはコイルと磁石を使ったスピーカーのようにいろいろな周波数が出せるわけではありません。

Piezo 言ってみれば電圧で叩く太鼓のようなものです。左の写真は、上が振動子をつけていないときの波形、振動子を叩く電圧を表していおり、下は振動子をつけて振動子が振るえている波形です。

およそ10波程度が出ています。すべてがこうなるわけではありませんが、おおよそこんな様子でしょう。

空気中で20kHzですと、10波でおよそ170mm、時間にすると500μ秒程度です。これですと600μ秒と1200μ秒の間隔で0と1を信号として送受信するには厳しいかもしれません。

空気中の超音波としてよく使われる40kHzの超音波では10波でも250μ秒です。

この辺の実務はまったく知りませんが、不可能ではないような気がしますが、いかがでしょう。

もちろん0と1をあらわすインターバルをもう少し長くとることも可能でしょう。

私にある推測が生まれました。

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2007年4月25日 (水)

超音波リモコンはなぜ消えた(3)

超音波リモコンがTV本体とどのような通信を行っていたのかはわかりません。

現在の赤外線リモコンのにおける通信は、たとえばこちらのページに解説がされています。この分野はまったくの門外漢、素人の私が私流に読み解くと・・・・。次のようになっているようです。

(1)ドアをノック(ちょっとちょっとリモコンの赤外線デェ~す)

(2)名を名乗る(東芝のTVリモコンでおま)

(3)命令送信合図(ほな、ご主人様の命令を送り待っせ、よろしいか?)

(4)命令送信(ボリューム上げておくんなはれ)

(5)終了宣言(以上だす)

Led 命令部は、0と1を赤外線が発信されないインターバル時間の違いで送っています。

(1)(2)(3)というプロセスがあってはじめてデータ部の命令を受け取るようになっています。

これですと、赤外線を出すものが近くにあっても、それのよって誤作動することは、ほとんどなくなります。うまくできています。

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2007年4月23日 (月)

超音波リモコンはなぜ消えた(2)

サンヨーが発売した超音波リモコンつきテレビ「ズバコン」、1971年から1978年ぐらいまでは販売していたようです。(1975年からという情報もあります)

Sanyorimocon2 身の回りにある音が鳴ることによって誤作動をしたようです。たとえばこちら

音には倍音が含まれることから、聞くことのできる音の中にも超音波が含まれることがあります。

でも、現在広く使われている赤外線を使ったリモコンでも、赤外線も回りにたくさんありますので、同じことが起きてもおかしくありません。

Wiiのリモコンは、リモコン自体が「センサーバー」から発せられる赤外線を受けますが、ろうそくの光でも代用できるという話もあります。太陽光や電灯、熱源があれば赤外線も出ています。

超音波による通信では、誤作動を防ぐ処置が難しいのか、あるいは技術的にかコスト的にか赤外線方式に勝てないということでしょう。

サンヨーのズバコンがTVとリモコンの間で、どのような通信を行っていたのかは、よくわかりません。

Tvrimocon1jpg 現在の赤外線方式のリモコンでは赤外線を発するLEDを点滅して通信しています。デジタルカメラのモニターで見ると赤外線とその点滅が確認できる場合があります。

赤外線リモコンの点滅がどの程度の間隔で行われ、それが意味するものは、こちらこちらに詳しく書かれています。いくつかの方式がありそうですが、

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超音波リモコンはなぜ消えた(1)

テレビのスイッチのオンオフやチャンネルの切り替えは、リモコンで行うのが常識になっています。

Tvrimocon チャンネルを回す、という言い方もそろそろ死語になるのかもしれません。かつてはガチャガチャとまわしていました。

Sanyorimocon 線のないリモコンは、サンヨーが最初に売り出しました。このときリモコンとTVの間に飛んでいたのは超音波でした。こちらに、そのときのコマーシャルがYOU TUBEにアップされていました。貴重な映像です。

キャンデーズが元気いっぱいです。143000円、高価なテレビですね。

この超音波を使ったリモコン、1年足らずで姿を消してしまいました。現在は、赤外線を使っているリモコンがほとんどです。

(注:その後の調べで、日本では超音波式テレビリモコンは、1971年に登場して1978年ごろまでは販売されていたことがわかりました。シリーズ第5回を参照

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2007年4月21日 (土)

野菜売り場の超音波

今日は意外なところに、超音波の未来が・・・というお話。

Mist スーパーの野菜売り場に行きますと、細かな霧が流れていることがあります。霧なのだけれどべたべた手にまつわりつく感じはしません。細かいのですね。

野菜の乾燥を防ぎ鮮度を保つ目的で流されています。

Mist2 この霧、超音波で作っています。棚の上を見るとコントローラーがあります。水を超音波領域で振動させてキャピラリー波を起こさせて発生します。

キャピラリー波、毛細表面波といって液体の表面張力を復元力として使う波です。界面を変化させますので、計測とは違った新たな超音波の可能性が期待されています。執筆中の本に書きたいと思っています。

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2007年4月16日 (月)

ヘンミの計算尺

ヘンミの計算尺(一般計算用)はすでに製造していません。

Henmi_slid_rule 作る技術・技能も途絶えかけているようです。そうなるとほしいなぁ、でもなかなかないなぁ、とブログの記事を書いていたら、私の「書斎」に洗濯物を干しにきたつれあい殿が、「計算尺を探しているの?私持っているよ」、これぞ灯台下暗し。じゃぁ、と探しましたが、奥深くしまいこんでいるらしく出てきません。

Henmi しかし義父は必ず持っているからと実家に電話をしてくれました。そういえば、義父は工業高校出の技師でした。

もらってきましたよ。ヘンミの計算尺。私が中学と高校のときに少し習ったときに使ったものより、ずいぶん大きい印象です。

スライドさせたときの、わずかな抵抗感がたまりません。

説明書は昭和26年印刷。

イヤー、なんだかうれしい。

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2007年4月13日 (金)

日テレ番組の安易 「エコーの開発」物語

日本テレビ系列の「未来創造堂」で、胎児の超音波診断装置「エコー」の開発物語をやっていました。

悪い予感が当たりました。技術の開発物語を取り上げるのに、何が問題であったのかについての「うそ」はすべてを台無しにします。

振動子から発せられる超音波の反射波(エコー)を、横軸(時間経過)と縦軸(音圧)として波形表示させる「Aスコープ」から、人体の内部が直感的にわかる断面画像を得ることが、はじめてこのとき行われたかのようなストーリーになっています。しかし、超音波による人体の断面画像を得る装置は、1954年にアメリカのJ・ワイルドが開発に成功しています。ワイルドは15MHzを使っていたため、減衰が大きく表層部しかか見えないものでした。

1950年には、現在も使われている5MHzの周波数で、和賀井らが超音波断面画像が得られる装置を作っています。(事前の研究はこちらに少し書いています。)

以前にも書きましたが、和賀井たちがなぜ5MHzだったかというと、和賀井の友人が石川島造船にいて、その協力を得て鋼の溶接部を探傷する装置を使って研究をしていたからでした。(偶然の妙)

Aloka この物語は、1962年から65年にかけての話です。和賀井はこの物語の主人公竹内と同じ順天堂大学ですし、装置を開発したのは現在のアロカ(株)ですから、このアイデアは明らかに既知だったのです。

胎児診断には、羊水中に浮かぶ胎児から得られる超音波信号が単純ではなかったところに難しさがあったはずです。音速が変化するところで直進せずに屈折して曲がることや、音響インピーダンスが大きく変わらないことから境界からのエコーが小さい、といった点です。竹内久彌と重山貞夫らは、超音波を胎児診断に適用するというアイデアの元に、その困難を解決して、現在普通に行われる胎児の超音波診断につながる礎を築いたのです。

開発者に対する敬意は、その人が解決した課題そのものを想起することが出発点だと思うのです。

すごそうに見せる(番組制作者が描いたストーリーの)ために、先人の業績までその人にあるように描くのは、私は失礼だと思います。

私は、マスコミのこのような安直な「科学技術」に対するかかわりを、「ニセ科学」より以上に腹立たしく思います。担当した制作者は取材をしたのだから、知らないはずがないのです。

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2007年4月 9日 (月)

計算尺(Slide rule)

このブログによくコメントを寄せてくれる271828さんのブログで、教師用の計算尺の話題が取り上げられていました。

私が現場に出始めたころは、電卓が普及し始めて、計算尺を持っている人もいましたが、どんどん少なくなっていました。胸か腕のポケットに計算尺をさしているのがなんともかっこ良くて、持ちたいと思いながら、当時極貧でもてませんでした。

Slide_rule_1 ヘンミでももう特殊用途のものしか作っておらず、一般エンジニア向けは手に入らないようです。でも円形の計算尺なら売っていることを教えてもらいました。

早速購入しました。これ面白い。でも、使い方を勉強をして、手と頭をなじませる必要がありそうです。中学か高校でちょっと習ったきりです。

以前にバーチャルノギスを作ったときに、バーチャル計算尺を作ってみようと、試みたことがありますが、現物が無くてあきらめました。

Slide_rule2 今回探してみたら、フリーソフトですごいのがありました。解説も丁寧です。これで遊んでみようと思います。

                                         

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2007年4月 4日 (水)

超音波技術の最前線

私のところで行っている技術教育では、基本をしっかり大切にすることを心がけています。基本というのは、最新技術からは少し遅れたところになります。しかし、日々進展する最新技術も教えておく必要もあります。

そこは人脈で企業の協力をいただきます。本日、フェイズド・アレイ超音波探傷とTOFD(Time Of Flight Diffraction )の講義とデモンストレーションをクラウトクレーマー・ジャパン社に行ってもらいます。昨夕段取りをして、夜懇親と打ち合わせをしてきました。

Pa2 フェイズド・アレイです。医療分野で行われていることと原理的には同じです。医療分野に比べると探傷分野へのフェイズド・アレイの適用は少し遅れています。相手が硬いことと、のモード変換がおきるところが大きな違いです。しかし、コンピュータ技術の急速な進歩に伴って、探傷の様相も大きく変化していくでしょう。

Pa この装置でも、基本表示(Aスコープ)が同時に表示されています。画像処理された結果だけでなく、ソースとなる波形から判断することが求められます。

講師は颯爽として美しいM女史です。普段の授業とは、一味違ったものになるでしょう。

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2007年4月 1日 (日)

Googleで定義を検索

もうよく知られていることなのかもしれませんが、Googleで言葉の定義を検索できることを知りました。

たとえば、「define:turbofan」と検索枠に入力をして検索をかけると、Web上にある定義を示してくれます。日本語には、まだ対応し切れていないようです。

Ulttrasonic_beam_in_water 早速「超音波」の定義を調べてみましょう。

「define:ultrasonic」で検索をかけると、このようになります。クリック

「A sound frequency that's too high for humans to hear」とか

「Referring to sound waves with frequencies higher than those at the upper limit of unimpaired human hearing, usually between 16 and 20 KHz.」

が出てきます。「聞くことを目的としない音」という定義は出てきません。ドイツにいる超音波の専門家に間接的に聞いてもらったところでも、そんな定義は聞いたことが無い、とのことでした。ちなみにドイツでは、可聴音の限界周波数は16kHzだそうです。

ところが日本では、特に今世紀になって出版されている「超音波」本に「聞くことを目的としない音」という定義が多くなってきています。そのような定義をしていない本のほうが少なくなってきています。少し驚いています。

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超音波ビームを表示するソフト

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2007年3月31日 (土)

超音波を浴びせることで物体は破壊できるのか?

昨日、「コンピュータが思いがけず描く絵」に彪霧さんから次のようなコメントをいただきました。

コメント****************

はじめまして。
超音波を浴びせることで物体は破壊できるのか?
と思い、「超音波」で検索してここに辿り着きました。
「超音波で物体を破壊する」――世のアニメ・マンガ・特撮モノに多く存在する現象であり、その原理は「物質の固有振動数と同じ周波数の超音波を浴びせることにより対象を破壊する」と説明されます。
が、そんなことは可能なのでしょうか?
そんなことが起こるなら、現実世界でも既に(兵器として)実用化されていそうなものです…。
ド素人の私の手には負えなくなってきたので詳しい方のご意見を頂きたいと思い、書き込みました。SUBALさんはどう思われますか?

*******************

以下、私なりに考えたことです。

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2007年3月26日 (月)

「超音波診断法事始」(その2)

和賀井敏夫著「超音波診断法事始」には、超音波による人体内部の診断法を開発する過程が書かれています。

超音波診断装置も金属の超音波探傷器もベースとなる部分は、同じです。パルスの超音波を発信して受信するパルサーレシーバーと、表示部分です。表示部分のベースは、オシロスコープです。

Ut 右の図は、私がパソコンの中に作った仮想超音波探傷器です。縦軸が音圧をあらわし、横軸は時間軸ですが、時間軸の校正を行うことで反射元までの距離として読むことができます。この表示はAスコープ表示といいます。

Aスコープ表示の情報に、探触子の位置情報などと合わせて画像を作ると断面などの「絵」を得ることができます。

医療用の超音波診断装置は、このAスコープの情報を輝度変換をして、断面画像として表示するのが普通です。

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2007年3月24日 (土)

「超音波診断法事始」(その1)

1ヶ月前に注文していた本がようやく届いて、読んでいます。和賀井敏夫著「超音波診断法事始」(日本プランニングセンター)です。

Wagai これが想像以上に面白い。和賀井氏は、日本で超音波による人体の診断法を開発してきた方です。NHKの「プロジェクトX」でも取り上げられていましたね。

超音波による診断法は、第2次世界大戦後ほぼ同時期に米国・ドイツ・オーストラリアの学者も開発に着手していました。成果が上がるのも少し日本より早いために、超音波診断法の創始者は、世界的にはそれらの国の人だといわれています。

しかし、現在医療分野で使われている超音波(連続波ではなくてパルス波、透過法ではなく反射法)と周波数帯域を最初から使い、現在につながる成果を上げたのは日本のチームでした。

それがなぜかというと・・・・

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2007年3月21日 (水)

音波のドップラー効果で風速

さっぽろサイエンス観光マップ」というブログに、札幌市北区の北大の北端近くで奇怪な音がする、その正体を探る、という記事がありました。

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北大低温科学研究所で上空の風の流れを観測しているドップラーソーダーが発している音であった、という結論です

Doppler_soder写真は、今回取材をさせていただいた(株)カイジョウソニックのドップラーソーダーです。およそ2kHzの音を出して、そのエコーに現れるドプラー効果で、上空500mまでの空気の動きをつかむのだそうです。低温科学研究所にあるのは外国製のもののようです。

Dopso 同ブログには、その音のMP3ファイルが掲載されていて聴くことができます。

この音を、先日紹介したフリーソフト「声門」で周波数解析してみました。およそ1700~2500Hzの音を数ステップから十数ステップで上げていく音を出していることがわかります。

この周波数帯は可聴音領域です。(だから聞こえたんだって?失礼しました)とんでもなく小さい音を受信できる装置です。

31ltu100 ほとんど同じ原理で、海中の潮の流れをモニターする装置があります。こちらは超音波を使います。この2つの装置の共通点と相違点がわかると、超音波というものが明瞭にわかります。この潮流をモニターする装置については、現在執筆中の本の中に書きます。

この海中の潮の流れをモニターする装置、全国の港湾に備え付けられています。

最近苫小牧港に設置されている同装置のデータから、苫小牧の港湾関係者が長年頭を痛めていた、大きな波も無いのに突然係留していた船が動き出す奇怪な現象が解明に向かっているそうです。

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レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿

2日目の取材も、熱のこもった内容でした。たくさんの資料もいただきました。(帰りの荷物の重いこと。へとへとでした)

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Kaikyouちょうど上京していましたので、特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ — 天才の実像」をみてきました。強行軍で昼食は抜き。日差しが暖かく、たくさんの人が来ていました。

Retu 20分並びました。これでも平日だから短いほうなのかな?

Jyutai 「受胎告知」美しかったです。生涯でもう一度みることは無いのかもしれません。聖ガブリエルの顔怪しく美しい。

でも圧巻は、第2会場。「手稿」の内容を紹介した展示室です。

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2007年3月15日 (木)

ボルト脱落防止策

ANAのボンバルディア機が高知空港で胴体着陸した件は、ドアを格納するアームに取り付けられたボルトが外れて、ブッシング(円筒形の部品)が外れて、引っかかったのが原因と結論が出たようです。

でも、なぜ外れたのかの追究は残っているはずです。通常は外れないようになっています。

ここで問題です。航空工場検査員国家試験平成15年「航空機用原動機」の中にある問題です。

次の文が正しいときには○誤っているときには×をつけなさい。

「となりあったボルトをロックワイヤーで結ぶとき、一方が締まる方向のときに他方は緩む方向に引かれるようにする。」

Lockwire1 左のようなボルトにはどのようにロックワイヤーを結ぶのが正しいでしょうか。

さて、正解は続きで。

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2007年3月14日 (水)

ボルトが脱落?ボンバルディア事故

高知空港の胴体着陸事故の原因調査はこれから進んでいくのでしょう。

Anakouti 今日の報道では、ボルトが外れて引っかかったと出ていました。航空機では振動によってボルトが外れることが無いように、様々な工夫がされています。(この辺のいったんは「絵とき ねじ 基礎のきそ」にも写真入で紹介されています。

ちょっと常識的には考えにくいですが、ありえないことが起きるから事故なんだ、ということかもしれません。もしそうだとしたら「なぜ外れたのか」が徹底的に究明されなければなりません。

また、ボルトが外れたらドアが開かなくなるメカニズムにもメスを入れる必要があるでしょう。

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2007年3月13日 (火)

高知空港で胴体着陸

ANA1603便ボンバルディアDHC8-Q400が高知空港で、前輪が出ないまま胴体着陸をしました。

昼のニュースで見ましたが、実に絶妙なランディングでしたね。ぎりぎりまで機種を上げて、そっと機種部分をおろしていました。実にうまい。飛行機に乗っていると時々「ドスン」と降りる乱暴なパイロットもいますが、いつ車輪が地面についたのかわからないランディングもあります。

それにしても、何でノーズランディングギアが出なかったのでしょう。通常、油圧と電気が両方とも切られると、自重で自然に脚が出るシステムになっているはずなのです。

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2007年3月12日 (月)

XCopter

「科学のタマゴ」についてきたX(クロス)コプターです。

「大人の科学」も好きでいくつか購入しています。このクロスコプターよくできています。

勢いよくまわすと、リード線が外れるのですが、このときふっと軽くなります。

ホバリング時間を競う競技というのも面白いかもしれません。

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2007年3月11日 (日)

<動画>WiiAccで3軸加速度

Nintendo Wiiのリモコンに搭載されている3軸加速度を表示するソフトの動画です。

うまく見ることができるでしょうか。YouTubeにUPしました。

Wiiリモコンを放り投げて自由落下させている場面では、リモコン本体は画面から消えてしまっています。

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2007年3月 5日 (月)

連続波とパルス波

3軸加速度を表示するソフトウエア「WiiAcc」の活用方法です。何気なくWiiリモコンを振っていて、こんなことも表現できそうだと考えました。

Wave1 手に持って振ると、連続波です。

Wave2 リモコンを持っている手をもうひとつの手で叩くと、これがパルス波になります。

こういうのは、本で図示されますが、目の前で時間の経過とともに進行する波形として示せればわかりやすいかもしれないと思いました。

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2007年3月 4日 (日)

危ない航空会社ランキング

Newsweekの2月28日号が送られてきました。

Newsweek1 表紙を飾るタイトルは「危ない航空会社ランキング」。刺激的なタイトルですね。内部では「危なくない航空会社ランキング」になっています。(執筆側と営業側の妥協の産物?)

Newaweek その中に「JALは本当に危ないのか」という署名記事があります。

アクシデントやインシデントの数のデータを示して、マスコミで報道されている印象とのずれを浮き彫りにしています。

この記事を書くにあたって、このブログの記事が参考になったとのことです。こちらの記事12

もちろん私の書いたことを鵜呑みにしたわけもなく、ご自分でちゃんと調べたようです。それにしても、ブログっていろんな人が読んでいるものなのですね。

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2007年2月26日 (月)

タービンノズルの熱疲労割れ

Fpi_turbine_nozzle J47ターボジェットエンジンのタービンノズルに生じた熱疲労割れです。蛍光浸透探傷検査(Fluorescent Penetrant Inspection)で検出しています。(画像をクリックしてください)

J47tbtc 紫外線照射灯(black light)で照射しています。蛍光浸透探傷検査は、航空業界ではよくザイグロ検査と言われることがありますが、ZYGLOはMagnaflux社の商品名で、正式にはこの呼び方はしません。

箱型の車をボンゴというようなものです。(ちょっと古すぎ?)

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2007年2月24日 (土)

「ねじ 基礎のきそ」

 私は、子供のころ金物屋に行き、棚に並んでいる奇怪な形をした機械の部品やツールを見るのが好きでした。これは何に使うのか、何に使えるのか勝手に想像して楽しんでいました。その中でねじは、いっぱい種類があるのだなぁ、とは思いましたがどちらかといえば関心の外でした。

Neji2 しかし、人類が発明してきた様々な機械要素のうちもっとも息長く広範につかわれているものはと考えるとやはり「ねじ」でしょう。わかっているようで実はあまりわかっていないの「ねじ」かもしれません。私も、最近になってねじの奥深さをいろいろな場面で知り始めました。

このたび、日刊工業新聞社から「絵とき ねじ 基礎のきそ」が発刊されました。著者はこのブログにも時々コメントを寄せてくれる門田和雄さんです。

知り合いだからというところをさしい引いてもお勧めの一冊です。お勧めのわけは・・・・・

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2007年2月20日 (火)

自由落下の無重力を見る

WiiAccの使い方として、いろいろ考えられます。私がやってみたものをいくつか紹介していきます。

0.1秒の自由落下を前に書きましたが、今回はWiiリモコンを放り投げて手で受けてみました。

Freefall Wiiリモコンが一番高く上がってから手に収まるまでのおよそ0.8秒間、3方向すべての加速度がゼロになっているのがはっきりとわかります。自由落下の無重力です。

理屈上わかっていても、目の前で加速度センサーの値が表示されると、なんだかうれしいです。リモコンを回転させないで放り投げるのがコツです。

中学生か高校生のころの私に持たせたら、夢中になってリモコンを放り投げていたでしょう。多分ついにはリモコンを壊していたでしょう。

「明らかに加速運動しているのに加速度がゼロなのはどうして」という疑問がわいてきたらしめたもの。すぐには説明しないで、「どうしてだろうね。」と、せいぜい静電容量式でもピエゾ効果式でも加速度センサーの仕組みを説明して横を向いていればよいですね。想像力は宇宙へ飛んでいくかもしれない。

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2007年2月18日 (日)

「WiiAcc」Ver.1.0を公開

お待たせしました(かな?)、「WiiAcc」を公開します。

Cimg0902 ニンテンドーWiiのリモコンから、3軸の加速度データを取得するソフトウエアです。

久しぶりにプログラミングが楽しかったです。このところ年に1本ぐらいのペースになってしまっています。今回は平田敦さんのおかげで、ここまできました。ギジュツ・ドット・コムのメーリングリストで「どなたかお助けを・・・」と呼びかけたところ、真打の平田さんが手を上げてくださいました。

Wiiaccv10 プログラミングで楽しんでいられない事情ができましたので、凝るのをやめてここで手を打ちました。

使った感想や、こんなデータが取れた、というような情報を教えていただけるとうれしいです。ダウンロードとREADMEは続きで・・。

その前に、お疲れさんというところでポチット一発。

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2007年2月16日 (金)

0.1秒間の無重力

ニンテンドーWiiリモコンを使って3軸加速度を表示させるソフトウエアを作っています。

さまざまな運動の様子を加速度の側面から見るツールになるだろうと予想しています。

そのひとつとして自由落下があります。

Freedrp Wiiリモコンのストラップの間隔を自由落下させてみました。画像をクリックしてみてください。

Wiiaccfd そのときの波形が左です。落下させた距離は160mmです。計算上落下時間は0.18秒になります。

赤い線が-1Gから動き始めて、落下が終了するまでおよそ0.2秒。大体いい線でしょうか。その中で0.1秒程度無重力になっているのが観察できます。

息子は面白がって、より高くから落として無重力の時間が延びることを確認していました。

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2007年2月12日 (月)

建築家が作った玩具

キャッチング フラッシュボール」の記事を書いたところ、271828さんから元祖は「Switch Kick」であろうと教えていただきました。

どうもそのようですね。Hobermanという名の建築家が設計したもののようです。元祖にはウレタンが使ってありサッカーボールのように蹴ることができるようです。こちらのページには反転する過程がよくわかる動画(?)があります。

この方、2002年の冬季オリンピック会場のアーチを設計した方とのことです。Hoberman Archと呼ばれています。きれいですね。

Duality 271828さんによると、この「Switch Kick」のメカニズムは、双対する正四面体入れ替えではないか、とのことです。私は、ボールになった時点では正四面体のようになっている、切り替わる時点で8つの頂点が球面上にそろうときがあって、これは球体を八分割していると見ました。(正八面体ではなさそうとは思っていました)

双対性をなす四面体の入れ替わり、と考えるとすっきりしますね。

Duality2 3DCGで双対性を確認していたら、双対性をなす正四面体の重心位置は同じではないのですね。同じだと思い込んで作図をしていたら、思いっきりずれていました。なんか、面白い。双対性は金属の結晶構造の中にも現れます。

おー!まさに「かたちのココロ」になってきました。

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2007年2月 7日 (水)

シャルピー衝撃試験の振れ角と周期

にほんブログ村 科学ブログへ 今日はポチット応援してからということでよろしく。

シャルピー衝撃試験は単振り子運動をして試験片を叩きます。単振動とみなされる場合にはその周期はT=2π√(L/g)で求められます。周期を決めるのはLだけです。L=0.75(m)ではT=1.738(秒)になります。

シャルピー衝撃試験のように大きく振り上げると、単振り子は単振動とはみなされなくなり、振れ角によって周期が違ってきます。振り子の等時性は成立しません。この周期をを計算で求めるのは相当大変なようです。「ルンゲ-クッタ4元法」「第1種楕円積分」って???私には手に負えそうもありません。

こんなときあきらめ切れない私は、昔から腕力で解決します。

Charpy  振り上げ角を変えて周期を測定しました。ビデオで撮影して、1/30秒ごとのコマ送りを利用しました。左の図は、そのときの分解写真を利用して、アニメーションにしたものです。半周期だけですので、一見回っているように見えます。

Fre2左のグラフが結果です。144度(0.8π)まで振り上げると、その周期は2.73(秒)になります。単振動を基準とした比T/T0は、1.57になっています。

このページのグラフともほぼ一致していそうです。

Wiiについた加速度センサの値でもY(red)が試験片を壊した後、位相がずれるだけでなくて周期も短くなっています。

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2007年2月 5日 (月)

国内最大級の天然ガス田

私の通勤途上に、国内最大級の天然ガス田、勇払ガス田があります。石油資源開発(株)札幌鉱業所勇払鉱所です。日産約90万m^3を算出して、55万世帯に供給しているとのことです。

Japex国道のすぐそばに、埋蔵量を確認するための井戸があります。ここが最初にガスを掘り当てたところです。十数年前、ガスが出たときに祝い酒を持っていきました。一升瓶がずらっと並んで、お祭り騒ぎでした。

Cimg0814 今でも、時々フレアーを出しているときがあります。数キロ先からも炎の輝きが見えますし、横を通るときには放射熱を感じます。車の中から撮影した写真です。

昔地下資源を探すときには、山師という人たちが活躍したと聞きますが、この天然ガス田は衛星からの観察がきっかけだったそうです。Googleの衛星写真です。ここからも原油も出るのですが、この近くの穂別の山からは軽質油分の多い良質の原油が出ます。

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2007年2月 4日 (日)

Wiiリモコン3軸センサの座標軸

Wiiリモコンの3軸加速度センサの値をパソコンに取り込んで遊んでいます。座標軸を整理して、グラフ表示を読みやすくしたいと思っていました。

Wiii3d_1 271828 さんに教えてもらった情報を元に、WiinRemoteを使って取り込むときの色に合わせて表示してみました。ついでに、3軸加速度センサの位置に合わせて見ました。こちらの分解記事を参照しました。Aボタンの横に加速度センサが搭載されています。

Wiiacc2 私が作ったGに換算するソフト「WiiACC」も+-の表示を先の図に合わせました。

値をとって実測の振り上げ角度等とあわせていますが、結構いい線行くようです。

WiiAccのダウンロードはこちらへ

にほんブログ村 科学ブログへ 昨日も過去最高ポイントで1位でした。いつもありがとうございます。でもひたひたと2位が迫ってきています。

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2007年2月 3日 (土)

Wiiリモコンで得られた衝撃試験の加速度

Wiiリモコンを搭載してシャルピー衝撃試験を実施しました。

3軸加速度のデータが取れました。再現性を確認せずに2つの試験片だけで何かものをいうのはよろしくない、とのご意見もあります。当然の指摘なのですが、私はその前に仮説を立ててみようよ、そのほうが面白いでしょ、と考えています。いろいろな実験をやりますが、私はこのときが一番面白いのです。

Charpy_impact_test2 ハンマーの進行方向の加速度(Z:Green)です。ここの加速度は、ハンマーが最下点に来たときに0になります。

シャルピー衝撃試験では、試験片に対して力は3点曲げとしてかかります。当然ハンマーが試験片に衝突するとき、反力と試験体の変形抵抗を受けて進行方向に対してマイナス方向の加速度を受けます。

Impact2 次の瞬間進行方向に加速度を受けています。この原因は、ハンマーアームの曲げ変形の解放にあると推測します。

少しの間進行方向にもブルブルと震えているのがわかります。

この推測、いかがでしょう。

にほんブログ村 科学ブログへ 応援ありがとうございます。今日も1位、いつもありがとうございます。

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2007年2月 2日 (金)

Wiiリモコンの加速度センサは静電容量式

Wiiのリモコンに搭載されている3軸加速度センサは、静電容量の変化を捉える方式のようです。こちらにSTマイクロエレクトロニクスの大内篤氏へのインタビュー記事が掲載されています。

厚さ15μmの稼動部の変化を検知しているようです。重力も稼動部を変化させますから、リモコンの傾斜も検知します。これは、実際に静かに回転させると、角度に応じて表示が変化します。

Impact2_1  シャルピー衝撃試験のグラフにハンマーの角度情報を入れてみました。

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2007年1月31日 (水)

Wiiリモコンとシャルピー衝撃試験

昨日の記事で米国の第2次世界大戦時に企画製造されたリバティー船の脆性破壊について書きました。

ゆっくり荷重をかけて測定する強さ(Strength)だけでなく靭性(Toughness)を検討する必要性が強く意識された事故でした。強いだけではだめでタフじゃなければ・・・ということです。

Charpy_1 この靭性を評価する試験方法がシャルピー衝撃試験です。

ハンマーで試験片を叩いて破壊し、破壊時に吸収されたエネルギーをハンマーの持ち上げ角度と振り上がり角度の差から算出するものです。

このハンマーに3軸加速度センサーが搭載されているニンテンドーのWiiリモコンをつけて、Bluetoothを介してパソコン上にグラフ表示ができるようにして、試験をしてみました。その結果は続きで・・・その前に、

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2007年1月30日 (火)

全溶接船の脆性破壊事故

昨日の記事で紹介した船が真っ二つになった写真は、米国の戦時標準船(リバティー船)のSchenectady号(T-2タンカー)です。

多くの書籍・教科書に掲載されている歴史的な写真です。こちらのサイトを参照してください。

Libertyships 日・独に対抗するために米国が作った大量生産の溶接船。約2700隻のうち1000隻に脆性破壊が起き、そのうち200隻が沈没か全損という、壮絶な破壊事故事例の山となった船のひとつです。
真偽のほどは確かめていませんが、日本の製鋼と溶接の技術が優れていたために、このような脆性破壊事故が起こらず、そのことが破壊力学への関心を薄れさせたひとつの要因、という話を聞いたことがあります。

それにしても、その後のコメット機の事故やF111の事故など、事故後「責任者の糾弾」というよりも事故原因の解明と新たな学問体系を作り上げていく姿勢は感心します。

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2007年1月28日 (日)

強さの秘密

破壊力学の祖、グリフィスさん面白そうだとの話題なりなりました。

Str 私の本棚にもJ.E. Gordonの「強さの秘密―なぜあなたは床を突き抜けて落ちないか 」がありましたから、読んでいたと思っていましたが、改めて手にとって見ると読んでいませんでしたね。つん読でした。

Gli 読んでみると、これは面白いですね。細い繊維にすると大きな欠陥が取り除かれて強度が増す、ということは知っていましたが、これがグリフィスの材料強度に関する、そして亀裂の進展に関する考察の出発点になっていることを知りました。私には、ひずみエネルギーと表面エネルギーから亀裂のある材料の強度を考えていくということも、このような思考過程からわかると頭の中で整理されていきます。

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2007年1月19日 (金)

Wiiリモコン3D加速度の換算

Wiiacc1 左の図は、Wiiリモコンをそれぞれ倒立・水平・直立させたときの表示です。

Y:REDに着目します。倒立で158、水平で131、直立で105になっています。倒立1G、水平0G、直立-1Gを示しています。

そうすると、1Gの間を26~27分割していることになります。ここから、WiiRemote画面で表示されている値を、G換算できます。

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2007年1月17日 (水)

3D加速度センサーのデータを取得

Wiiリモコンについている3D加速度センサーの値を、パソコンに表示させることができます。WiinRemoteというフリーソフトを使います。このソフトは、Wiiリモコンをパソコンのマウスの変わりに使うことを目的としていますので、加速度の値を記録として残せるものではありません。

Wiiacc 何とかならないかと思い、WiinRemoteで表示されるグラフから加速度の値を読むソフトを作って見ました。私にすぐできるのはこの方法でした。

このソフトでは、加速度をGとして表示しています。どのように使うのかとダウンロードなど、詳しくは続きで・・・。でもその前に・・・

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2007年1月14日 (日)

Wiiリモコンの加速度データを表示

ニンテンドーWiiリモコンに搭載されている3D加速度センサーのデータをパソコン上に表示させることができました。

Wiiac パソコンが壊れたことによる新規入れ替え作業がひと段落しましたので、Bluetoothを接続して、試してみました。Bluetoothの使い方がわからず多少うろうろしましたが、できました。

青・赤・緑の線でグラフ表示されて、現在値がAccX、AccY,AccZで表示されています。

使用機器、ソフト等については続きで。

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2007年1月 4日 (木)

Wiiのセンサーバーにはセンサーがない

ニンテンドーWiiのコントローラーの話です。

Wiiのコントローラーをセンサーバーに向けて動かすと、画面上でマウスポインタのような手の形をしたアイコンが動きます。ゲームの中では傾けるとそれに応じた動きをします。このセンサーバー、何らかのセンサーが入っていると思うのが普通ですが、赤外線ランプが点灯しているだけだ、との情報がありました。

Wii

私の確認でも左右5個ずつ計10個の赤外線が点灯しています。そこで、ミニ実験を息子としてみました。(続きでどうぞ)

 

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2006年12月30日 (土)

虹は七色?

注文していた正月に読む本が今日届きました。その中で、15分で読み終えたけれど久々に眼からうろこの本があリました。

Cimg0748 板倉聖宣著「虹は七色か六色か」(仮説社)です。271828さんに教えてもらって購入しました。

スペクトルは連続しているのだから、どこで区切るかなんて人それぞれ、という話ではありません。米国では六色と教えられるようです。民族の繊細さという話でもありません。

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2006年12月29日 (金)

超音波の定義(2)

JIS Z 8106:2000 「音響用語」を手に入れました。」(当初8106を誤って2300と書いていました。訂正しました。)

「超音波音 可聴音の上限周波数(およそ16kHz)以上の音響振動」

超音波ではなく超音波音です。対応する英語も、「JIS Z 2300」が「超音波:Ultrasonic wave」に対して「JIS Z 8106」では「超音波音:Ultrasound」です。

非破壊検査の分野では超音波はUltrasonic waveですが、医学の超音波検査ではUltrasoundです。

えっ!なにが違うのという感じです。同じStressを機械工学では「応力」というのに対して土木工学では「応力度」というのに事情が似ているのでしょうか?

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2006年12月27日 (水)

超合金 単結晶

超音波から超合金の話題になりましたので、単結晶タービンブレードの紹介です。

Scb 燃焼ガスにさらされ遠心力で引張られるタービンブレードは、クリープ破壊の危険があります。クリープ破壊は結晶粒界に生じるボイドから始まります。そこで引張応力と直交方向に結晶粒界をほとんどなくする一方向性凝固のブレードが作られました。細長い巨大な結晶です。

さらに、結晶粒界をなくしてしまう=全体をひとつの結晶とする単結晶のブレードが作られています。

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2006年12月25日 (月)

超音波の定義

超音波について『聞くことを目的としない音』が、公的な定義としてあるのか否か調べていますが、いまのところ見当たりません。

Niwa1 しかし、丹羽登著「超音波計測」(昭晃堂)に左のような記述があるのがわかりました。

超音波を使った計測のバイブルのように扱われている本です。筆者の丹羽登氏は、元東大教授で日本非破壊検査協会(JSNDI)の創始者の一人であり、元会長でもあります。

でもやはり言わなければなりません。「丹羽先生、間違っています。」

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2006年12月24日 (日)

カムイロケット 遠い空の向こうに

カムイロケットが打ち上げに成功しました。上空1000mまで上がって、衛星の切り離し実験にも成功したようです。固液ハイブリッド燃焼 ロケットエンジンの実証実験として第1弾というところでしょうか。

このニュースで注目なのは、これが単なる実験ではなくて、対価を得ての打ち上げだったということです。儲かったかどうかは知りませんが、ロケットが売れたのです。カムイロケットは安全と安価が売りのようですから、ひとつの扉を開いたことになるのでしょう。

このニュースを聞いて思い出すのが、映画「October Sky(遠い空の向こうに)」 です。

「ウエストバージニア州の炭鉱町に住む高校生のホーマーは、3人の仲間とロケットを作り始める・・・。」

最後の場面で、ロケットが雲を突き抜けて打ちあがります。

後にNASAの技術者になるホーマー・ヒッカムの実話を基にして、ロケット作りに夢中になる少年と、炭鉱夫として生きる父親との葛藤を描いていて、泣かせる映画です。最初見たとき、私の眼は主人公ホーマーでしたが、最近は父親の眼になっています。父親役がいい味出しています。

かつての炭鉱町赤平、常識的には無謀のように見える宇宙への夢を追う一群の人たち。そこにただならぬ気配を私は感じるのです。

追記:カムイスペースワークスのブログを見つけました。こちら

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2006年12月23日 (土)

公園の超音波ブランコ

必要があって改めて「超音波とは何か」を調べています。なにをいまさら、という感じですが、調べてみると結構驚きます。

こういうものはまずJIS(日本工業規格)での定義から・・・。

「超音波 周波数が20kHz以上の音波」(JIS Z 2300)

あっさりとしたものです。私もこの理解でした。20kHz程度が人間の耳で聞くことのできる限界。音波という物質中を伝搬する振動を、周波数で区別して「超音波」「可聴音」「低周波音」と呼ぶ、と理解していました。

Sig ところがこの定義は狭義であって、広義の定義では『超音波とは聞くことを目的としない音』というのがあちらこちらのあることに気づきました。たとえばこちらこちら。WEB上にあるだけではなく、技術を解説した文献にも同様な記述がありました。

えっ!「聞くことを目的としない音」ならば可聴音領域の周波数でも「超音波」??それはないだろうと思うのです。

窓から2m先に首都高速がある東京の某ホテルの4階の部屋、あそこで夜通し聞かされた騒音、あれは超音波ですか?トラックの運転手も道路公団のお役人もホテル側も、もちろん宿泊客である私も「聞くことを目的とした音」では絶対にありませんでした。

で、もう少し突っ込み。超音波の利用技術は広範に進んでいるといわれています。その中の「超音波カッター」や「超音波歯ブラシ」、これらはどう見ても波として伝搬しているわけではなく、20kHZ以上の振動を与えているだけです。それらの製品の効果を云々するものではありません。でもこれも「超音波」でしょうか。

Koen 周波数が低くても「聞くことが目的でなければ」超音波、振動だけでも超音波、とすれば公園のブランコも立派な「超音波ブランコ」になりませんか?

明らかに「ウルトラ」のインフレーションが起きています。「超」は語感が良いですから、商売上ネーミングに使いたくなるのはわかリます。でも技術や科学に携わる者は、それに追随してはいけないと思うのです。

私はウルトラマンの世代ではなく、幻探偵・鉄人28号・鉄腕アトムの世代です。

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2006年12月22日 (金)

ロケットエンジンLE7

出張から帰ってきました。石川島播磨重工航空宇宙本部瑞穂工場と三菱重工名古屋誘導推進システム製作所を訪問してきました。

Sky 興味深い話はいっぱいあるのですが、ここで書けることは限られます。面白いものもたくさん見てきましたが、写真撮影は禁止でしたのでありません。機上から撮影した1枚です。

どちらの工場でも、私が歩いているとあちらこちらから懐かしい顔が近づいてきました。短い会話や眼差し中に、仕事や今の生活に対するそれぞれの覚悟が伝わってきて久しぶりにいい旅でした。

各職場で非破壊検査を選択してがんばっている卒業生にたくさん会えたのも嬉しかったです。IHIで超音波をやっているS君、忙しそうだったけれど、すれ違い際に元気な笑顔と会釈。MHIでは、ジェットエンジンやロケットエンジンの超音波探傷をしているIくんとは少し長く話せました。語り口のいきのよさが気持ちよかったです。

現場であったH君は蛍光浸透探傷検査の担当だそうで、飄々とLE7の検査をしていました。HⅡAロケットの打ち上げが成功した直後でしたが、すでに次や次の次が準備されていました。

元気がよみがえってきました。

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2006年12月19日 (火)

超音波による虚像

クマさんによるこのコメントを受けて。

64e2m18w_ref_1 フェイズドアレイを始めとして、超音波探傷の結果を分かりやすい断面表示にする技術は開発されいます。

Usk でもまだ主流は基本表示(Aスコープ)での探傷です。

医学の世界での超音波検査では早くから画像化して画像診断が行われています。でもクマさんが言われるように、これもちょっと見た目では分かりませんよね。

画像化することは、広域的に直感的に判断するのに有利です。あまり勉強をしていない素人でも分かりやすくなるようにも見えます。

Sidelobe1 こちらのページにありますように、医学での超音波診断でも虚像が出ます。サイドローブによるアーチファクトというのが良く出るもののようです。金属ではエッジの回折波も出てきます。

医学の「超音波検査」の教科書を読むと、基本の勉強(例えば超音波のビームについて)が重要だが、おろそかにされがち、と書いてあります。

素人にも分かりやすくするために、虚像を表示画像にでないように処理することも可能でしょう。しかし、そのことによって必要な情報が削除される危険が出てきます。勉強をして訓練をつめば、虚像がむしろ正確な判断の助けになるケースもあります。

私は、超音波探傷の画像化は素人に分かるようにという方向ではなく、訓練を受けたプロの判断を助ける方向になるべきだと考えています。現実には、一知半解でワガママな施主を説得しやすい画像化に向かうんだろうなぁ。

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2006年12月18日 (月)

宇宙ステーションのトイレ

毛利衛さんが、地球を回る衛星から「宇宙授業」として水の表面張力を取り上げたのを憶えていますか?無重力空間では水は表面張力によってその表面積を最小にしようとして球になる、というものです。こちらに動画があります。動画

液体と固体の表面張力を利用してきずを見つける非破壊検査方法がありますが、今日は別の話題。

この授業を見て私は、小便をうまくしないと黄色い球が飛び交うだろう悲惨な光景を、思い浮かべてしまったわけです。宇宙ステーションのトイレはどうなっているのだろう、そんな疑問が頭をもたげました。

Meal1 苫小牧市には本物の宇宙ステーションがあります。旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」の予備機が、苫小牧市科学センターに展示してあります。

Meal で、左の写真が宇宙ステーションのトイレです。無重力だから便座はなくてよいようです。穴が大便器、手前の黄色の漏斗状のものが小便器です。いずれも空気で吸引するようです。飛行機のトイレでは少量の水と吸引空気で吸い込まれていきます。それに近いのでしょう。オーッ、なんといえばよいのでしょう。

水分は電気分解されて、水素と酸素に分けて再利用するのだそうです。

明日から出張です。石川島播磨重工と三菱重工の航空宇宙部門を訪問します。ホテルでブログが更新できるでしょうか。

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2006年12月17日 (日)

カムイロケット新会社設立

今朝の北海道新聞に、植松電機の植松務専務と永田北大教授が協力をして、ベンチャー企業「株式会社カムイスペースワークス」を植松電機内に設立したという記事が掲載されていました。

永田教授の固液ハイブリッド燃焼のアイデアを植松氏が支援するかたちで進められてきた「カムイプロジェクト」は、北海道ではいくつかのメディアで紹介されて有名です。

植松電機には来春卒業する学生が1人お世話になることになっています。学生の捨て身の気迫が通じたようです。(御礼の電話をして「学校として必要な書類があれば送ります」といったら「何も要りません」と言われてしまいました(笑))

先日、三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所の方が来校されて、その中のお一人が植松専務と同期で友人とのことでした。来週名古屋のMHIさんを学生とともに訪問します。その方が担当される低速風洞・超音速風洞も見せていただけることになっています。(私は別のほうに回るため見ることができませんが・・)学生たちは、10月にJAXAの風洞を見せていただいている(1,2)ので、繋がりが出てきて面白いと思います。将来自分の仕事になる学生もいるかもしれません。

若いっていいなぁ、などと爺くさいことを言っていないで、前を向いて頑張ろうト。

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2006年12月16日 (土)

「応力拡大係数・・」ソフトの注釈

3月に「応力拡大係数と破壊靭性値を理解するソフト」公開していました。特殊な分野なので、見る人もほとんどいないだろうと思っていました。

しかし、「応力拡大係数」をGoogleで検索すると、2番目に現れて、このブログの記事の中では黄金比の記事に続いて訪れてくれる方も多いようです。

ほとんど自分のメモのようなソフトウエアですので、何の解説も注釈もつけていませんでした。「注釈を入れておいたほうが良いかもしれない」とのアドバイスもいただきましたので、少し書きます。

1.これでなにが分かるのか

応力拡大係数というのが、き裂先端近傍の応力場(応力の分布の激しさ)を表しているのだということです。部材にき裂があると強度は低下する、ということは多くを説明しなくても直感的に理解できることでしょう。では、どの程度になるのかというと、応力だけでなくてき裂の長さが関係しそうだ、ということも容易に想像できます。

Sfi3 き裂の存在を無視して求めらられる応力とき裂のサイズによって決まるき裂先端近傍の応力場を、イメージとして表示できるようにしてあります。この応力場の激しさ(これを係数として簡潔に表現したのが応力拡大係数)の程度によって、破壊するかしないかが分かるということです。

Sif2 左の図で、赤い曲線は応力拡大係数の限界値です。この線を越えると、き裂が急速に進展して破壊に至るということです。画面の上方に、応力場をカラースケールで図示しています。あたかも線香花火の火の激しさのようです。この線上では、き裂のサイズも応力も異なりますが、応力場の激しさは同じになります。

なんだそれだけのことかと感じた方、そうですごめんなさいそれだけです。このことをクリヤーにしたかったのです。

Sfi4この応力場の表示は厳密解とはずれがあリます。どこがずれるかというと、き裂の最先端とき裂から遠く離れたところ。左の図では、xがゼロに近いかaに比較して大きい範囲では大きくずれます。応力拡大係数が破壊靭性値になる前に壊れる場合も起きるのです。

  

                                     

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2006年12月15日 (金)

超音波探傷の先端

卒業生が訪ねてくると、いろいろな情報を教えてもらえます。昨日も、非破壊検査機器メーカー(GEインスペクションテクノロジー)に勤める卒業生がやってきました。

ここ数ヶ月でもドイツ・米国と忙しく飛び回っているようです。フェイズドアレイの超音波探傷器の新製品を持ってきて見せてくれました。

フェイズドアレイというのは、超音波を発信する振動子を小さく分けて、それぞれ振動させるタイミングを細かく変えることで位相制御して、超音波の伝搬の仕方を目的に応じて変えていく新しい技術です。

Pa1 これまで装置1台が数千万円していたのですが、今度の新製品は数百万円のオーダーになるそうです。

現状の超音波探傷のひとつの難点は、表示の分かりにくさです。横軸が時間=距離を表し、縦軸が音圧を表す基本表示(Aスコープ)を理解するにははある程度勉強が必要です。

駆け出しのころ、超音波探傷をやっているところを1時間見ていましたが、なにをやっているのかさっぱりわからなかった思い出があります。

Pa3フェイズドアレイを使った探傷器の一つの機能は断面表示させることです。 まだ、素人が見てすぐに分かる断面表示にはなっていません。超音波の伝搬・反射・回折などの知識があると、なるほどと面白い発見がいくつかありました。

この探傷器にも基本表示が横に出るようになっていました。ここ相当の間、これをなくすわけにはいかないでしょう。

コンピュータ技術の発達に伴って、非破壊検査技術も変化していくようです。

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2006年12月 8日 (金)

人間の眼 視野と立体視

私たちは、普通に目の前に見えるものについて色やかたちが分かるだけでなく、およその距離も分かります。

3d2 左右の眼に映る少しずれた像を脳で判断しているらしいことは、撮影位置を少しずらした写真を眺めていくと立体にみえてくることから確かめることができます。

3d

この立体視は、地球の温暖化とそれに伴う猿の生活パターンの変化によって、進化したもの、とのことです。

「5300万年前「樹冠」が登場したことで、地上に降りずとも、枝から枝へと飛び移り移動することが出来るようになったのです」(Biological Journalより)

飛び移るという行動をとるには、先方までの距離の見積もりが必要になることは、容易に想像できます。なるぼど、ねずみに近い原猿からの進化のによる眼の位置の変遷を見せられると、納得がゆきます。

立体視をするには眼は両方とも同じ前方に向かっていなければなりません。2つの眼がサイドについていれば、広い視野を持つことができ、敵の接近に気づきやすくなります。視野の広さを犠牲にしても、わが祖先は立体視を獲得したのでしょうか。

そんなことを考えていると、回すことのできる首も立体視の獲得とともに必要になったことかもしれない、などと想像が膨らみます。

眼が2つあっても、立体視をしていないということなのですね。ただ、距離はピントを合わせる事でも認識はできます。生物の世界も面白いですね。

Cimg0463 そういえば、新千歳空港の到着ロビーにある水槽で見た巨大魚「ナリスタ(Epinephelus tukula)」のとぼけた眼玉、左右別々に動いていました。私が動いたら、片一方の眼だけが動きに追随しました。立体視はしていないでしょう。視野の広さを優先しているようです。

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2006年12月 2日 (土)

紫外線でニセ札鑑定

Cimg0403 明かりを落として1万円札を紫外線照射灯で照らすと、印鑑の部分が黄色に光ります。また、福沢諭吉さんの右背後ほか数箇所が光ります。もしそうならなければ、偽札です。

インクに蛍光物質が入っています。

Spec 人間の眼に見える可視光線は、波長が400~800nmの範囲にある電磁波です。400nmより少し波長の短い電磁波は、紫外線と呼ばれて、人間の眼には見えません。

蛍光物質は、紫外線を受けると波長を長くして可視光線の範囲に変えて反射します。暗い環境では、そこだけが怪しく光ることになります。

例えば、お札をスキャナーで画像として取り込んで精巧に印刷したとしても、紫外線照射灯(ブラックライト)ひとつでニセモノであることを見破れます。

お札の印刷技術は、偽札を作ろうとする「技術」に常に先行していなければならない運命にあります。

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2006年11月25日 (土)

「水は答えを知っている」科学?神秘?

わが居住地域も、昨晩今年初めての積雪になりました。やっと冬将軍の到来です。11月に入っても生ぬるい日が続いて、正直気色が悪かったのです。(先週の科学の祭典は好天でよかったのですが・・・)

もう少し寒くなると、風のない夜にしんしんと雪が降り積もるときがあります。夜遅く帰宅すると、我が家の小さな庭が家からもれ出るわずかな光に反射する雪の結晶で、きらきらと輝いているときがあります。おもわず30分近く見とれることがあります。積もってすぐにかたちを崩し始める儚さとその美しさに、その場をはなれ難い気持ちになるのです。私は、雪の結晶のファンです。

江本勝氏の「水からの伝言」が、ニセ科学ひとつの代表例としていくつかのサイトで取り上げられています。

Mizu 私は、江本氏の著作「水は答えを知っている」を持っています。本屋で手に取ったときに綺麗な結晶の写真が豊富に掲載されていましたので、迷わず購入しました。家に帰って読んでみると、これはトンデモ本だと分かりました。

「ありがとう」とかの言葉では美しい結晶になり「ばかややろう」とかの汚い言葉では醜い結晶になる、という主張が多くの写真と対にされて延々と繰り返されています。

少しでも実験をしたことのある人ならすぐに気がつくことですが、いっぺんにこれほどの成功事例あるはずがないということです。これを事実というのならば、事例とともに再現性についての記述があるべきです。仮説どうりになるときの条件と、仮説どうりにならない場合の条件が示されなければなりません。江本さんの本では、それなしに、「世界が注目・・・」と「××博士」が登場してきます。これは、根拠のないことを信じさせるときの常套手段。私は、例証と「外国でも・・・」と「権威ある博士によると・・」の組み合わせが出てくると、いったんその主張は私の頭の中の「インチキ」フォルダーに格納することにしています。

江本さんの説には、色々な反論がありますが、私は小田隆さんのこの反論が核心をついていると思います。

「美しい音楽を聞かせると、美しい結晶ができるという主張もあるようですが、日常的に極めて汚い言葉を使っていたモーツアルトの音楽での効果は、いかほどのものなのでしょうか」

シェークスピアの戯曲の上に載せると、どんな結晶ができるのかも知りたいところです。

「水からの伝言」に対する科学者としての反論としては、田崎さんという方のこちらのページが正当なものだと思います。

ただ私は、世の中で科学的事実が認識過程を捨象して、体系として結論だけが教えられていることにも科学者は眼を向けてほしいと思います。極端になると例示だけで説明を済ませていることもあるでしょう。

例えば水の電気分解。「マイナス側にたまった気体に火をつけると“ポッ”という音がする。水素であることが分かりました」という説明に、「どうして“ポッ”という音がすると水素だといえるのですか」という疑問に教師は答えてくれない。場合によっては、授業妨害者として排除されるのです。本当に水の電気分解ができるのかと自分でやってみると、できない。調べてみると学校でやった実験は、水酸化ナトリウム水溶液の電気分解であったことを知り、やる気をなくす少年もいるのです(誰のことでしょう?)。「水は電気分解される」という科学的事実を、しかしあの程度の実験で信じた人には、江本さんの「実験」も説得力を持つだろうと私は考えますが、いかがでしょう。

人はどこかで「神秘」を信じたい。そこに「美」と絡めて「科学」の装いをして色々なものが登場しています。「自然の中の黄金比=神秘」説もそのひとつでしょう。

科学的な装いを凝らした神秘を語らなければならないような「数学」も「道徳」も「美術」も、もうそれ自身が腐っていると私は思います。

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2006年11月21日 (火)

ブリッジコンテスト in 科学の祭典

「青少年のための科学の祭典 千歳大会」の中で、つまようじブリッジコンテストの決勝戦を行いました。

Cimg0297 左の写真は、お客さんが入る前です。全体を見ることができます。千歳市民文化センターの視聴覚室を使わせてもらいました。当初はロビーに設けられた特設ステージで行う予定でしたが、下の階でピアノの発表会をやっているということで「大きな音が出ますか?」と聞かれて「静かにやります」とはいえませんでしたε-(´。`)。

Cimg0321 午前中は、小中学生を対象に「つまようじブリッジ」の作り方教室を開催しました。(この件は、明日詳しく書きます)

Cimg0325 コンテストの開始直前です。私は、これ以降写真を撮っていません。気がついたらこの1枚だけρ(・・、)。

昨年に続いて、こちらのサイトに助けられています。

NHKのテレビクルーが入って、カメラをセットしています。「ほくほくテレビ」の永井キャスターも来ていました。ディレクターの大海さんは工学部出身のものづくり大好き、という方。話が合いました。

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2006年11月15日 (水)

第1回 科学の祭典 千歳大会

11月19日(日)に「第1回 青少年のための科学の祭典 千歳大会」が千歳市民文化センターで開催されます。私も実行委員としてお手伝いをしてきました。実行委員会では、皆初めてのことで、すべて手探りでした。さて19日の本番、うまくいくのでしょうか。

千歳科学技術大学などが行う「光で音を送る」「夕焼けはなぜ赤い」などのミニ実験が約30種類。千歳化石の会のアンモナイトのクリーニング体験には、90個の本物のアンモナイトが用意されているそうです(私もやって見たい ついでに対数螺旋を調べたり・・・)。「日本野鳥の会」や「さけのふるさと館」も出展して、物理・化学以外の分野があるのも特色のひとつです。

ステージ展示としては、JALとANAによる「航空教室」が開かれます。千歳は、空の街でもあるところから、航空会社が協力してくれました。岸田典大さんの絵本パフォーマンスもあります。

そして私のところの「つまようじブリッジコンテスト」 決勝戦。予選を通過した14組の決着をつけます。昨年の記録250キロを越えることができるでしょうか。高校生部門を今回新たに設けて、4組8名が作品の強度を競います。14時から、どなたも無料で見学できます。

会場では、小中学生用の「ミニつまようじブリッジ」のレギュレーションを発表し、制作体験コーナーをブースとして設置します。そこには「つまようじブリッジコンテスト」過去9年間の優秀作品も展示します。

Cimg0279 過去小学生が作った「ミニつまようじブリッジ」の作品を展示します。これまで「つまようじブリッジ」の報道などに触発されて夏休みの工作などで作ったという作品です。右の作品はそのひとつで、現在は中学生のTAKUYA君の作です。よくでできてますね。

Cimg0276 ゴジラもTAKUYA君が作りました。つまようじブリッジには、小さな要素を積み重ねるため、作る形に自由度がある、という特長があります。それを延長すると、「つまようじ工作」といった分野もありえそうです。出来合いのキットやプラモデルではなく、自分の頭で構想したものを創りあげていく、つまようじという日常のものが変身していく楽しさがあります。

小中学生でボクも私も作ったよ、という人がいましたらぜひ持ってきてください。

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2006年10月22日 (日)

Egg dropをTV番組で

TVチャンピオンという番組から企画の相談を受けています。

つまようじブリッジコンテストをヒントにして、身近な材料で力に耐える構造について、楽しみながら競う番組ができないか、ということです。

その中で、つまようじエッグドロップという競技ができないか検討をしています。

エッグドロップは、中に卵を入れて高所から落として卵が割れないような保護容器を工夫して作る競技です。紙で保護容器を作るのが多いようです。

その場合、要点は2つ。

1.空気抵抗を多くして、落下スピードを抑えること。

2.地面に衝突したときに、容器の変形もしくは破壊によってエネルギを吸収して、卵に衝撃力が伝わらないようにすること。

私も、かつて紙で経験しました。紙ですと、1の対策が有効でした。パラシュート型や、回転翼をつけてオートローテーションによって揚力を発生させたり、という工夫が見られました。

これをつまようじでやろうとすると、1の対策はほとんど無理でしょう。2の対策のアイデア勝負になります。米国で実施例がありました。

TVチャンピオン制作会社の女性担当者は、熱心でこまめにやり取りをしながら彼女自身良く勉強をしています。しかし、上層部の説得に苦労をしているようです。ゴールデンタイムの番組にするには、考慮しなければならないことも多くあるのでしょう。それにしても、力学に関する競技の面白さを伝えるのは難しいのだなぁ、と改めて感じています。まぁ、粘り強くやってみましょう。

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2006年10月20日 (金)

JAXA(5) 超音速エンジン試験施設

高度15000m、最高速度マッハ2の超音速でエンジンの性能を試験する施設です。

Jaxa13 超高音速実験機に搭載するエンジンの試験をするための施設だそうです。

ここまでできる試験設備は、ここと日本では北海道の千歳にあります、との説明を聞いて学生はびっくりしていました。

Jaxa14 そういえばこの学年には、言ってなかったかも知れなかったな、と反省。エンジンの開発にかかわっている卒業生が良く来ているのだけれどなぁ。

カプセルの中で、高高度・超音速環境を作るのだそうです。エンジンの性能はつまるところ推力(スラスト)で示されます。このスラストはエンジン架台についているロードセルで測定されますが、ロードセルの中にはコイルバネが入っているとのことでした。

Jaxa15 コントロールルームです。現場の様子を写すモニターと、各種データが表示され処理されます。

私が面白いと思ったのは、モニターの表示がアナログ計器風に作られていたことでした。

Jaxa16データはデジタルで伝えられてくるでしょうから、数値で表示するほうが手間がかからないはずです。研究者の単なる趣味なのか、あるいはデータ判断に関する人間工学的な配慮なのかは、聞きそびれました。

私は、超音波探傷器をパソコン上に作るときに、デジタルデータをアナログ的に見せるのに苦労した思い出があります。また、航法計器ですが、こんなのも作りました。苦労はしたけれど、楽しかったですね。

ココログが48時間のメンテナンスで、記事の更新ができないということでした。ずいぶん長いな、と思っていました。メンテナンスが終わったはずなのに、またさらに1日記事の更新ができない期間がありました。niftyさん、う~ん、どうしたの?

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2006年10月15日 (日)

航空機用新素材と航空機事故

 昨日JAXA「複合材技術開発センター」の訪問記を書いたときにAmerican Airlines Flight 587の事故について触れました。

Aa587  2001年11月、事故が起きた当初は、9.11テロの直後で場所もニューヨーク、JFK空港を飛び立ってすぐの住宅街に墜落したことから、テロが疑われました。テロの可能性がないことが分かった後は、エンジンの故障か脱落が原因として疑われました。エンジンはガソリンスタンドに落ちていました。しかし、調査が進むと、炭素複合材(CFRP)の垂直尾翼が破壊したことに起因した墜落であることが分かってきました。新素材が絡んだ初めての大きな航空機事故でした。

Aa587  今回、リンクを貼ってからサイトを良く見ると、2004年にNTSBの事故報告書が出ていることが分かりました。

斜め読みをしただけですが、事故原因は、疲労割れではなく、過荷重による垂直尾翼の破壊だったとのことです。乱気流に巻き込まれた際にクルーがラダーの操作を誤り、垂直尾翼に設計時想定外の過荷重がかかり、破壊したとのことです。JALのジャンボ機通過後の乱気流だったようです。

垂直尾翼が吹っ飛んだという点では、1985年のJAL123便の事故、1989年のUA232便の事故と共通しています。この事故では離陸直後で高度が低かったので、あっという間に墜落しています。

Aa587fg このような新たな事故に関しては、米国では航空当局自身が調査の経過・報告書などを、その間の議論を含めてWEB上に公開しています。

 直接の事故原因でないとしても、破面解析の結果非破壊検査の結果などを図や写真を含めて公開しています。こんなアニメーションまで公開しています。Aa587ut

 超音波探傷の結果です。破壊箇所の周辺に層間剥離があったようです。

事故を「恥」と考えて隠そうとするか、「次の事故をなくすための新たな知見を得るチャンス」と考えるか、大きな違いがあるように思えます。

 写真はNTSB(National Transportation Safety Board)のサイトに掲載されていたものです。

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2006年10月14日 (土)

JAXA(4) 航空機用新素材研究

JAXAの「複合材技術開発センター」に行ってきました。先ほどNHK教育の番組「サイエンスZERO」を見ていたら、眞鍋かをりが訪問してレポートしていましたね。

炭素繊維複合材(CFRP)が航空機材料として多く使われるようになってきています。次世代旅客機であるボーイング787ではほとんどCFRPです。

Jaxa8ここのセンターでは、様々な研究を行っているようですが、メインは、CFRPの強度に関するデータベースを作ることだそうです。

Jaxa10 引張り試験をしているところです。CFRPは温度や湿度によって強度が大きく変化します。この試験機では、後方にあるボックスが出てくることで、温度は-70~+150℃、湿度は30~95%、の範囲で環境を変化させて試験ができます。

破断した試験片です。試験片は長方形の板状で、チャックではさむところには、紙やすりで巻くようにしてありました。金属の引張り試験のように断面積の小さい部分を作らないのですね。

Jaxa12 複合材ですから、繊維方向をどのように組み合わせるかによって当然壊れ方も違ってくるでしょうが、この写真では、最大せん断応力の面で壊れていますね。この写真だけで1時間の授業ができそうです。

Jaxa11 CFRPで作った翼構造のモデルです。

軽くて丈夫、成型も難しくない、良いことだらけにみえるCFRPもこれから多用されていくことによって、思わぬことが原因で壊れることがあるかもしれません。あまり知られていませんが、9.11テロの2ヵ月後、ニューヨークの住宅街に墜落したAmerican Airlines Flight 587 の事故は、史上はじめて複合材の破壊が起点となった旅客機事故でした。事故原因の解明もその後の対策も、もちろん設計でも、信頼できる材料のデータベースが不可欠です。

他の見学場所に比べて、どう見ても地味でしたが、ここが一番興味深かったという学生もいて、それがなんだか嬉しかったですね。

私としては、CFRPの非破壊検査は超音波がメインになってきますから、その研究も行われていると聞いていたので、それが見れなかったのが残念でした。

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2006年10月12日 (木)

JAXA(3) 研究開発用飛行シミュレータ

パイロットの訓練に飛行シミュレータを使うのはいまや必須です。エンジンが火災を起こし停止してしまった、油圧系統・電気系統が切断されてコントロールが効かなくなった、といった状況を実機で飛行中に起こして訓練するのは、大変な危険を伴います。各航空会社は、保有している機種ごとのシミュレータを持っています。

Jaxa6 与えられた条件の下でクルーがとった処置がコンピュータで計算されて次々と結果を示して行き、瞬時の適切な判断と行動が取れるように訓練されます。

このときに、体感を伴うことによって、よりリアルな訓練ができます。したがってシミュレータのコックピットは、アクチュエータによって傾けられたり振動を加えられたりします。

Jaxa7 今回、シミュレータのコックピットの中に入れていただき、羽田空港を飛び立って東京湾を飛行する体験をさせてもらいました。

Jaxa5 滑走路でスラストレバーを引くと、グーンという加速感がありました。立っていた学生は「おう!」と思わずのけぞる。説明によると、このとき前を上げてう後ろを下げるように傾けているのだそうです。中に入っているとそのように傾いているとは感じられない。水平方向の加速感です。視覚による錯覚なのだそうです。

Cimg0110 そのことをさらにはっきり分かったのは、ヘリコプターのシミュレータ。こちらはコックピットを動かすアクチュエータはありません。その代わり、全視界を覆うスクリーンがあるだけです。これで新宿の高層ビルの間を抜けて、東京都庁の屋上に着陸する体験をさせてもらいました。すごい迫力。終わったときはほとんど船酔い状態。人間の錯覚を利用した体感の実現も研究課題のひとつだということです。

1985年にJAL123便が御巣鷹山に墜落して420名の方が亡くなりました。このときジャンボ機は油圧系統が切断されて、コントロールが効かない状態でした。

この事故の4年後、1989年に米国オハイオ州でDC10が垂直尾翼にあったエンジンのファンディスクが破壊して吹っ飛び、やはり油圧系統が切断されてコントロール不能になるという事故がありました。(概要はこちら、同じサイトですがこのまとめはデタラメ、英文FAA事故報告書)このときは、近くの空港に着陸することができました。着陸後横転して火災になり犠牲者が出たものの、半数以上の乗客が助かりました。

JAL123便の事故の教訓が生かされて、パイロットが訓練されていた結果でした。ほとんどの人が生涯遭遇することがないであろう状況に備えて、パイロットたちは訓練されています。また、その訓練がより実効性があるように研究している人たちもいるのですね。

ちなみに、JALのシミュレータ部門には教え子がいます。私にSHADEの面白さを教えてくれたM君です。

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2006年10月 9日 (月)

JAXA(2) 極超音速風洞

音速を1としたときの比速度をマッハ数といいますが、JAXA航空宇宙技術研究センターにはマッハ数が5、7、9、10を出せる極超音速風洞があります。

Wtt1 常温ですと空気中の音速は秒速340mですからマッハ10というと3400m/sになります。時速に直すと約12000km/hになります。

Cimg0084このような高速の空気流をどのように作り出しているかというと、風船を膨らませて(空気を圧縮しておいて)口を開放すると空気流ができますが、その方法と原理的には同じでした。

Cimg0080まずは空気を圧縮しておきます。ただその圧力は20MPaといいますから、通常の大気圧のおよそ200倍、200気圧というとんでもない高圧にしています。他方球形の真空槽を設けておいて、それに向けて一気に空気を流します。

面白いと思ったのは、マッハ10を作るノズルの上流側に空気の加熱器があることです。ノズルでは断熱膨張が起きますが、このとき温度が低くなりすぎて空気が液体化するのを防ぐために、あらかじめ加熱しておくのだそうです。あらかじめ加熱しないと一部空気が液化した霙のような流れができるということですね。この加熱温度が絶対温度で1500K(ケルビン)、摂氏に直すと約1230℃です。この1230℃というのは陶器を焼くときの最高温度の目安です。

外部から熱を加えずに気体の体積を膨張(断熱膨張)させると温度が下がります。この原理は身近なところでは冷蔵庫やエアコンに使われています。

Cimg0083風洞の中に飛行体の模型を入れて、圧力や温度を計測します。衝撃波の様子はシュリーレン法で、温度上昇は赤外線カメラで観察しています。

マッハ10の風洞で、通風時間は1回60秒とのことです。

Cimg0076 写真の飛行体はスペースシャトルのような形をしていました。スペースシャトルが大気圏に再突入するときに、機体が高温にさらされますが、高温になる原因は空気摩擦というより高速になることによる空気圧力の上昇による熱なのだそうです。

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2006年10月 7日 (土)

JAXA(1) 航空宇宙技術研究センター

調布にある宇宙航空研究機構(JAXA)の航空宇宙技術研究センターへ行ってきました。

予定の時間より少し早く着きましたので、許可を得て展示場を見学をしていました。ほどなく、寺田博之博士が出てこられて、挨拶もそこそこに学生たちを集めて、説明をし始めました。

Jaxa1 寺田博士は、小型超音速実験機のまえで、この研究の目的、実験機の性能などを説明した後、2002年オーストラリアで実施した実験の失敗に触れて次のように語っていました。

「緻密な検討、周到な準備をしてたのだけれど、にもかかわらず、思いもよらないところで配線が数ヘルツの低周波で共振してショートをして失敗してしまった。ないほうが良いに決まっているけれど、このようなこともありうるのだということを知っておいてほしい。」

航空機構造の研究者として航空機事故の防止のために40年余り一線で研究をされてきた方が、これからを担うであろう若者に静かにしかし熱く語りかけておられました。学生たちも、いつになく真剣な表情で聞いていました。カメラを向けてこの光景、美しいと思いました。

寺田さんは、現役時代に世界の航空機事故に関するデータベースをまとめる仕事をしています。それをベースにしているのでしょう、現在「失敗知識データベース」で、航空機に関する部分のほとんどの執筆者です。余談ですが、「失敗知識データベース」の中にある航空機に関する記述で寺田さん以外の方が書いているものには、いい加減なものが多くあり注意が必要です。中には、失敗学の失敗といっても良いほどひどいものもあります。

寺田さんの著作について

寺田さんからは、「この施設でエンジニアの卵が見て学ぶには時間が短すぎる。」とお叱りを受けていました。実際に行ってみて、実感しました。すごいボリュームです。

学生たちは、それぞれに感動をしていました。実は私自身も、大変面白く、いくつか眼からうろこ、というところがありました。

これから何回か連載で見学記を書きます。施設の紹介ではなくて、私の勝手な観点から面白いと思ったことに絞って書きます。予定は、次の4項目。

*極超音速風洞

*超音速エンジン試験

*研究開発用飛行シミュレータ

*複合材技術開発

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2006年10月 1日 (日)

純国産ジェット旅客機

 昨日純国産ジェット旅客機開発の計画があると書きましたが、それを紹介したHPです。

A00a 国産小型旅客機技術の研究

(環境適応型高性能小型航空機のイメージ図:JAXAのHPより)

三菱重工が機体を石川島播磨重工がエンジンを作る計画のようです。それぞれの得意分野というところでしょう。

JAXAや物質・材料研究機構(旧金材研)も参画するようです。船頭多くして船山に登る、とならないよう、ぜひ成功させてほしいものです。

来週JAXAの航空宇宙技術研究センターを訪問します。計画の一端を見ることができるでしょうか?

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2006年9月20日 (水)

パルテノンと黄金比

パルテノン神殿の話題、黄金比から柱のジョイントに日本製のチタンを使ったを経てアルキメデスのクレーンまで、漂流してきました。私としては、ひとつひとつの話題もさることながら、ブログの面白さを知りました。

北川成人さんのHPを読んで、それについて書いたら、御本人からコメントをいただいてびっくりしました。秋山仁氏や夢枕獏氏等についてもHPに書いていますが、もしかしたら御本人が読んでくれているのかもしれません。私は、批判的に取り上げている方も実名を挙るのは、たいていの場合どこかですごいなと思っている方です。

また、271828 さんが入ってきて、3人でこのブログを通じて見解を交換しました。3人とも団塊の世代、それぞれ生活基盤も考え方も持っている知識領域も違っているのに、「黄金比」という共通の関心事で盛り上がることができました。違っているからこそ、面白いのでしょう。違うのに同時代の空気を吸い、同じように人生を楽しもうとしている。ブログやWEBの世界以外では知り合えなかったと思います。

パルテノン神殿の話題は、とりあえず小休止として、また時間を置いて書いていこうと思います。

一応の締めくくりとして、北川成人さんから私信でいただいたパルテノン神殿と黄金比についてのコメントを、御本人の承諾をいただきましたので、掲載します。

***********************

黄金比は美と理系(数理)が結びついていて同時に二つが楽しめる。そこに黄金比の人気があるのでしょう。

パルテノンは神の像を安置する建物であり、儀式も外で行われ、人が入ることのない建造物です。外からどう見えるか(美しく感じるか)、それを考えて設計されています。

一種の彫刻なのです。美しく見せたい、それがギリシャ人の願いです。
そのため基壇は中央でふくらみ、柱はわずかなふくらみを持ったエンタシスであり、両端の柱はわずかに内側に傾けててあります。“微調整”させているのです。

いかに美しく見えるかに使った寸法は黄金比ではないということだけは強調しておきたいと思います。ギリシャ人が使ったのは柱のベースの直径(モルドゥス)です。その直径は人間の足の大きさからかんがえられています。その何倍を柱の高さにする等で全体の寸法が出ています。部分と全体の調和、比例それを求めていました。

http://trucsmaths.free.fr/nombre_d_or.htm
フランス語の黄金比のページです。途中に人間の腕が出てきます。中世の聖堂を建てるときに使ったものさし=人間尺(指、掌、二の腕等)が出ています。あくまで人間のからだを基本に寸法を採っています。それが西洋の建築です。ギリシャのオーダー(柱)を勉強するのが建築であり、それはついこの間まで(19世紀末)行われていたのです。黄金比は出てきません。
ギリシャ語でキリストはIHCOVCと綴る。これを数字であらわすと888、それで88ピェ8プス(28.5m)が標準的なヴォールトの高さとなりました。

こんなふうに建築では人間尺度が基本なのです。そこに黄金比が入り込んでくるのは19世紀後半からです。
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2006年9月18日 (月)

アルキメデスとクレーン

ティモシェンコの「History of Strength of Materials(材料力学史)」を読み直してみたら、最初のページにこんな記述がありました。

 Archimedes(287-212 B.C.) gave a rigorous proof of the conditions of equilibrium of a lever and outlined methods of determining centers of gravity bodies. He used his theory in the construction  of various hoisting devices. The methods used by the Greeks in transportung the column and architraves of the temple of Diana of Ephesus.

アルキメデスは梃子の原理を証明し重心を決める方法の概略を示した。彼は、その理論を使って様々な吊り上げ装置を作った。その手法をギリシャ人は、エフェソスのディアナ神殿の柱と台輪を運ぶことに使った。

"Archimedes crane"で検索してみたら、こんな面白いページを見つけました。アニメーションでよく分かります。ここにも。クレーンではありますが、船で攻めてくる敵を港で転覆させるための武器だったのですね。戦争のとき以外は荷揚げ装置として機能したのでしょう。

アルキメデスは、パルテノン神殿建設以後の人ですね。パルテノン神殿で使われたとするクレーンと比べると、先のページのクレーンは、てこの原理が意識的に適用(計算書)されていることが分かります。

パルテノン神殿では、すでにクレーンが使われていたとするならば、アルキメデスの発見とされる梃子(てこ)の原理や物質の重心というあたりは、建設現場での失敗や工夫の中で醸成されていた、と想像できないでしょうか。

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2006年9月17日 (日)

古代ギリシャのクレーン

パルテノン神殿の組み立てにはクレーンが使われていたことを、271828さんに教えていただきました。こちらに絵があります。ブームを伸展する機構は無いようですが、そのほかは現代の移動式クレーンとほとんど変わらないでしょう。この絵は、柱の上の作業であって、柱の部品のドラムをどのように吊っているのかは分かりません。

Drum_1 こちらには、ドラムを吊っている模型の写真があります。1/10スケールのモデルとのことです。ドラムに4つの突起がついています。ロープをかけるためにあるようです。3DCGで絵を描いてみました。この模型の写真では、2箇所にロープをかけていますが、これは常識的にありえません。回転して荷を落としてしまう危険があります。また、このような4つの突起にロープをかけるのは、靭性の低い材料(小さな割れでパリンと壊れる)である石には向かないと思います。

古代ギリシャは海洋技術が発達していると、北川さんと271828に教えていただきました。クレーンや玉掛けの技術も船舶から発達したのだろうとも。船舶に搭載されたクレーンがあったはずです。こちらに絵がありました。こちらには、模型の写真がありました。注目は、石に刻まれたUの字の溝です。靭性の低い材料にロープを架けて吊るとしたら、これなら大丈夫そう、合理的に見えます。こちらのページの中ほどにある瓦礫の写真の中に、Uの字の溝がある石が見えます。

こちらの模型の写真を見てください。ドラムを一点で吊っています。これは、中央の穴を使っているのでしょう。このモデルは、引き揚げる力の発生の仕方が誤りであると考えられている、と書いてあります。ドラムの吊り方はどうなのでしょうか。同じサイトにはクランプの写真もあります。

271828さんからメールをいただきました。ランデルズの『古代のエンジニアリング』にあるイラストを紹介していただきました。そこには、ドラムを車輪にして運搬している様子が描かれていました。Unpan_imageちょうどグラウンドを均すローラーのような感じです。ドラムをこのように運搬したとしたら、吊るときに4つの突起があるのはおかしいということになります。また、ドラム中央に開いている穴は、組み立てるときに上下のドラムの芯を合わせたりつないだりするためにだけの役割ではなさそうです。

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2006年9月15日 (金)

パルテノン神殿 柱のドラムを回転?

なにげなくはじめたブログですけれど、楽しいですね。つぶやきに等しいひと言から、どんどん広がっていきます。

パルテノン神殿の柱を構成するドラムと呼ばれている円柱、この中央部にある面が粗いところが、何のためなのか気になっていました。

これまでの議論から推理してみます。断るまでもありませんが、素人の勝手な推測です。

Empolia2 ドラムを上に載せてから回したようです。回すためには、接触面積は小さいほうが有利です。真ん中付近に少し出っ張りをつけておけば、小さな力で回すことが可能になります。

しかし、それではドラムとドラムとの間に隙間が残り、不安定になります。

そこで、接触する中央付近の面を穿ってでこぼこにしておいて、回すことで互いにヤスリになり削られていくようにすれば、隙間が少なくなっていきます。

中央の面の粗さは、その結果として残ったものではないかと考えました。

poleとempoliaは、少しずつ下がってくる上のドラムに押されて、程よく食い込んでいったのではないか、そう想像しています。強度もヤング率も大きなチタンでは、食い込む量は1/100mmのオーダーになります。木材の方がよさそうです。

私の推測が当たっていれば、解体されたドラムの中央の表面が粗い部分は、他の面とほとんど面一になっていて、手を滑らせてもほとんど抵抗がないはずです。

あー、ほんとだろうか。確かめてみたい。10日の休暇と50万円があればなぁ・・・・。あるわけないか。

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2006年9月14日 (木)

パルテノン神殿 柱の組立

パルテノン神殿の柱をつなぐ部品に、日本製チタンを使ったのはどうも失敗だったらしいことがわかってきました。

皮肉なことに、チタン合金が強いことが仇になったようです。せん断の力(はさみで切るような力:柱のドラムがずれるときに接合部に生じる)で、木とチタン合金ではその強度に大きな開きがあります。木の種類もチタン合金の材質もわかりませんから、大雑把な計算にならざるを得ませんが、おおよそ40倍違います。パルテノン宮殿では、ポールの部分の直径は55mmだそうです。木では2.5トンの力で壊れますがチタンでは100トンにならないと壊れません。2.5トンでは、8トンもあるドラムが横にずれ始めたらひとたまりも無いでしょう。

しかし、この横にずれることに抵抗してしまうと、柱を傾けるほうの力(曲げモーメント)が生じ始めるのです。そして、傾ける力の方が、柱にとっては致命的になる。

Empolia では、ドラム中央につけられた3つのパーツ(empoliaとpole)の目的はなんなのでしょう。

私は、この作業にクレーンが使われたというところに答えがあると思います。271828さんが教えてくれた、クレーンの絵。設置する位置を決めるには、本体の位置(横移動)とブームの倒す角度で決めなければなりません。ブームを倒したり起こしたりすると、高さ位置も変わりますから、ワイヤー(ロープのようですが)の長さを巻き取りによって調整しなければなりません。結構難しそうです。

現代でも、たとえばポンプをクレーンを使って設置するときには、ポンプの台座にあいているボルトホールの位置にあわせて、コンクリートの床にあらかじめアンカーボルトを打っておきます。床からボルトがニョキッと生えている感じです。クレーンオペレータに合図を送る人が、うまく誘導して、ボルトホールにアンカーボルトが入るようにして、設置します。手際よく正確に行うには熟練が要る作業です。

Setup1 それから想像すると、かのポールはアンカーボルトの役割を果たしていたのであろうと考えられます。ポールが角柱にあけられた穴に入るようにすれば、中心が決まる。芯出しというやつですね。

この3部品には、芯出しのツール以外に、回転させるための軸としての役割もあったようです。それと、中央の面が粗い部分について・・・・次回書きます。

公開している文献は見つかっていませんから、ここは素人の強みでどんどん想像を膨らませてみます。「おかしい」と思っている方、ブレーキをかけてください。

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2006年9月13日 (水)

クイズの解答 古代の知恵と先端金属

前項で出した、クイズの解答です。
271828さん、きたがわさん、ありがとうございました。
ちょうど丁半でそろいました。

Newimage1 それでは、左の絵をクリックしてください。簡単なアニメになっています。そうなのです、このようになります。
10回のうち9回が、Bの下から1段目と2段目の境から傾いて倒れました。1回は、Aの下から2段目と3段目の境が少しずつヨコにずれて落ちました。

Multi_drum_column6_image 少し説明をします。左の図を見てください。下の円柱に左から水平方向に力を加えます。上の円柱には慣性が働きますから、上下の円柱の境目には摩擦が生じます。この摩擦力がずれようとする動きに対して抵抗になります。クイズのAとBとでは、この抵抗の力に差がありました。このずれに対する抵抗の力によって、この円柱を回転させようとする力(図では水色の矢印)が生じます。

電車に乗っていて急ブレーキをかけられると前方に倒れますが、靴底が滑れば倒れません、なんてことをイメージすればわかりやすいかも。
材料力学や構造力学を学ぶと、最初のころにはりのせん断力図(SFD)と曲げモーメント図(BMD)が出てきます。この関係についてはあまりちゃんとした説明をしている教科書が少ないです。 dM=-Q.dx (M:曲げモーメント、Q:せん断力)という式を導いて終わり、というのが多いです。Qを積分するとMになるということですが、それはせん断力(ずれに対する抵抗)があることが、曲げモーメント(回転させる力)を生じさせる、ということを実際には意味しています。

このあたりをなるほどと思わせてくれたのが、市之瀬敏勝著「ホームページで学ぶ構造力学」です。(ソフトウエアを使って学ぶというのもいいですが、学生君と理屈っぽい女史・おとぼけ教授の掛け合いになっているダイアログが読ませます)

さて、パルテノン神殿のマルチドラム柱です。私は、ドラムをつなぐempoliaが、古代には木製で修復の際に金属(鋼→チタン)に変えられた、という話を聞いて、単純に丈夫になった、と思っていました。ずれに対する抵抗は、木とチタニウムでは大きく違います。また、表面の粗さについても、抵抗が大きくなるか否か、という観点から問題にしていました。

でも、どうも違うのです。empoliaにチタニウムを使うのは、地震に対しては改悪になっているということです。そのことは、北川成人さんが紹介してくれた論文“Earthquake analysis of  multidrum columns”に書いてありました。かの論文は、コンピュータを使って数値解析によるシミュレーションを行っています。私は、この論文を読んではっとしました。ずれに対する抵抗を大きくすることで、曲げモーメントを大きくしてしまっているではないか、ということです。これは、せん断力と曲げモーメントの考え方からすれば、当たり前のことかもしれないと思いました。

それで、かのミニ実験をしてみたのです。かくして、予想どおりでした。チタニウムを使っても、古代の知恵には勝てなかった、ということ。

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2006年9月11日 (月)

multidrum columnの構造力学

パルテノン神殿の柱の話題、どんどん膨らんでいます。昨日の記事を書き終えて、特に最後の結論、なんか違っていそうだな、と思い始めて、さっきちょっとしたミニ実験を行ってみました。

Multi_drum_column 直径50mm高さ80mmの鋼の円柱があります。これを3つタテに重ねます。旋盤で加工してあり、表面は滑らかです(これをAとします)。同じもので以前に作ったための表面に錆が出ているものがありました(これをBとします)。カメラを持っていなかったのでCGで図を作りました。(表面の感じは少し誇張気味ですが・・・)

Bの方が摩擦係数が若干大きそうだということを、手の感触で確認しました。机の上において、一番下を持って、20mm程度の振幅で水平方向に揺らし、次第に揺らすスピードを上げていきました。10回行ったところ、9回同じほうが先に崩れました。

さて、突然ですが、ここでクイズです。先に崩れたのはA・Bどちらでしょう。(どこからどのように)

私の推測と同じでした。勝手に盛り上がっていますが、これは面白い。

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2006年9月10日 (日)

パルテノン神殿のマルチドラム柱

マルチドラム柱(multidrum column)というようです。興味が尽きません。

ドラムの中心付近にあるあえて面を粗くしたエリアの目的はなんだろうか、疑問を書きました。

北川成人さんからメールをいただきました。次の論文を紹介していただきました.。

Earthquake analysis of  multidrum columns”(なぜかリンクがうまくいきません。Googleで論文タイトルで検索すると1番で出てきます。)

Parthenon_image1_1日本語で書いてあっても難しそうな論文ですが、注目は4ページ目の図です。真ん中の四角い穴に入れるパーツが詳しく図示されています。単純な四角柱ではなくて、3つのパーツで構成されています。

the drums of columns were connected with a wooden system that consisted of the pole and the two empolia.

そのままコピーして載せるとまずいかもしれないので、CGで描いてみました。

これは、軸と軸受(すべり軸受)に見えます。これでは、横にずれるせん弾力への抵抗にならないのは、明らかでしょう。

組んだあとか組み上げる過程で回す必要があったと考えられます。目的は何でしょう。

*横の溝の位置あわせ。(これは組み上げてから削ったということらしく、違うようです)

*ドラムの上底と下底の平行度を微調整するため

上底と下底の平行度の誤差が同じ方向に重なっていくと柱は垂直からずれていき傾くでしょう。

北川さんに紹介していただいたこちらのページにはこんな記述があります。

In many classical temple columns, wooden dowel-like components called empolia were used between adjacent column drums. The empolia were used at the center of a column to simply assist in aligning the column drums during erection; not to provide shear resistance.

せん断力への抵抗ではなくて、垂直に立てるための面あわせが目的だった、ということです。

先の地震論文の中から、

Figure 2 (bottom-right) shows the two wooden empolia that were installed flush with the interface of the adjacent drums together with the cylindrical pole that was made of harder wood.The dimensions of poles and empolia vary according to the scale of the column.

(中略)

The pole was usually fixed at the top drum which upon erection was rotated with respect to the bottom drum in an effort to achieve the best possible contact .The role of the wooden poles was primarily for rotating the drums . not to provide a shear link between them.

北川さんが訳してくれました。

図2は二つのエンポリアを示している。二つは、隣接するドラム(つまり上下のドラムです)の接する面(インターフェイス)を面一にする(flush with)ために取り付けられている。エンポリアよりもさらに丈夫な木でできたシリンダー状のポールが上下のドラムをひとつにする。ポールとエンポリアの直径は円柱の大きさにより変化する。

ポールは普通、上部のドラムに取り付けられていた。
円柱立ち上げのとき、一番よい接触を生むように注意深く下のドラムに向かって回転させた。木製ポールのまず第一の役割は二つのドラムを回転させることであって、両者間にせん断線を提供することではない。

なるほど、よく分かります。

そうすると中央部の面の粗いエリアは、次のように推測できます。

載せてから、ずれないようにするためには表面の粗い部分が必要だった。粗い面がかみ合って摩擦係数を大きくして、ズレがおきにくくする。しかし、その抵抗を大きくするために全面に渡って表面を粗くすると、面合わせのために回そうとすると抵抗が大きくて回せなかった、そこで中央部の限定されたエリアにした。

どうでしょう。

271828 さんが教えてくれたクレーンの絵と写真、コメント欄ではクリックではつながりませんので、ここに載せます。その後私が見つけたものも載せます。

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2006年9月 9日 (土)

パルテノン神殿 柱の継ぎ方

昨日チタン棒の使い方について、想像画を描いて、本当はどうなのか教えてくださいと呼びかけましたら271828さんから、コメントをいただきました。イリノイ大学のこのページを紹介していただきました。柱を構成する短い円柱の部品をDrumというようです。drumの真ん中に四角い穴が開いているのが分かります。ここに角柱の棒を刺したのだろうということは分かります。この穴深さはどのくらいなのだろう。貫通穴ということはないだろう・・・などと考えていました。

先ほど、Kさんからメールをいただきました。やはりイリノイ大学の別のページを紹介していただきました。drumの真ん中の穴が写った写真があります。私の想像図よりは、浅いようです。こちらのページも紹介していただきました。

ありがとうございました。想像図は大きくは違わないようです。私は、このページの写真を見て想像図を作りました。その後こんなページを見つけました。

Kさんによると、

「木のだぼを使いました。表面に砂を撒くとあります(安全対策)。ロープでつった上の段をゆっくりと降ろしてだぼに上の輪切り円柱を合わせる。砂をどけていく。ぴったり収まる。これの繰り返しです。円柱の溝は後で彫ります。」

とのことです。なるほど、円柱の溝を彫ってから組み立てると思っていましたから、溝のラインを合わせるためには、角柱を刺す穴の精度を相当高くなければならない、どういうやり方をしたのだろう、と思っていました。

ここでまた疑問が出てきました。参考写真を見ると、角柱を入れるダボ穴の周りに円状の表面をあえて粗くしたエリアがあります。これは何のためなのでしょう。Kさんが紹介してくれたページには、チタン棒を入れた後ソフトセメントを入れる、といった記述もあります。摩擦を大きくしてねじれに対する抵抗を大きくした?それとも、drum間にわずかなクリアランスを設けておいて振動を吸収した?

いやいや、ブログで勝手なことを書いていますが、面白い広がりです。

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2006年9月 8日 (金)

パルテノン神殿に日本製チタン

面白いコメントをいただきました。パルテノン神殿の補修工事に日本製のチタニウム合金が使われているそうです。271828さんからのコメントです。

「大理石の柱(のパーツ)は真ん中には四角い穴が空いていて、建設当初はここに鉛の角棒を入れて積み上げていました。20世紀初頭の補修では鉄の棒を使ったため錆が出て、現在進行中の工事では日本製のチタンの角棒が採用されたそうです。」

へー、なるほど。鋼を使えば酸化によって体積膨張が起きますから大理石ぐらい割ってしまうかもしれません。防食処置をしたから大丈夫という発想だったのでしょうか?

チタニウム合金といえばジェットエンジンのファンやコンプレッサーなどコールドセクションと呼ばれる部分に使われる材料です。日本では神戸製鋼が高い技術を持っています。

Parthenon どのように使われているのか知りたくて、WEBで探してみましたが、いまいちよくわかりません。長い棒で串刺しにするのは、クレーンも無い時代には難しいだろうと思います。ヨコにずれるせん断力を支えればよいのなら、チタンの棒をピンとして使うとして、こんな風かなと想像してCGで作って見ました。実際に見た方、いらっしゃいますか?

このブログのばらばらのテーマが結びつきそうな気配(笑)。

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2006年8月14日 (月)

Tensegrity構造

京都のO先生から教えてもらいました。引張材と圧縮材を組み合わせた構造で、引張材を連続体にして張力バランスを取り、圧縮材を不連続にしてひとつの構造体を構成します。

輪ゴムと木の棒を使ってテンセグリティを作る方法を紹介します。

Tensegrity_image0用意するもの。

木の棒6本 長さ10cmくらい、両端に5mm程度の切込みを入れておく。

輪ゴム6本

Tensegrity_image1 次の図のように配置します。XYZの軸方向にそれぞれ2本の平行棒を配置する感じです。

Tensegrity次に、(1)(2)(3)の順で輪ゴムをかけていきます。

輪ゴムのかけ方のバランスを少し変えると、全体の形がゆがんできます。

A1 ふわふわして面白い。こちらのページにはロッド12本のタイプや30本のタイプの写真が紹介されています。

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2006年8月12日 (土)

JAL123便御巣鷹山墜落事故から21年

ジャンボジェット旅客機が墜落して、520人が犠牲となった事故から今日で21年です。

21年前の夏、私は北海道石油共同備蓄基地のはじめてのタンク開放(T-8)工事が大失敗して、その後始末を文字どうり不眠不休で取り組んで、へとへとになってやっと終わったところでした。24時間の現場仕事のあと8時間休んでそれから36時間の連続作業・・・それが終わりではなく地獄の1丁目でした。そのときそれぞれの立場で力をつくした人たちには、変な友情のようなものが生まれました。その後、タンク開放工事の革新を成し遂げるエネルギーになりました。

非破壊検査にかかわってきましたから、JAL123便の事故とその原因については関心を持ってきました。事故調の報告書の不徹底さから、巷には原因に関する「諸説」が流されています。怪しい珍説もたくさんあります。

今年発刊された1冊の本を紹介します。

寺田博之著「わかりやすい構造破壊の防止技術-破壊力学の基礎から学ぶ」(養賢堂)です。筆者である寺田氏は、元航空宇宙技術研究所(NAL)業務部長で、航空機構造破壊の専門家です。ボーイングの修理ミスが実際に破壊事故につながるかを、世界で最初に計算で明らかにした方です。事故調の委員の中には、この計算をできる人はいなかったそうです。

この本の中を注意深く詠むと、数箇所に分散して123便の事故について記述されています。この事故の破壊力学による解析結果を、最前線の研究者が明らかにしている、という点だけでも本書を読む価値があります。

何の知識のない人にとって「わかりやすい」かどうかというと、そうではありません。ただ、破壊力学の現状を実際の現場で、ごまかすことなく明らかにしているという点で「わかりやすい」と思います。

寺田氏は、この本に関する私からの質問に実に丁寧に答えていただきました。破壊力学をどのように勉強していくか、方向は分かってきました。

ただ、現状の破壊力学がき裂のある部材を、現場の技術者が実際の構造部材を前にして評価していくというところまで成熟はしていない、ということも明らかになりました。123便でのき裂の進展とその破壊に関する計算が、材料は航空機材料としてはよく使われるものであり、荷重条件としてもそう複雑でもないにもかかわらず、寺田氏クラスの研究者にしかできないという点に、破壊力学の現在があると思います。寺田氏のこの本の執筆意図は、このような現状に穴を開けたい、というところにあるのだと思います。

失敗から学び、再び繰り返さない、地道な男たちの奮闘のひとつがここにあります。

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2006年8月 8日 (火)

超音波探傷入門

超音波探傷をはじめとした非破壊検査が本業です。

技術者教育を模索する中で、はじめて超音波探傷を学ぶ人のためにソフトウエアを作リました。(社)日本非破壊検査協会から「超音波探傷入門」というテキスト本とともに発売されています。

Book超音波探傷に必要な基礎知識を、CG・アニメーションを使って、クリックしながら双方向で学べるようにしています。

また、垂直探傷や斜角探傷をパソコン上のバーチャル探傷器を使って体験できるようになっています。

Ut51航空機の材料に複合材が使われるようになって超音波探傷の重要性が増しています。発電所などでも損傷許容設計の考え方を採用するようになって、ここでも超音波が活躍します。

検査技術者になる人だけでなく、構造の安全にかかわる人、関心がある人は、超音波探傷について概要を知っていてほしいと思います。

詳しくはこちらに

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2006年7月30日 (日)

しのびよる破壊 航空機エンジン(2)

NHKのこの番組は、IFSD率を取り上げないという意味で、エンジンの飛行中停止の問題を見る視点にゆがみが出ていると思うのです。

次の図は、米国の航空会社の例ですが、エンジンの飛行中停止率の推移を示したものです。縦軸は1000飛行時間につきIFSDがおきる回数を示しています。Ifsd_1

これを見ても分かるように、IFSD率は1960年代から右肩下がりで下がり続けており、25年間で1桁下がっていることが分かります。信頼性を示す指標で1桁下がるというのは大変なことなのです。

タービンブレードは高温の燃焼ガスにさらされて、さらに遠心力による引張りの力を受けますから、クリープ破壊の危険があります。

Turbinene20このタービンブレードをコンプレッサーで圧縮された空気の一部を使って冷却するという発想は、ジェットエンジン開発の初期からありました。

1945年に初飛行に成功した日本初のジェットエンジンであるネ-20でも、タービンブレードに冷却用にエアーを吹きかけていました。

現在のジェットエンジンのタービンブレードでは、ブレードの内部に冷却空気を入れて、さらにたくみにあけられた穴から出たエアーがブレード表面をフィルムのように覆つて、ブレードを高温から守っています。

Turbine1空気の流れを制御するために内部の構造は複雑になっています。

Turbineblade 最近のエンジンに使われているタービンブレードは、ニッケルをベースにした耐熱合金で、鋳造で作られます。クリープ割れは結晶の境目(結晶粒界)にできることから、単結晶(ブレード1個がひとつの結晶でできている)のブレードが開発されて使われています。金属はたいてい、小さな結晶の粒の集合でできています(発泡スチロールの粒々を細かくしたものをイメージすると近い)。金属を少しでも学んだものにとって、これだけ複雑なものが「単結晶」でできていること自体驚異的なことです。

航空機や航空機用エンジンの安全性は急速な進歩を遂げています。「完全な安全」はありえないのです。「便利」の背後には危険がつきものです。安全技術の現在がどうなっているのかを、ショッキングな映像を何度も見せた興奮の中で、突く相手を探すような視点で問題にするのは、間違っていると思います。

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2006年7月15日 (土)

しのびよる破壊 航空機エンジン(1)

NHKスペシャル テクノクライシス「しのびよる破壊 航空機エンジン」を見ました。

タービンブレードの破壊による飛行中エンジン停止(IFSD:In Flight Shut Down )に問題を絞って番組を作っており、多方面への取材をしていて、記録映像としてはまとまった貴重なものになっています。

でも、「テクノクライシス」というタイトルで、サーバー犯罪やロボットの軍事転用と同列で「しのびよる破壊」としてこの問題を取り上げるのは、明らかに違うと思うのです。「サーバー犯罪やロボットの軍事転用」には、「テクノクライシス」(技術の進歩によってもたらされる新たな危険→危機)という面があります。

この脈絡では、あたかも、航空機エンジンの進歩が、とんでもない破壊の方向に向かっているような筋立てになっています。

実際に戦後60年を振り返ると少年の犯罪件数は減少しているにもかかわらず、最近起きたショッキングな少年による犯罪の数例をとって(映像を何度も繰り返し流しながら)「最近の青少年の凶悪化」などと問題を立てる錯誤に似ています。

AirNHKは昨年8月12日(JAL123便事故の20周年の日)、たまたま福岡空港でJAL-ways機が離陸の際、IFSDを起こし緊急着陸をしたときの様子を撮影しており、その映像を何度も流しています。確かに、ジェットエンジンの後部から火を噴いている映像はショッキングではあります。

でも、ひにくれものの私から見ると・・・

* 炎は一瞬見えるものの、1秒前後で消えている。

これって、すごいと思いません。エンジンで異常が起きて、コックピットに警報が鳴り、パイロットがエンジン停止と消火操作をして、実際に火が消える、というプロセスがこの間に起きているのです。(自動消火のシステムではありません)

* エンジンから炎が出て、止まってしまったにもかかわらず、何事もなかったかのように空港に引き返している。

たとえエンジンが1基しか稼動しなくなっても、最寄の空港に着陸できるようにパイロットたちはシミュレータで訓練されているのですね。もちろん、エンジントラブルが発生した際の対処も・・・。

私は、このNHKの番組でなぜ飛行中エンジン停止率(In Fight Shutdown Rate )について具体的に説明をしないのか、が疑問です。(これを出すとストーリーが成り立たない?)

飛行中エンジン停止率は、大型旅客機に搭載されているターボファンエンジンで飛行時間あたりおおよそ10万分の1です。年間に24回飛行機に乗る人(1ヶ月に1回千歳-羽田を往復 誰のこと? 24×1.5=36時間)がいるとして、IFSDに遭遇するのは、およそ2800年に1度ということになります。もう少し詳しくはこちら

1基止まっても大丈夫。2基とも止まる確率は100億分の1。先ほどの例では、2億8千万年に1度。航空機エンジンの信頼性は、年々高くなっています。

私は、テクノクライシスがこの問題にあるとしたら、2万円そこそこの金額で地上1万メートルを飛び東京-北海道を1時間半で行くのに、それを当たり前だと思っている感覚にあると思います。便利は享受するが、地道に安全を守っている技術者への眼差しは、どうなのでしょうか。

問題があったときに袋叩きにするという姿勢をとって、なお、「完全」を要求することに傲慢さはないでしょうか?彼らも、同時代を生きる人間であり、もしかしたら小学校の時には同じ机を並べたA君かもしれない、と想像をしたときに見えてくるものがあると思います。

明日、飛行機で上京します。明日が2億8千万年に1度の大当たりではないことを祈りつつ・・。

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2006年5月27日 (土)

NDI 石井賞

日本非破壊検査協会から「石井賞」をいただきました。

「石井賞」というのは、元東京工業大学教授石井勇五郎先生の発案で、非破壊検査技術の創意工夫・発展に功績のあった人に与えている賞です。

そういう賞があるのは知っていましたが、まさか自分がもらえるとは思っていませんでした。

Ishiiaw 素直に嬉しいです。技術の分野にかかわっているものとして、その分野で認めていただけたことに感慨深いものがあります。いただいた純金のメダルは、生涯の宝物です。

一人の失業者として、有効求人倍率0.24でろくな仕事がなくて困っていたとき、苫小牧市の職業安定所のカードに書いてあった「非破壊検査技術者」の文字を見て「????? なんだろう?」と思ったときから、ちょうど25年になります。失業者からその分野に紛れ込んだ「変な奴」も、暖かく迎え入れてくれている日本非破壊検査協会(JSNDI)の諸先輩と仲間に感謝します。

非破壊検査に携わっている卒業生諸君。頑張っているといい事もありそうだぜ。

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2006年5月20日 (土)

ダ・ヴィンチ ブリッジコンテスト

Da_vinciトラスの軸力計算を最初にしたのはレオナルド・ダ・ヴィンチだという情報を以前に書きました。こちら。

出典はティモシェンコの「材料力学史(Histrory of Strength of  Materials)」ということでしたので、調べました。邦訳は絶版になっていましたので、Amazonで原書を購入しました。

Da_vinci_truss前書きに記載されていました。その図を見て、なるほどダ・ヴィンチは三角関数の考え方を使ってトラスの軸力を計算していたことを了解しました。

2005bc16 で、これって「つまようじブリッジコンテスト」の最近の優勝作品とよく似ている。頂点の角度も、もちろん載荷点とサポートでの力のかかり方もほとんど同じ。

Tensile_testレオナルド・ダ・ヴィンチが「つまようじブリッジコンテスト」を見たら、なんと言うのだろうか、なんてね。「まだまだ甘いな」てところかな。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、左の図のような装置でワイヤーの引張試験もしていたのですね。

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2006年4月30日 (日)

金属疲労

 昨年11月7日に起きた山手線の事故の件で、2つの寄稿文について先に書きましたが、その件で、電話やメールでいくつか議論をしています。その中で、改めて勉強をしています。

Nisijima木村勝美氏からは、「金属疲労とは何か」というタイトルの解説を送っていただきました。東京理科大学の西島敏氏が書いたものです。これがとても面白い。これまで金属疲労について勉強してきたことが、一気につながって知識の輪となって頭の中が整理されていくようです。実に快感。

例えば、疲労亀裂の初期にある「突き出しと入り込み」、そういうことがあるのは知っていたけれど、どのくらいのオーダーなのかは知りませんでした。10nmのオーダーであることが示され、そのことが「突き出しと入り込み」のメカニズムと関係していること、疲労強度を上げる手段の有効性を説明できること、などが簡潔に整然と書かれています。私にとっては、目からうろこでした。

「工学ではOrder Estimateが大切なのだよ。」と別の件である方から最近言われました。まさに、このことですね。

どこそかの教授が疲労割れのサイズを1桁間違うなんてのは、単なるうっかりではないのですよ。

西島先生の解説文では、破壊力学の観点から疲労破壊を評価していく方法についても、分かりやすく記述されています。

この方、もう少し具体的なケーススタデイなどを入れてまとまった本にしていただけないかな。

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2006年4月16日 (日)

事故から学ぶ 山手線架線事故(2)

中尾政之氏のアプローチについて。

Nakao_1 「検査技術4月号」に掲載された中尾氏の解説文は、「深海無人探査機『かいこう』ビークルの迷子に学ぶ」の表題にあるように、山手線架線事故を主題にしたものではありません。昨年出版された中尾氏の著書「失敗百選」(森北出版)に収録されている「かいこう」の事故について解説をしています。その中で、左に示したように、山手線の架線事故について触れているのです。

これを読んで驚くのは、あまりに現実や現場に無頓着だということです。棒鋼の破断のしかた、破断の直接の原因には全く関心は払われていません。

また、地下鉄で行われている天井の剛体架線が山手線に適用できない理由が、「やたらと支柱が必要となる」としています。もしかしたら、この方は架線の重りが温度差による熱膨張によって架線が垂れ下がるのを防止するためについていることを御存じないのかもしれない、と思ってしまいました。(JRでは温度変化量を60℃と想定している)

Nakaozucまさかなぁ、と注意深く読んでみると、「重りが切れてもワイヤは緩むが垂れ下がることはない」改善策として示されている「定張力機構」の図。わかりにくい図ですが、どう見ても夏場電線が延びて長くなったときに、架線が電車との位置関係でほぼ同等の位置にあるようにする機構とは思えません。.

何故、このような機構が必要なのかという現実を捨象したところでは、現場の事故再発防止としても、また他山の石としても、いかなる教訓化も無意味です。

中尾氏は、東京大学の教授でご自身が書いているとによると、「『失敗学』と命名した文理融合の社会技術を、この5年間研究している」という「失敗学の研究者」とのことです。

中尾氏によると、5年間の研究で分かったこととして「失敗学=失敗のナレッジマネジメント手法の開発」だと、書いています。ナレッジマネジメント手法って、カタカナで書くと分かりにくいけれど要するに「知識の生かし方」ということでしょう。

中尾氏の5年間の研究成果による「ナレッジマネジメント手法」というのが、過去の失敗と現在の自分の状況との類似点に気づくこと、なのだそうです。

「ナレッジマネジメント手法」を具体的に適用すると、「かいこう」の事故も山手線架線事故も、中尾氏自身が経験した「掃除機の電源コードを手元から引っ張ってコンセントを抜いたときの断線」と同じ、と気づいたそうです。そして「引っ張らないようにする」ことが解だというのです。中尾氏の掃除機のコードが切れたところから、「引っ張ることが良くない」といわれてもねぇ。

正直なところ唖然とします。中尾氏はレインボーブリッジは渡れないでしょうし、ビルでエレベーターにも乗れないでしょう。現代社会で構造部材として使われている鉄鋼は「引張」に強く、その特性を生かした「かたち」の恩恵によくしていること、引張の力以外にも破壊につながる力はあること、力を受けながらも壊れないようにすることが技術であること、こんな初歩的なことを東大教授に教えなければならないのでしょうか。

中尾氏に言わせれば、私のは古い考えであって「失敗学の新しい成果を理解できていないだけ」ということかもしれません。でも、私から見れば、中尾氏のアプローチは「答えで問題を解く」やり方そのものです。答えから現実をいくら解釈しても、実践的な教訓にはなりえません。で、その「答え」がお茶の間ワイドショー以下。

実は、中尾氏が他の事故事例について解説しているいくつかの文章にたいして、違和感をかつて感じていました。「ちがう」とは思うのだけれど、何でそうなるのかは分かりませんでした。今回の中尾氏の文章を読んで、はっきりと中尾氏の「失敗学の失敗」を確信しました。これはいかんわ。

参考 バランサーについて

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事故から学ぶ 山手線架線事故(1)

昨年11月7日、東京で架線を張っている重りが落ちて、山手線と京浜東北線が5時間に渡って不通となる事故がありました。17万人に影響が出たそうです。事故の概要重りの写真(読売新聞)。

Omori_1 約1.5km間の架線をピンと張っておくためにバランサーと呼ばれる重り約500kgを吊り下げています。重りを吊っている鉄棒が破断したのです。

この事故について、木村勝美氏と中尾政之氏がコメントしています。(木村氏「検査機器ニュース第1087号」、中尾氏「検査技術 Vol.11 No.4」)

対照的なアプローチで、「失敗(事故)からいかに学ぶか」という点で、私自身関心のある領域ですので、感想を書いておきます。お二人に共通しているのは、当事者ではないこと、またおそらくは新聞などの報道が情報源であり、現場の第1次情報を得られるところにはいないということです。

Kimura まず木村氏のアプローチから。(図をクリックすると大きくなります)

木村氏は、新聞やテレビの報道から得た情報から、鉄棒の破断原因に着目して考察を始めます。16年間使われたことからする「腐食によって細くなった説」や「振動による小さな力でも繰り返し加われば疲労破壊するのだ説」に対して、科学的な考察をくわえて「考えられない」と指摘しています。

しかしテレビに映された破面は、疲労破面にみえることから、振動以外に大きな力が働いていないかを、重りと重りを吊る鉄棒の形から、ある仮説を立てています。謎解きとして面白いので、仮説の中身は書きません。関心のある方は原文を読んで見てください。

この仮説から、なぜ最近になってこのような事故がおきるのか、山手線をめぐる状況にその遠因があることに触れています。

木村氏とは面識がありまして(私にとって厳しくも暖かい大先生なのですが)、私への電話の中で「作業の状況や、作業者の性格まで目に浮かぶのだよ」といわれていました。

限られた情報でありながら、直接的な原因そのものに知見を駆使してアプローチしていてます。直接的な原因から、背景や作業者の性格など、普遍的に教訓としていけるきっかけになる現象について指摘しています。私は、木村氏のアプローチが正しいと思います。木村氏の説が正しいかどうかは分かりませんが、もしずれているとすれば、「ではなにが?」ということが問題になり、いまだ私たちが知らないことが出てくるのです。

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2006年3月24日 (金)

応力拡大係数と破壊靱性値を理解するソフト

き裂のある部材がどの程度危ないのかを判断するために役に立つ係数として「応力拡大係数」があります。線形破壊力学のキー概念です。簡単な形状でとりあえず計算するだけなら、シンプルな式で表すことができるのでさほど難しくはありません。でも、いったい「応力拡大係数」って何者?と疑問を発すると、もやもやとして分からなくなります。ここは「私は」と主語を入れておかなければならないところです。

参考文献を読んでも分からないことがあると、私はよくノートに自分なりの理解を書いてみて(書いている過程で頭の中がが整理されることがある)改めて文献を読んだり、人に聞いたりして理解を深めることをやります。

Sif_1 最近は、ノート代わりにパソコン上で動作するソフトウエアを作ることがあります。うまくはまると、ノートを作ることに比べてはるかにダイナミックに「分かった!」となることがあります。抽象的な論理だけではどうしても理解できない頭脳構造のようで、遠回りをするしかないのです。

「応力拡大係数」を理解するためのソフトを、そんなわけで作りました。これですべて分かったのか、というとそうはいきませんでした。ひとつの壁は突き抜けることができましたが、その先に疑問という名の石がゴロゴロ転がっていることに気づいたというところです。

何人かの方に見てもらいましたが、「フリーソフトとして公開しないのか」という問い合わせをいただきましたので、御批判を前進の糧とする覚悟で公開することにしました。

破壊力学のテキスト(小林英男著「破壊力学」(共立出版)の第4章等)を読みながら、ソフトを使ってみてください。

破壊力学 Book 破壊力学

著者:小林 英男
販売元:共立出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

VB6で作っていますので、OSはWindowsに限られます。実行(EXE)ファイルをダウンロードできるようにしています。ごく小さい確率ですが、VBのランタイムがないために動作しないことがあります。その場合は申し訳ありません、どこかでVBのランタイムを手に入れてください。別のパソコンで実行してみる、という方法が一番早いかもしれません。

追記(0612/16)簡単な解説と注釈をこちらに書きました

○LZHで圧縮したファイル

「FractureMech.lzh」をダウンロード

解凍ツールはこちらから。

○ZIPで圧縮したファイル

「FractureMech.zip」をダウンロード

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2006年3月22日 (水)

米国のつまようじブリッジ(2)

昨日も書きましたアトランタでのつまようじブリッジイベント(Toothpick Bridge Building Event )についてです。

吉田先生はボランティアとして運営に参加しましたが、ボランティア用の説明書には次のように太文字で書いてあったそうです。

This is NOT a CONTEST.
This is NOT a COMPETITION.
There are NO loser.

勝ち負けを決める競技会ではない、ということです。EventであってContestやCompetitionではない。えっ、じゃぁどんなEventなんだ、ということになりますが、要するに記録会ということですね。「付属の装置にエントリー用紙を差し込むと荷重の計測値が自動的にプリントアウトされる仕組み」で、参加者は作ってきたつまようじブリッジを壊してもらい、その記録の証明書とTシャツををもらうということです。

Bcat4 「Tシャツの胸には大会ロゴやスポンサーマークとともに『They broke my bridge.』と書かれています.」

こういうくすっと笑わせるセンスは、日本にはあまりないかもしれません。

敗者を作らない、という考え方は一つの見識でしょうが、競うからこそ面白い、悔しいこともバネになる、と私は思います。なにか、デパートの休憩室においてある血圧計で血圧を計って、プリントした紙をちぎってくるような、そんな淡々としたEventのようにみえます。血圧を測定したい人が集まってきても、そこに勝者も敗者もないでしょう。ワッ!という盛り上がりもなければ、知的な興奮もありません。血圧を計って興奮もないか(笑)。

私は、勝負をする競技会にこだわりたいですね。それでも、入賞者以外に対するサービスとして「記録証明」を出す、というアイデアはいただきです。

参加賞がTシャツというのはいいなぁ(どこかスポンサーになってくれるところありません?)『They broke my bridge.』でbrokeの主語は一人称にしたいな。壊してもらったのではなくて、自分が壊してみた。「奴らが破壊の目撃者さ」なんてのはどうだろう。

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2006年3月20日 (月)

米国のつまようじブリッジ(1)

福井高専の吉田先生が、2月26日ジョージア州アトランタで開かれたToothpick Bridge Building Eventに実際に行かれました。その様子を伝えるメールをいただき、写真も提供していただきました。

吉田先生は、見学の可否を主催者に問い合わせたら「運営に参加したら」と誘われて、ボランティアとして参加してきたそうです。このあたりは米国らしいといえるのでしょうか。おおらかでオープンな姿勢は好きです。

Bcat1 私は、吉田先生にこの大会で使用している載荷装置について見てきて教えてほしいとお願いしていました。吉田先生からのメールから・・・

「装置は空圧です.荷重は載荷装置のロードセルで計測し,それを電光掲示板で表示しています.自作の専用装置でパソコンは使ってません.また,付属の装置にエントリー用紙を差し込むと荷重の計測値が自動的にプリントアウトされる仕組みになっています.」

なるほど、さすがに機械学会と土木学会がサポートしている大会ですね。私のところでも、学生が空圧シリンダーを使った載荷装置試作してくれました。破壊時の迫力には欠けますが、新しい載荷装置の候補です。ロードセルというのは荷重を計測するセンサーのユニットで、たいていは金属に電気抵抗ひずみゲージを何枚か貼り付けたものです。うちの学生も、ロードセルを自作してくれました。ホイートストンブリッジと組み合せて、表示装置までは作れそうだけれど、紙を差し込むと計測値を自動的にプリントアウトする装置は、私の守備範囲を超えています。

このアトランタのつまようじブリッジについて、何回かに分けて書こうと思います。

吉田先生は、サンディエゴでWBCのあの日韓戦をスタジアムで観戦したそうです。うらやましい。

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2006年3月18日 (土)

非破壊検査入門DVD

Ndi 日本非破壊検査協会から「非破壊検査入門」というDVDが発売になりました。非破壊検査というのは、ものを壊さずに部品や構造体にある目にみえない有害なきずを検出する技術です。超音波・X線・磁気・電磁誘導・毛細管現象など使えそうな物理現象を総動員します。「安心・安全」を支える技術として、今後重要性を増していくと思います。

目次

第一部 (総論) 10分

 非破壊検査の定義と重要性、試験方法の選択、「技術者、機材、試験手順」の確認

第二部 (各論) 48分

 1 目視試験(VT)

 2 磁粉探傷試験(MT)

 3 浸透探傷試験(PT)

 4 渦電流試験(ET)

 5 放射線透過試験(RT)

 6 超音波探傷試験(UT)

 7 アコースティク・エミッション試験(AET)

 8 その他の試験(地中レーダー・赤外線サーモグラフィー・漏れ試験)

 9 ひずみ測定

 10 コンクリート構造物の非破壊試験

それぞれに、原理・現場での適用例などをCGや動画で紹介しています。

私は編集委員として、超音波探傷部門を担当しました。ANA原動機センターに協力していただいたジェットエンジンの検査では教え子が登場しています。

このDVD、文部科学省選定の教材になっていますが、「文部科学省選定(工業高校・青年向・成人向)」という表示になっています。「成人向」となると、何かやばそうなニュアンスがありますが、子どもが見ても「劣情」をもよおすことはありませんので、よろしく(笑い)。

日本非破壊検査協会の案内と購入の申し込みは、こちらまで。  

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2006年3月11日 (土)

超音波のかたち

超音波ビーム形状を表示するソフトについて「北海道機械工業会 第26回検査技術研究会」で発表してきました。概ね評判は良かったけれど、やはり近距離音場については議論になりました。難しいところだけれど、フェイズドアレイによる超音波探傷の教材を作っていくことを考えると、まじめに考えないといかんかな。

振動子径の違いによるビーム形状と、周波数の違いによるビーム形状の図を掲載します。 いずれも媒質は鋼を想定しています。

Frq

Trsize

JSWの田中氏の発表の中にあった、端部エコー法で捉えられる限界の割れ開口幅の話は、とても興味深いものでした。

今日は収穫が多かった。

追記:こちらでソフトを公開しました。(12/8)

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2006年2月11日 (土)

超音波ビーム形状を表示するソフト

 超音波は、車のヘッドライトのように、ビーム状に広がって進みます。

ビームの形状は音源である振動子の寸法と波長によってきまります。超音波探傷をする際に、超音波のビームがどのようになっているのか、直感的にイメージできるように、色々と条件を変えてみることのできるソフトを作りました。近距離音場・遠距離音場・指向角など超音波音場の概念をビジュアルに学ぶことができます。

Utbeam_3 図はその実行画面です。振動子寸法・周波数・伝搬する物質を変えて、1368通りのビーム形状を確認することができます。

苦労したのは、操作者にとってストレスのないスピードで描画すること。

4年前のパソコンで15~20秒で描画できるようにしました。

3月の研究会で発表します。

このソフトこちらで公開しました。(12/9)

超音波探傷入門ソフト ←以前に作ったソフト

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2006年2月10日 (金)

ネ20の調査報告書

 このブログで先日紹介した「日本初のジェットエンジン ネ20」に関する調査報告書が見つかった、という情報を先ほどNHKがニュースとして流していました。

国立科学博物館の鈴木一義氏も登場していましたが、ぜひ一般にも閲覧できるようにしてほしい。共有財産だと思います。読んでみたい!!

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2006年2月 9日 (木)

つまようじブリッジ 国際普及

 ネットをさまよっていたら、こんなページを見つけました。

http://www.dcsd.k12.co.us/secondary/mvhs/staffwebpages/slaga/tech3/Kelly%20Tech%20Web/toothpic.html

 つまようじブリッジコンテストのほとんど真似なのです。

真似をしているのがけしからん、などということではなく、いいなぁ、面白いなぁ、と思うのです。こちらでやっていることが国際的に普及していると考えることができるからです。

英語のページには、曲げモーメントや断面係数の解説をしたページを作っていないせいか、そのあたりが全く考慮されていない作品の写真が掲載されています。

それでも、子どもたちが楽しんでいる様子は作品からも伺えます。原点かな?

国内にも海外にもこの面白さを普及させたい。

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2006年2月 5日 (日)

科学の祭典とジョイント

今年千歳市で「青少年のための科学の祭典」が初めて開催されることになっています。

千歳科学技術大学の長谷川先生が中心となって実行委員会が準備されています。先日実行委員会準備会の方々と千歳市教育委員会でミーティングを行いました。

「つまようじブリッジコンテスト」を「科学の祭典」の項目に加えるという提案に、「ぜひに・・・」と歓迎を受けました。

長谷川先生とは、何のためにやるか、どのようなプロセスを作るか等、様々なことを話し合いましたが、ほとんど意気投合という感じでした。

私のほうで、「つまようじブリッジコンテスト」のレギュレーションを小中学生向けにアレンジしたものを作ることになりました。小中学生バージョンを作るのです。すでに暖めているアイデアはあります。当然インターナショナルを意識します。

大人バージョンをどうするかは、検討事項にしました。

千歳市以外からも参加OKとのことです。わいわいににぎやかになればいいなぁ。

「第1回千歳市青少年のための科学の祭典」は11月19日(日)開催予定。

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2006年1月29日 (日)

自然の中の黄金比

 「自然の中に黄金比になっているものはたくさんある」という人のほとんどは実際に確認していません。確認すると嘘だと分かります。

ここのページの方は、海岸で採取したアオイガイの縦横比を70個ものサンプルで計測しています。この結果を見るとアオイガイの縦横比は黄金矩形に沿う螺旋に近いらしい。

http://beachcomb.exblog.jp/3321189/

そこで、アオイガイ螺旋を螺旋を調べるソフトで調べてみました。

Aoigai2 画像の中で、青色の螺旋が黄金比の螺旋です。アオイガイの螺旋は少し間延びしているけれど、近い。

少なくとも、オウムガイの螺旋よりはずっと近いのです。このサンプルだと縦横比は1.70になります。

黄金比ではありませんが、アワビの対数螺旋を調べた方がいます。

http://homepage2.nifty.com/ALABAMA/topics/Topics-200/T-151-sazae-B.htm

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2006年1月12日 (木)

ブリッジコンテスト国際大会

 「つまようじブリッジコンテストを国際大会へ」の記事が、東京新聞にも掲載されたようです。北海道新聞の記事が流れたものと思います。

 なにをたわけたことをと思われるかもしれませんが、絵空事ではないと思っています。

 つまようじブリッジコンテストの英語のページへのアクセスは最近では日本語版より多いのです。Googleで「toothpick bridge」をキーワードにして検索をすると、 173,000 件中2番目の項目で出てきます。高校生や大学生からのメールでの問い合わせも日本国内からよりは米国を中心にした海外からのほうが多いのです。先日はインドの大学生からでした。日本航空専門学校での取り組みは、海外でも少しは知られてきていると思うのです。

 ブリッジコンテストで時折意見交換をしている福井高専の吉田先生が、現在米国に留学中です。吉田先生は、米国でのブリッジコンテストの実態を調査することも、渡米の目的にしています。すでに、土木学会誌にレーポートを寄稿しています。

 2月に各地で開かれるブリッジコンテストを現地取材をされるようです。そのひとつをつまようじを使ったブリッジコンテストにしたい、といわれています。米国のつまようじブリッジコンテストもいろいろありますからどれにしたら良いか、メールで意見交換中です。

 とても楽しみです。

 うまくいけば国を超えた交流ができてくるかもしれません。

 そう簡単には行かないでしょうが、だめだと思っていては、何も実現しない。まずは、想いえがくことから始めなければ・・・。

 夢見ています。

 

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2006年1月 9日 (月)

日本初のジェットエンジンの戦後

 日本初のジェットエンジン「ネ20」は、1945年8月7日千葉県木更津で橘花に搭載されて初飛行試験に成功しました。8日後には終戦を迎え、実用に供されることなく、短命に終わったことは良く知られています。

 日本初のジェットエンジン「ネ20」

Ne20aout_image

 「ネ20」は現在、米国スミソニアン航空博物館に2基、石川島播磨重工業(IHI)田無工場史料館に1基あるのが確認されているだけです。

 IHIにある1基は、戦後ノースロップ工科大学にあるのが分かり、1973年10月入間で開かれた国際航空宇宙ショーに展示にするために日本に来たところを、返す段になって強引に「返さない」とやって、すったもんだの末、「永久無償貸与」の形になったものです。(この辺の話もとても面白い)

 このIHIにあるエンジンが、どうも戦後クライスラー社がターボプロップエンジンXT-36-D2の開発のために米海軍から貸与されていたものらしいというのです。「航空技術」200512月号に石澤和彦氏が書いています。

 クライスラー社はネ20を分解し組み立てて試験と解析を行ったようです。この試験から得たデータを元に、XT-36を開発し、さらにガスタービン自動車の開発に成功した、というのです。

CHRYSLER社のものではありませんが、ガスタービンカーの例

 開発者の永野治氏が愛惜の情を込めて「未熟児」と呼んだ日本初のジェットエンジン「ネ20」の戦後物語は、まだまだ語りつくされていないようです。

Ne208

 

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